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縁の迷宮と、邂逅と。  作者: 銀筆
第一章
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01:大人になること。成長すること。

 魔族。魔法を使える唯一の種族。

 見た目は人間と変わらないが、その成長の仕方に特徴がある。

 魔法を使うには魔力が必要とされ、その魔力をどれだけ持っているかを示すのが魔力量である。

 魔力量を測る方法はいくつかあるが、最も簡単に判るのが本人の体格である。魔族の魔力量は成長と共に増え、魔力量に合わせて体格が成長する。男は160cm、女は150cmを越えた辺りで大人としての最低限の魔力量を持っていると判断され、それ以降の成長は大きくなればなるほど魔族達の羨望を浴びることになる。

 過去、強大な力を持っていたとされる有名な魔族などは260cmもあったと記録されており、そこまでいかなくとも2mを超えていれば十分にその時代で持て囃される。

 魔族のもう一つの特徴も外見に表れる。魔力量ではなく、魔力の質によって外見の若さが変わるのだ。

 魔力の質が良いと若々しい姿のままで居られ、魔力の質が落ちていくにつれ老化が進んでいく。魔力の質は年齢と共に変わっていくと言われているが個人差もあり、これもまた過去に有名だった魔族などは70歳を過ぎても青年のような姿を保ったままだったと言われている。

 魔族にとって魔力とは種族のアイデンティティであり本質。ゆえにその能力の大きさが強く異性を魅力するのだ。


 そしてその結果として、16歳になっても成長の兆しが見られない俺ことアマツカ・ロウは、140cmという見た目により仲間たちから馬鹿にされているのである。同い年の皆は既に大人の最低限の魔力量を有している。中でも一人とても優れた奴が居たため、それと比較されて更に立場が悪かった。


(何故だ……父さんも母さんも、魔力量も質も普通より優れているのに……)


 ぐぬぬ、と悔しがっても魔力量が増えるわけではない。なので魔力量を増やす具体的な行動を起こさなければ。

 これまでだって色々試しはしてみたがごらんの有様だ。あと残っている方法となれば、ほとんど噂レベルのものしか残っていない。

 その中でも可能性が高そうだと感じたものが、『迷宮に居る魔物を狩り続けたら魔力量が増える』というものだ。

 俺の両親は今でこそこの辺境で地上の環境改善に勤しんでいるが、俺が産まれる前は迷宮探索者をやっていたらしい。それも探索者の中でも冒険者と呼ばれる類の。確かに子供の俺からしても両親はロマンチストなところが多々あると思うが。

 俺を妊娠した事と希望の樹木を発見した事が重なり、それに運命を感じて辺境の開拓をする事にしたらしい。

 そんな両親はそんな性格な事もあり、色々な伝説やら噂やらを知っている。小さい頃は寝る時に色々と聞かされたものだ。そこで聞いた物の一つが先程のものである。それが嘘か真かはわからないが、何もしないよりはよっぽど可能性があるはずだ。

 そんなわけで両親に迷宮探索者になる事を告げると、何故か喜ばれた。やっぱり二人の子なんだなって、冒険に憧れるもんなって。いや正直魔力量を増やすことしか頭になかった。

 歓迎されているならそれでよし。と、さっそく旅支度を終えて一番近くにある国へとやってきた。と言っても馬車で2日。まだまだ人類の版図は狭い。

 迷宮探索者になるのにそれほど時間はかからなかった。国によって迷宮の規模、危険度はまちまちだが、この国の迷宮はその中でも比較的初心者向けらしく、俺と同じような新人迷宮探索者が多く居たし、初耳だったが迷宮ギルドから両親に対しての信頼度も高かった。

 簡単な試験の後にめでたく迷宮探索者になった俺は、その後その国で迷宮に潜り続ける事となる。

 迷宮ギルドは人類存亡の礎。多様な種族に多くの人々が関わっている。特に迷宮探索では魔族が重用される事もあり多くの魔族が居り、当然彼ら彼女らから俺に向けられる視線は厳しい。

 魔族にとって俺のような存在は種族の汚点のように感じられるのだろう。地味な嫌がらせも多くあった。それのせいもあり最初は良くしてくれていた他の種族の仲間たちからも少しずつ距離を置かれてしまった。種族内のいざこざに巻き込ませて、彼らには申し訳ないことをしたかもしれない。

 それでも頑張った。日々迷宮探索を続け、魔物を狩り、少しずつ探索範囲を広げ、更に強い魔物を狩る。狩った魔物の素材は貴重な資源だ。それをギルドに売る事で報酬を得て日々を生きる。最初は大変だったがその時はまだ他種族の人たちが良くしてくれたし、皆が離れた後は迷宮探索の腕も上がり魔物の素材もそれなりの価格で卸せて、むしろ生活するには十分な蓄えも出来た。

 ここ3年程はソロでの活動だ。迷宮探索のために色々と考え技術も魔法も得た。間違いなく成長しているのだ。

 5年が過ぎた。

 体格に変化は見られなかった。


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