第94章 行く日
朝。
目を開ける。
天井。
いつもの。
昨日。
宿から。
帰ってきた。
一晩。
眠った。
途中で。
起きた。
少し。
怖かった。
でも。
朝が来た。
帰ってきた。
身体。
少し。
重い。
昨日より。
疲れている。
でも。
嫌な。
重さではない。
使った。
あとの。
重さ。
たぶん。
今日は。
休む。
それで。
いい。
⸻
朝食。
ヴィオラ。
アルベルト。
カイル。
ノア。
ミーナ。
いつもの。
場所。
宿へ出かけた朝も。
ここにいた。
そのあと。
宿へ行って。
夜を越して。
また。
ここにいる。
少し。
不思議。
「眠れた?」
アルベルト。
「……はい」
少し。
考える。
「途中で。起きました」
「そうか」
「でも。また。できます」
アルベルトが。
少し。
笑う。
「それなら十分だ」
先生と。
同じ。
少し。
違う。
でも。
たぶん。
同じ意味。
⸻
ノア。
パン。
食べている。
「飯どうだった?」
昨日。
一緒に。
食べた。
「……知ってる」
「朝飯」
そっち。
「普通」
「普通か」
少し。
残念そう。
宿の。
評価。
している。
らしい。
⸻
先生。
診察。
「疲れてるね」
「はい」
すぐ。
言う。
「今日は?」
「……休みます」
「よろしい」
もう。
迷わない。
昨日。
できたから。
今日。
次を。
やらなくていい。
身体を。
戻す。
それも。
行くため。
⸻
診察。
終わる。
でも。
先生が。
帰らない。
アルベルトも。
いる。
ヴィオラも。
いる。
何か。
ある。
「アネクシア」
アルベルト。
「少し、話をしてもいいか?」
「……はい」
机。
地図。
前にも。
見た。
故郷までの。
道。
⸻
アルベルトが。
指で。
道を。
なぞる。
町。
道。
宿。
次の町。
また。
道。
その先。
故郷。
「道を調べていた件だが」
前に。
言っていた。
今。
使える道。
宿。
馬を。
替えられる場所。
「一応、行ける目処は立った」
止まる。
行ける。
目処。
「……故郷?」
「ああ」
胸。
少し。
速くなる。
⸻
地図。
見る。
線。
前にも。
見た。
でも。
今日は。
違う。
前は。
遠い場所まで。
続く線。
今は。
自分が。
通るかもしれない。
道。
「三日?」
聞く。
アルベルト。
首を振る。
「お前が一緒なら、四日では組まない」
前に。
聞いた。
三日。
私なら。
もっと。
「五日?」
「まずは五日を想定している」
まずは。
「ただし、疲れ方次第で六日でも七日でもいい」
「……遅れても?」
「構わない」
すぐ。
返る。
「着くことが目的だからな」
覚えている。
前にも。
聞いた。
でも。
今日は。
少し。
違って聞こえる。
⸻
ヴィオラが。
地図を。
見る。
「泊まる場所は?」
「候補は押さえた。昨日使った宿も最初の候補に入れている」
昨日の。
宿。
知っている。
天井。
知っている。
少し。
安心する。
「その先は?」
「二日目以降は、まだアネクシアが見たことのない場所になる」
知らない。
場所。
また。
ある。
当然。
故郷まで。
全部。
知っている道には。
できない。
⸻
少し。
怖い。
でも。
前とは。
違う。
知らない場所を。
全部。
先に。
知ることは。
できない。
でも。
知らない場所で。
何をすればいいかは。
少し。
知っている。
見る。
少しいる。
休む。
眠る。
怖ければ。
言う。
疲れたら。
止まる。
必要なら。
帰る。
一人で。
全部。
持たない。
できる。
たぶん。
⸻
「誰が。行く?」
聞く。
アルベルト。
「私が行く」
ヴィオラ。
すぐ。
言う。
知っていた。
前にも。
言った。
一人では。
行かせない。
「私も同行する」
アルベルト。
見る。
「……アルベルトも?」
「ああ」
少し。
驚く。
仕事。
ある。
「大丈夫?」
聞くと。
アルベルトが。
少し。
笑った。
「そのくらいの時間は作る」
そう。
「先生は?」
先生。
見る。
「私は行かないよ」
少し。
止まる。
「……行かない?」
「うん」
先生は。
ずっと。
いた。
歩く時。
眠る時。
身体を。
見る時。
でも。
旅には。
来ない。
⸻
少し。
不安。
顔に。
出た。
たぶん。
先生が。
笑う。
「だから、行けるかどうかを今まで見てたんだよ」
「……私が?」
「君が」
先生。
指。
一つ。
立てる。
「疲れたと言える」
もう一つ。
「休みたいと言える」
もう一つ。
「今日はやめる、と決められる」
もう一つ。
「怖いとも言える」
もう一つ。
「人に頼める」
昨日。
荷物。
渡した。
「それができるなら、私がずっと隣にいなくても大丈夫」
大丈夫。
言われる。
でも。
今度の。
大丈夫は。
絶対に。
何も起きない。
という意味では。
ない。
たぶん。
何かあった時に。
言える。
止まれる。
頼れる。
その。
大丈夫。
⸻
「もちろん、出発前にも診るし、戻ってきたらまた診る」
戻って。
くる。
先生は。
ここにいる。
「……はい」
少し。
安心する。
⸻
「カイルは?」
聞く。
カイル。
壁の近く。
いた。
「今回は留守番かな」
少し。
笑う。
「家を空ける人間ばかりにもできないからね」
そう。
家。
残る人も。
いる。
「ノアは?」
ノア。
扉の近く。
いる。
いつから。
いた。
「俺?」
考える。
知らない。
のか。
アルベルトが。
ため息。
「お前は学校があるだろう」
「……あ」
ある。
忘れていた。
「……暇じゃない」
言う。
ノアが。
こっちを見る。
「だから暇じゃねえって言ってんだろ」
本当だった。
⸻
少し。
笑う。
胸の。
固いところが。
少し。
ほどける。
全員。
来るわけでは。
ない。
でも。
全員。
いなくなるわけでも。
ない。
行く人。
残る人。
待っている人。
いる。
⸻
「それで」
アルベルト。
地図に。
戻る。
「一番大事なことを決めたい」
何。
「いつ行くかだ」
止まる。
いつ。
前は。
何日かかるかを。
聞いた。
今日は。
何日に。
出るか。
決める。
本当に。
行く。
話。
⸻
「こちらで日を決めてもいい」
アルベルト。
「ただ」
私を見る。
「お前が行く旅だ」
少し。
間。
「お前が決めていい」
決める。
私が。
⸻
地図。
見る。
身体。
今日は。
疲れている。
この前。
初めて。
宿に泊まった。
まだ。
一回。
でも。
また。
できる。
そう。
思った。
今すぐ。
では。
ない。
少し。
準備。
したい。
でも。
ずっと。
先でも。
ない。
故郷。
見たい。
自分で。
見たい。
最初に。
そう。
言った。
そのために。
歩いた。
座った。
揺れた。
眠った。
休んだ。
外で。
食べた。
荷物を。
持った。
宿へ。
行った。
行かない日も。
作った。
泊まった。
ここまで。
来た。
⸻
「……いつなら。行けますか」
聞く。
アルベルト。
「準備だけなら、数日あれば整えられる」
数日。
先生。
見る。
「身体は?」
「今日と明日の様子を見たい。でも、今のところ止める理由はないかな」
止める。
理由は。
ない。
なら。
考える。
今日。
明日。
その次。
少し。
近い。
でも。
怖い。
もう少し。
先。
一週間。
長い。
ような。
短い。
ような。
分からない。
⸻
「……五日後」
言う。
静か。
「五日後に。行きたいです」
言った。
アルベルトが。
頷く。
「分かった」
ヴィオラ。
笑う。
先生も。
頷く。
決まった。
⸻
五日後。
故郷へ。
行く。
昨日まで。
行くための。
練習を。
していた。
今日。
行く日が。
できた。
急に。
故郷が。
近くなった。
わけでは。
ない。
道も。
同じ。
日数も。
同じ。
でも。
五日後。
という。
場所が。
時間の中に。
できた。
⸻
少し。
怖い。
かなり。
楽しみ。
両方。
ある。
どちらも。
消さなくていい。
知っている。
⸻
午後。
部屋。
休む。
今日は。
何もしない。
でも。
頭の中。
五日。
数える。
今日。
一。
明日。
二。
違う。
出発まで。
どう数える。
分からない。
あとで。
ヴィオラに。
聞く。
⸻
目を閉じる。
故郷。
まだ。
見えない。
宿より。
ずっと。
遠い。
今。
どうなっているかも。
分からない。
でも。
道は。
ある。
泊まる場所も。
ある。
一緒に。
行く人も。
いる。
残って。
待つ人も。
いる。
そして。
日が。
決まった。
⸻
行きたい場所。
だった。
行くための。
場所になった。
今は。
行く日が。
ある。
五日後。
私は。
故郷へ。
行く。
たぶん。
では。
ない。
行く。




