第87章 外で食べる
次の日。
朝。
目を開ける。
天井。
いつもの。
身体。
昨日。
町の向こうまで行った。
馬車。
揺れた。
少し歩いた。
帰ってきた。
今日は。
重くない。
少し。
疲れはある。
でも。
動ける。
⸻
先生が来る。
診察。
腕。
脚。
背中。
「昨日はどうだった?」
「楽しかったです」
先生が。
少し笑う。
「身体の方」
また。
間違えた。
前にも。
あった。
「……少し。疲れました」
「帰ってからは?」
「休みました」
「今は?」
考える。
「大丈夫です」
少し。
間。
「疲れは。少しあります」
先生が頷く。
「うん。それなら今日は軽めにしよう」
軽め。
休みでは。
ない。
「何する?」
聞かれる。
昨日。
町の外。
少しだけ。
降りた。
でも。
すぐに戻った。
外で。
長くいる。
まだ。
やっていない。
「……外に。いたいです」
「庭?」
首を振る。
「町の。外」
先生が考える。
「昨日のところ?」
それでも。
いい。
でも。
「……違うところ」
知らないところ。
行って。
少し。
そこにいる。
先生は。
少し考えてから。
頷いた。
「じゃあ、昼を外で食べてみようか」
昼。
外で。
食べる。
それは。
少し。
面白そう。
⸻
準備。
ヴィオラ。
今日も。
一緒。
それから。
ミーナが。
包みを持ってくる。
「お昼です」
見る。
「……持っていく?」
「はい」
食事は。
食堂。
部屋。
町では。
店。
外は。
ない。
「どこで食べるの?」
ミーナが笑う。
「着いてからのお楽しみです」
お楽しみ。
知らない。
でも。
聞かない。
待つ。
できる。
⸻
玄関。
ノアがいる。
「……乗る?」
聞く。
ノアが。
少し止まる。
「俺?」
頷く。
「今日は暇なの?」
「暇じゃねえけど」
いつもの。
「じゃあ。来ない?」
「行く」
どっち。
ヴィオラが笑っている。
⸻
馬車。
ヴィオラ。
ノア。
私。
先生は。
今日も来ない。
条件。
疲れたら言う。
気分が悪くなったら言う。
無理に全部食べなくていい。
帰りたくなったら帰る。
最後だけ。
新しい。
帰りたくなったら。
帰る。
覚える。
⸻
町を通る。
知っている。
店。
曲がり角。
大きな木。
昨日。
その先へ行った。
今日は。
途中で曲がる。
知らない道。
少し進む。
建物が減る。
木が増える。
馬車が。
止まる。
「着いたよ」
ヴィオラ。
降りる。
⸻
草。
木。
小さな川。
水。
流れている。
「……ここ?」
「ここ」
ノアが。
先へ行く。
ヴィオラは。
私の横。
歩く。
少し。
川の近く。
木の下。
布を敷く。
座る。
外。
なのに。
座る場所が。
できた。
少し。
不思議。
⸻
ミーナの包み。
開く。
パン。
肉。
野菜。
果物。
いつもの食事と。
少し違う。
「食べやすいものにしてくれたんだって」
ヴィオラ。
パンを持つ。
食べる。
風。
吹く。
髪が。
少し。
邪魔。
押さえる。
ノアが笑う。
「外だからな」
知っている。
でも。
食べながら。
風。
初めて。
⸻
「どう?」
ヴィオラ。
今度は。
どっち。
身体。
気分。
考える。
「……楽しいです」
ヴィオラが笑う。
「うん」
合っていた。
たぶん。
⸻
食べる。
全部は。
食べない。
少し。
残る。
「もういい?」
「……はい」
前なら。
食べられるなら。
食べた。
たぶん。
今日は。
お腹。
いっぱい。
だから。
やめる。
ヴィオラは。
何も言わない。
包む。
それだけ。
⸻
少し。
川を見る。
水。
ずっと。
流れている。
「どこまで行くの?」
ノアに聞く。
「川?」
頷く。
「知らね」
知らない。
「でも、どっかには続いてるだろ」
また。
それ。
道も。
続いていた。
川も。
続いている。
「見に行く?」
ノア。
見たい。
川の先。
でも。
今日は。
外で食べる。
それから。
少し。
身体。
疲れてきた。
「……今日は。いい」
ノアが。
こちらを見る。
「そ」
それだけ。
また。
今度。
できる。
たぶん。
⸻
横になる。
布の上。
空。
木の葉。
その向こう。
青い。
部屋では。
ない。
客室でも。
ない。
知らない場所。
でも。
眠るわけでは。
ない。
目を閉じる。
風。
川。
葉。
知らない音。
でも。
怖くない。
少し。
休む。
⸻
目を開ける。
空。
一瞬。
違う。
でも。
すぐ。
分かる。
川。
木。
ヴィオラ。
ノア。
いる。
寝ては。
いなかった。
たぶん。
少しだけ。
目を閉じていた。
それだけ。
「帰る?」
ヴィオラ。
身体。
少し。
重い。
まだ。
いられる。
でも。
「……帰ります」
言える。
⸻
馬車。
帰り。
揺れる。
少し。
疲れているから。
行きより。
大きく感じる。
でも。
知っている。
身体の力を。
抜く。
窓を見る。
知らなかった道。
今は。
一度。
通った道。
町。
大きな木。
屋敷。
近づく。
⸻
「おかえりなさいませ」
ミーナ。
「……ただいま」
「お昼はいかがでした?」
考える。
風。
川。
パン。
ノア。
ヴィオラ。
「……楽しかったです」
今度は。
身体のことでは。
ない。
だから。
これで。
合っている。
ミーナが笑った。
⸻
部屋。
ベッド。
横になる。
今日は。
遠くまで。
行っていない。
昨日より。
たぶん。
近い。
でも。
外で。
食べた。
休んだ。
帰ると。
自分で決めた。
旅をしたら。
ずっと。
馬車にいるわけでは。
ない。
途中で。
降りる。
食べる。
休む。
また。
進む。
今日。
少しだけ。
それを。
やった。
知らない場所でも。
座れる。
食べられる。
休める。
そして。
帰れる。
一つずつ。
旅の中にあるものが。
知らないものでは。
なくなっていく。
故郷は。
まだ。
遠い。
でも。
そこまでの時間が。
少しずつ。
怖くなくなる。
たぶん。
今日は。
途中の。
たぶん。




