↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第三皇女の約束  作者: トカゲ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/101

第82章 違う部屋

次の日。


朝。


先生が来た。


診察。


昨日より。

身体は。

軽い。


「疲れは?」


「少し」


「昨日より?」


考える。


昨日の朝。


身体が。

少し重かった。


今日は。


「少ないです」


「うん。回復してるね」


よかった。


なら。


昨日の話。


できる。


「先生」


「うん?」


「昨日の」


先生が。

少し考える。


「ああ。違う場所で寝る練習?」


頷く。


覚えていた。


「やってみようか」


すぐに。

できる。


少し。

嬉しい。


「どこで?」


「まずは、この屋敷の中」


屋敷。


ここ。


「……ここで?」


「そう」


知らない場所で。

寝る練習。


なのに。


知っている場所。


少し。

分からない。


顔に。

出たらしい。


先生が笑った。


「いきなり知らない宿で一晩、はやらないよ」


「……できます」


「やりません」


早い。


ヴィオラが。

横で笑った。


⸻


案内されたのは。


二階。


いつもの部屋とは。

反対側。


廊下は。

知っている。


でも。


ここまで来ることは。

あまりない。


ヴィオラが。

扉を開ける。


部屋。


ベッド。


窓。


机。


椅子。


似ている。


でも。


違う。


「客室だよ」


「きゃくしつ」


「お客さんが泊まる部屋」


知っている。


言葉は。


でも。


ここが。

そうなのは。

知らなかった。


中へ入る。


窓を見る。


庭。


見える。


でも。


角度が。

違う。


いつもの窓からは。

見えないところが。

見える。


少し。


変な感じ。


⸻


「今日はここで昼寝してみよう」


先生。


昼寝。


「……眠くないです」


「今はね」


そうだった。


まだ。

朝。


「昼になって、眠れそうならでいいよ」


「眠れなかったら?」


「それでもいい」


いい。


のか。


「寝ることが目的じゃないからね」


「……?」


「違う部屋で休んでみる。それが今日の練習」


なるほど。


寝なくても。

いい。


なら。


できる。


たぶん。


⸻


昼。


食事のあと。


もう一度。

客室へ行く。


今度は。

ヴィオラと二人。


ベッドに座る。


柔らかい。


いつものとは。

少し違う。


「どう?」


「……ベッド」


「それは見れば分かるよ」


ノアみたい。


思う。


でも。


言わない。


ヴィオラを見る。


「何?」


「……何でもないです」


少し。

笑われた。


なぜ。


⸻


横になる。


天井。


違う。


知らない天井。


胸の奥が。


少しだけ。


固くなる。


あの日のあと。


目を開けた時。


知らない天井だった。


身体も。


違った。


声も。


出なかった。


サウラも。


返事をしなかった。


目を閉じる。


すぐに。


開ける。


天井。


違う。


でも。


分かっている。


ここは。


アークス家。


いつもの部屋では。

ない。


それだけ。


横を見る。


ヴィオラが。

椅子に座っている。


「いるよ」


何も。

聞いていない。


でも。


言った。


「……うん」


目を閉じる。


⸻


眠れない。


たぶん。


少し。

時間が経った。


目を開ける。


ヴィオラ。


いる。


「眠れない?」


「……たぶん」


「じゃあ今日は休むだけでもいいよ」


先生と。

同じことを言う。


「……もう少し」


「うん」


また。


目を閉じる。


知らない天井は。

見えなくなる。


音。


窓の外。


風。


鳥。


遠くで。

誰かが歩く。


知っている音。


たぶん。


少しずつ。


身体の力が。

抜ける。


⸻


目を開ける。


天井。


違う。


一瞬。


分からない。


胸が。

強く鳴る。


でも。


すぐ。


思い出す。


客室。


アークス家。


横を見る。


ヴィオラ。


……いない。


起き上がる。


「ヴィオラ?」


声。


出る。


返事。


ない。


胸の奥が。

また。

固くなる。


ベッドから。

降りる。


その時。


扉が開いた。


「起きた?」


ヴィオラ。


手に。

水差し。


いた。


「……どこ」


「水を取りに行ってたの。ごめんね」


そう。


水。


少しだけ。


息を吐く。


ヴィオラが。

こちらを見る。


「怖かった?」


考える。


怖い。


だった。


でも。


少しだけ。


「……はい」


言えた。


ヴィオラが。

戻ってくる。


「そっか」


それだけ。


隣に座る。


⸻


先生に。

話す。


眠れた。


起きた時。

少し怖かった。


ヴィオラがいなくて。

もっと怖かった。


でも。


呼べた。


先生は。

全部聞いて。


頷いた。


「十分だよ」


「でも」


まだ。


知らない場所では。

ない。


「今日はここまで」


言われる。


昨日。


私が。

言った言葉。


少し。

悔しい。


でも。


「……はい」


⸻


いつもの部屋へ戻る。


扉。


ベッド。


窓。


天井。


同じ。


見慣れた。


前は。


ただの。

部屋だった。


今は。


少し。

違う。


客室で。


目を閉じた。


眠った。


起きた。


少し。

怖かった。


でも。


戻ってきた。


ここに。


いつもの部屋が。

あった。


知らない場所で。

眠るのは。


まだ。

できない。


でも。


違う場所で。

眠ることは。


できた。


一つ。


できた。


なら。


次も。


ある。


たぶん。


今日は。


便利じゃない方の。


たぶん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。