第92章 今日は行かない
朝。
目を開ける。
天井。
いつもの。
身体。
少し。
重い。
痛くは。
ない。
動く。
でも。
昨日より。
少し。
遅い。
昨日。
宿へ行った。
食べた。
部屋で。
横になった。
少しいた。
帰った。
次は。
眠る。
そう。
考えていた。
でも。
今日。
行くかは。
別。
⸻
朝食。
ヴィオラ。
アルベルト。
カイル。
ノア。
ミーナ。
いつもの。
席。
パンを。
食べる。
ヴィオラが。
こちらを見る。
「眠そう?」
「……少し」
「昨日、疲れた?」
考える。
「たぶん」
「どっちの?」
また。
それ。
「……疲れた方」
ヴィオラが。
笑う。
分かりやすい方。
だった。
⸻
先生。
診察。
腕。
脚。
背中。
呼吸。
「問題はないね」
よかった。
「でも、少し疲れてる?」
「はい」
すぐ。
言う。
先生が。
頷く。
「じゃあ今日はどうする?」
聞かれる。
前なら。
次。
何をするか。
先生が。
決めた。
今は。
聞かれる。
考える。
宿。
昨日の部屋。
ベッド。
知らない天井。
次は。
眠る。
行けば。
たぶん。
できるかもしれない。
でも。
身体。
少し。
重い。
「……今日は」
待つ。
先生も。
待つ。
「宿。行きません」
言った。
⸻
少し。
変な感じ。
自分で。
行きたいと。
言った場所。
自分で。
今日は。
行かないと。
決めた。
先生。
「分かった」
それだけ。
「……いいんですか」
「何が?」
「行かなくて」
先生が。
少し。
首を傾ける。
「行かなきゃいけない日だった?」
違う。
たぶん。
「……違います」
「じゃあ、いいんじゃない?」
いい。
らしい。
⸻
部屋。
戻る。
ヴィオラも。
いる。
「今日はどうする?」
また。
聞かれる。
今日は。
宿へ行かない。
訓練も。
たぶん。
しない。
でも。
一日。
何もしない。
とは。
少し。
違う。
「……庭」
「歩く?」
考える。
「少しだけ」
「うん」
⸻
庭。
外。
空気。
少し。
冷たい。
歩く。
ゆっくり。
前に。
目標にした木。
今は。
近い。
でも。
今日は。
そこまで。
行かない。
途中の。
椅子。
座る。
ヴィオラも。
隣。
庭。
見る。
何もしない。
⸻
「宿、嫌だった?」
ヴィオラ。
首を振る。
「……嫌では。ない」
「怖かった?」
「少し」
「じゃあ、行きたくない?」
考える。
違う。
「……また。行きたい」
「そっか」
「でも。今日は。行かない」
言ってから。
少し。
変。
また行きたい。
今日は行かない。
両方。
同じ。
中に。
ある。
前なら。
どちらかが。
間違いだと。
思ったかもしれない。
今は。
たぶん。
違う。
⸻
庭の向こう。
門。
その先。
道。
町。
宿。
もっと先。
故郷。
全部。
つながっている。
でも。
今日。
全部を。
進まなくていい。
「……ヴィオラ」
「ん?」
「行かない日も。道?」
ヴィオラが。
少し。
考える。
「どうだろう」
分からない。
らしい。
「私は、そうだと思うけど」
「どうして?」
「今日休んだら、明日また行けるかもしれないから」
前にも。
聞いた。
似たこと。
休む。
行くために。
必要。
でも。
今日は。
先生に。
言われたからでは。
ない。
自分で。
決めた。
そこが。
少し。
違う。
⸻
「何してんの?」
ノア。
来た。
暇。
なのか。
「休んでる」
私が。
言う。
ノアが。
止まる。
「自分から?」
一回。
頷く。
「へえ」
失礼。
「何」
「いや。成長したなって」
たぶん。
馬鹿にしている。
一回。
「なんで肯定すんだよ」
違った。
考えていることを。
読まれた。
⸻
ノア。
隣の。
地面に座る。
椅子。
空いている。
のに。
「……そこ?」
「ここでいい」
分からない。
少し。
静か。
鳥。
鳴く。
風。
木。
揺れる。
「宿どうだった?」
「ごはん。食べた」
「うまかったな」
そこ。
なんだ。
「部屋で。休んだ」
「俺行ってないから知らね」
そうだった。
下で。
追加。
していた。
「次、泊まるの?」
「たぶん」
「いつ?」
考える。
今日では。
ない。
明日かも。
分からない。
「……まだ。決めてない」
「ふーん」
ノア。
それ以上。
聞かない。
楽。
⸻
少し。
歩く。
部屋へ。
戻る。
今日は。
宿へ。
行っていない。
馬車にも。
乗っていない。
町にも。
出ていない。
故郷との。
距離は。
変わらない。
でも。
前より。
少し。
分かったことが。
ある。
次が。
決まっていても。
今日。
やらなくていい。
⸻
昼。
ミーナの。
ごはん。
昨日。
宿で食べた。
今日は。
家。
同じ。
パン。
スープ。
でも。
昨日より。
静か。
食べる。
落ち着く。
「……ミーナ」
「はい」
「昨日。宿で。食べました」
「ヴィオラ様から伺っております」
知っていた。
「どうでした?」
「……おいしかった」
少し。
間。
「でも」
ミーナ。
待つ。
「こっちも。おいしい」
ミーナが。
笑う。
「ありがとうございます」
比べる。
必要は。
なかった。
どちらも。
おいしい。
⸻
午後。
眠る。
自分の。
ベッド。
目を閉じる。
すぐ。
眠った。
⸻
目を開ける。
天井。
いつもの。
身体。
朝より。
軽い。
起きる。
水。
飲む。
窓。
外。
まだ。
明るい。
今日。
何も。
進めなかった。
そう。
思いかける。
違う。
朝。
身体が。
重いと。
分かった。
先生に。
言えた。
宿へ行かないと。
決めた。
少し歩いて。
休んだ。
眠った。
身体が。
軽くなった。
これも。
たぶん。
必要。
⸻
次に。
宿へ行く時。
眠るかもしれない。
もう一度。
少しいるだけかもしれない。
行って。
やめるかもしれない。
まだ。
分からない。
でも。
決めるのは。
その時で。
いい。
昨日。
少しいた場所は。
今日。
行かなかったから。
知らない場所に。
戻ったりは。
しない。
明日も。
あの宿は。
たぶん。
そこにある。
だから。
急がなくていい。
⸻
故郷へ。
行く。
そのために。
進む。
でも。
進むことは。
毎日。
遠くへ行くことでは。
ない。
今日は。
行かなかった。
それでも。
次に。
行ける。
たぶん。
今日は。
行かない方の。
たぶん。




