第95章 あと四日
朝。
目を開ける。
天井。
いつもの。
あと四日。
昨日。
決めた。
故郷へ。
行く日。
目を閉じる。
もう一度。
開ける。
変わらない。
四日後。
夢では。
ない。
⸻
起きる。
身体。
昨日より。
軽い。
宿に泊まったあとの。
重さ。
ほとんど。
ない。
歩く。
問題ない。
でも。
今日は。
何をする。
考える。
今までなら。
先生に。
聞いたかもしれない。
次は。
何をしますか。
でも。
もう。
次の練習は。
決まっていない。
四日後に。
行く。
その前に。
何をするか。
それを。
考える。
⸻
朝食。
席。
ヴィオラ。
アルベルト。
カイル。
ノア。
ミーナ。
いつもの。
でも。
昨日までと。
少し。
違う。
四日後。
ここに。
いない。
朝。
たぶん。
馬車。
それとも。
まだ。
ここ。
分からない。
「どうしたの?」
ヴィオラ。
「……あと四日」
「うん」
「朝。ここで。食べる?」
ヴィオラが。
少し。
考える。
アルベルトを見る。
「出発時間によるな」
アルベルト。
「朝食を取ってから出るつもりだ」
そう。
なら。
その日も。
ここで。
食べる。
少し。
安心する。
「そこ気になってたの?」
ヴィオラ。
「……はい」
「そっか」
変。
では。
ないらしい。
⸻
食べる。
パン。
スープ。
四日後も。
食べる。
そのあと。
出る。
一つ。
分かった。
⸻
先生。
診察。
身体。
昨日より。
軽い。
「問題なさそうだね」
「……はい」
「今日はどうする?」
また。
聞かれる。
考える。
今日は。
宿へ行かない。
町の外にも。
行かない。
歩く練習も。
しなくていい。
「……準備。したいです」
「何の?」
「行く。準備」
先生が。
笑う。
「じゃあ私は、邪魔しない方がよさそうだ」
邪魔。
では。
ない。
首を振る。
「……邪魔じゃない」
「ありがとう」
少し。
笑う。
「でも、今日は先生の出番じゃないってこと」
先生の。
出番。
では。
ない。
少し。
寂しい。
でも。
嫌では。
ない。
⸻
先生が。
帰る前。
聞く。
「……先生」
「ん?」
「出発する朝も。来る?」
「もちろん」
すぐ。
返る。
「出発前に診るって言ったでしょ」
覚えている。
「……はい」
先生は。
来ない。
旅には。
でも。
出る前には。
いる。
帰ってきても。
いる。
それで。
いい。
⸻
午前。
ヴィオラと。
部屋。
床。
鞄。
服。
布。
小さい。
袋。
この前。
宿へ。
持っていったものより。
多い。
五日。
たぶん。
それ以上。
「全部持っていくわけじゃないよ」
ヴィオラ。
知っている。
「……馬車」
「そう」
自分で。
持つもの。
馬車に。
積むもの。
分ける。
前に。
練習した。
今度は。
本当に。
使う。
⸻
服。
何枚。
必要。
分からない。
「旅の間。服は。何枚?」
「行きだけじゃなく、向こうにいる間と帰りの分も考えるよ」
帰り。
そう。
「でも、全部を日数分持つわけじゃない。途中で洗えるし、馬車にも積めるからね」
全部。
持たなくていい。
前に。覚えた。
ヴィオラが。
笑う。
「そこは私が考える」
少し。
不満。
「……私も。考える」
「じゃあ一緒に考えよう」
それなら。
いい。
⸻
服。
並べる。
着替え。
下着。
上着。
夜。
寒いかもしれない。
雨。
降るかもしれない。
「雨でも。行く?」
「ひどければ待つよ」
待つ。
「出発を?」
「それもあるし、途中で一日動かないこともある」
四日後。
行く。
でも。
雨なら。
行かない。
少し。
止まる。
昨日。
決めた。
行く。
それと。
違う?
考える。
「……四日後。行く。けど」
「うん」
「雨なら。行かない?」
「そうなるかもしれないね」
胸。
少し。
変。
⸻
決めたのに。
変わる。
でも。
前にも。
あった。
次は。
宿で眠る。
そう。
思っていた。
でも。
行かない日を。
選んだ。
それでも。
最後は。
泊まった。
「……行く日。変わっても。行く?」
ヴィオラが。
こちらを見る。
「行くよ」
すぐ。
返る。
「日にちは、道じゃないからね」
日にちは。
道では。
ない。
少し。
考える。
⸻
四日後。
絶対。
では。
ない。
でも。
行く。
それは。
変わらない。
昨日の。
たぶんではない。
行く。
は。
日付のことでは。
なかった。
少し。
分かった。
⸻
荷物。
続ける。
水。
布。
薬。
「薬?」
「先生から預かる分ね」
先生。
来ない。
でも。
先生のものは。
来る。
少し。
おかしい。
「何?」
「……先生も。少し。来る」
ヴィオラが。
薬を見る。
「ああ」
笑う。
「そうかもね」
⸻
昼。
ミーナ。
台所。
いい匂い。
この前。
宿で。
食べた。
でも。
今日は。
家。
「旅の食事も用意いたしますね」
ミーナ。
「……何を?」
「最初の日に食べるものを。途中からは宿や町で用意できますから」
最初の日。
外で。
食べた時。
思い出す。
川。
ノア。
敷物。
「……あれみたい?」
「そうですね」
少し。
楽しみ。
「何がいいですか?」
聞かれる。
何が。
いい。
選べる。
考える。
「……前の」
「前の?」
「川で。食べたの」
ミーナ。
笑う。
「では、似たものにしましょう」
同じ。
では。
ない。
似たもの。
それで。
いい。
⸻
昼食。
ノア。
いる。
学校。
「……暇?」
聞く。
「今日は休み」
本当に?
「本当に」
先に。
言われた。
「四日後だっけ?」
頷く。
「土産よろしく」
土産。
「……何?」
「なんか」
分からない。
「故郷に。店。あるか。分からない」
言う。
ノアが。
止まる。
「あ」
少し。
空気。
変わる。
故郷。
昔の。
場所。
今。
どうなっているか。
分からない。
店が。
あるかも。
人が。
いるかも。
分からない。
⸻
ノアが。
頭を。
掻く。
「じゃあ、なくていい」
「……うん」
少し。
間。
「帰ってくれば」
ノア。
パンを。
取る。
「それでいいや」
見る。
ノアは。
もう。
食べている。
軽い。
言い方。
でも。
胸の奥。
少し。
温かい。
「……うん」
⸻
午後。
カイル。
廊下。
会う。
「準備は進んでる?」
「……少し」
「そう」
それだけ。
通り過ぎる。
少し。
待つ。
「……カイル」
振り返る。
「何?」
「留守番」
「うん」
「……嫌?」
カイルが。
少し。
目を。
丸くする。
「何が?」
「行かないの」
考える。
カイルは。
故郷へ。
来ない。
私が。
行くのに。
⸻
「行きたいかってこと?」
頷く。
カイル。
少し。
考える。
「心配ではあるよ」
心配。
「でも、父さんとヴィオラがいるから」
「……うん」
「それに」
少し。
笑う。
「帰ってくる場所にも、人はいた方がいいだろ?」
止まる。
帰ってくる。
場所。
⸻
前。
故郷が。
帰る場所だと。
思っていた。
今も。
故郷。
でも。
帰ってくる場所。
ここにも。
ある。
「……待ってる?」
「もちろん」
すぐ。
返る。
⸻
部屋。
戻る。
荷物。
途中。
まだ。
全部。
決めなくていい。
五日。
ある。
いや。
あと。
何日。
今日を。
入れる?
また。
分からない。
ヴィオラに。
聞こう。
⸻
窓。
外。
庭。
木。
前に。
遠かった。
今は。
近い。
故郷。
まだ。
遠い。
でも。
四日後。
たぶん。
四日後。
違う。
雨なら。
六日後かもしれない。
でも。
行く。
⸻
日付は。
変わるかもしれない。
道も。
変わるかもしれない。
泊まる場所も。
増えるかもしれない。
予定。
全部。
その通りには。
ならないかもしれない。
前なら。
少し。
怖かった。
今も。
少し。
怖い。
でも。
変わったら。
その時。
決める。
疲れたら。
休む。
雨なら。
待つ。
分からなければ。
聞く。
一人で。
全部。
決めなくていい。
⸻
四日後。
行く日。
そう。
決めた。
でも。
本当に。
決めたのは。
日では。
なかった。
故郷へ。
行くこと。
そして。
帰ってくること。
⸻
ここへ。
帰ってくる。
そのための。
準備も。
している。
たぶん。
これは。
使っていい。
まだ。
帰ってきていないから。
でも。
帰ってくる。
それは。
決めている。
⸻
あと四日。
たぶん。
日数の方の。
たぶん。




