第83章 同じ部屋
次の日。
目を開ける。
天井。
いつもの。
昨日は。
違った。
客室。
知らない天井。
眠って。
起きて。
少し。
怖かった。
でも。
今は。
いつもの天井。
「……よし」
声に出た。
何が。
よしなのか。
少し。
分からない。
でも。
よし。
⸻
朝。
先生が来る。
診察。
いつも通り。
「昨日はよく眠れた?」
「客室では。少し」
「夜は?」
「寝ました」
「怖くなかった?」
考える。
夜。
いつもの部屋。
いつものベッド。
目を閉じた。
起きた。
朝だった。
「……大丈夫でした」
先生が頷く。
「じゃあ今日は、昨日と同じことをやってみようか」
同じ。
「客室?」
「うん」
少し。
考える。
できる。
昨日。
できた。
「……はい」
「ただし」
来た。
「今日はヴィオラには、部屋の外にいてもらう」
止まる。
できる。
たぶん。
でも。
昨日。
目を開けた時。
ヴィオラがいなかった。
怖かった。
「扉の外?」
「そう。呼べば聞こえるところ」
それなら。
「……やります」
⸻
昼。
客室。
昨日と同じ。
ベッド。
窓。
机。
椅子。
天井。
昨日は。
違う部屋だった。
今日は。
知っている。
一回来ただけ。
でも。
知っている。
ヴィオラが。
扉のところに立つ。
「外にいるね」
「……うん」
「何かあったら呼んで」
頷く。
ヴィオラが出る。
扉が閉まる。
静か。
一人。
少しだけ。
胸が固くなる。
でも。
昨日とは違う。
ヴィオラが。
どこにいるか。
知っている。
⸻
ベッドに横になる。
天井を見る。
昨日と同じ。
違う天井。
でも。
知らない天井では。
なくなった。
目を閉じる。
風。
鳥。
廊下。
音。
少し。
聞こえる。
眠れる。
たぶん。
⸻
目を開ける。
天井。
一瞬。
考える。
客室。
分かる。
身体を動かす。
動く。
声。
「……ヴィオラ」
「いるよ」
扉の向こう。
すぐ。
返ってきた。
胸の奥が。
少し。
ほどける。
でも。
扉は。
開かない。
ヴィオラは。
入ってこない。
いる。
それだけ。
少し。
面白い。
「起きた?」
「……起きた」
「入っていい?」
考える。
もう。
怖くない。
たぶん。
「……まだ」
「分かった」
自分でも。
少し驚く。
呼んだ。
返事があった。
それで。
もう少し。
ここにいられる。
⸻
起き上がる。
窓を見る。
昨日と同じ庭。
角度が違う。
昨日。
見た。
今日。
また。
見た。
知らない景色では。
ない。
ベッドから降りる。
扉まで歩く。
開ける。
ヴィオラ。
壁にもたれている。
「おはよう」
「……おはよう」
昼だけど。
言わない。
たぶん。
知っている。
⸻
先生に話す。
「眠れました」
「うん」
「起きた時も。分かりました」
「ここがどこか?」
頷く。
「ヴィオラも。呼びました」
「怖かった?」
考える。
少し。
最初は。
でも。
昨日より。
「……少しだけ」
「それなら十分」
また。
十分。
「次は?」
聞く。
先生が。
少し笑う。
「早いね」
「できます」
「それは分かった」
なら。
次。
先生は少し考える。
「次は、夜かな」
夜。
客室で。
眠る。
昼とは。
違う。
朝まで。
長い。
「……一人?」
「まずは屋敷の中でね」
答えに。
なっていない。
先生を見る。
先生も。
見る。
「そこは、その時に決めよう」
ずるい。
少し。
ノアみたい。
⸻
夕方。
廊下を歩く。
客室の前。
止まる。
扉。
昨日までは。
知らない部屋。
昨日。
眠った部屋。
今日。
一人で。
眠った部屋。
明日は。
分からない。
でも。
この部屋は。
もう。
少し。
知っている。
知らない場所で眠る。
その前に。
知らない場所を。
知っている場所に。
変えていく。
それなら。
できるかもしれない。
一度で。
できなくても。
二度。
三度。
知れば。
いい。
たぶん。
今度は。
いつもの。
たぶん。




