第74章 確認
次の日。
先生は。
来なかった。
ヴィオラも。
朝から。
いない。
代わりに。
「姉さん、外行く?」
ノア。
「……行く」
「早いな」
行きたい。
昨日。
たくさん。
話した。
少し。
疲れた。
でも。
今日は。
歩ける。
身体は。
昨日と。
同じ。
たぶん。
「その『たぶん』、何に使った?」
「……?」
「今、絶対なんか考えただろ」
顔。
やっぱり。
便利では。
ない。
◇
庭。
知っている。
道。
木。
椅子。
分かれ道。
右。
前に。
歩いた。
今日は。
左。
「そっち行く?」
「……うん」
知らない。
道。
だから。
行く。
ノアが。
隣を歩く。
前みたいに。
先には。
行かない。
たぶん。
私に。
合わせている。
「……ノア」
「ん?」
「ゆっくり?」
「何が?」
「歩くの」
少し。
止まる。
「別に」
出た。
「……べつに」
「真似すんなって」
便利。
やっぱり。
便利。
歩く。
昨日まで。
知らなかった。
道。
今日。
知る。
◇
昼。
ヴィオラが。
帰ってきた。
いつもより。
少し。
遅い。
「ただいま」
「……おかえり」
言ってから。
止まる。
ヴィオラも。
止まった。
「……うん。ただいま」
少し。
笑った。
何か。
変だった。
でも。
嫌では。
なさそう。
「今日も外に出た?」
「……はい」
「無理してない?」
「してません」
ヴィオラが。
見る。
「……たぶん」
「やっぱり」
笑った。
昨日と。
同じ。
少し。
安心する。
ヴィオラが。
椅子に座る。
でも。
いつもと。
少し違う。
何か。
持っている。
紙。
何枚か。
「昨日、先生と話したでしょ」
「……はい」
「確認できることから確認しようって」
覚えている。
「少しだけ、調べてきたの」
身体が。
少し。
固くなる。
調べた。
私の。
話したこと。
「全部じゃないよ」
ヴィオラが。
言う。
「すぐ分かったことだけ」
紙を。
机に置く。
文字。
まだ。
全部は。
読めない。
「先生が前に確認していたことも含めて、記録を見直してきたの」
先生が。
知っていたこと。
それから。
昨日。
私が話したこと。
「アウレリスという王家があったこと」
あった。
過去。
「第三皇女がいたこと」
私。
「その名前が、アネクシアだったこと」
私の。
名前。
一つずつ。
昨日。
私が。
話したことが。
外にも。
ある。
「だから」
ヴィオラが。
私を見る。
「あなたが話してくれたことの少なくとも一部は、記録と一致してる」
一致。
私が。
知っていること。
外に。
残っていること。
同じ。
少し。
変な感じ。
「……信じる?」
聞く。
ヴィオラが。
瞬きをした。
「昨日から疑ってたわけじゃないよ」
違う。
そうでは。
ない。
言葉。
難しい。
「私が。アネクシア」
「ああ」
ヴィオラが。
分かった顔をする。
「うん」
少し。
間を置いて。
「あなたは、アネクシア」
胸の。
奥。
少し。
動く。
知っている。
自分では。
ずっと。
知っていた。
でも。
外にも。
あった。
そして。
目の前の人が。
そう言った。
「ただね」
ヴィオラが。
続ける。
「まだ分からないことも多い」
姉。
あの日。
サウラ。
たくさん。
「だから、一つずつ確認しよう」
また。
一つずつ。
「……はい」
「それと」
まだ。
ある。
「あなたがいた場所についても、少し調べてる」
城。
故郷。
あの日の。
場所。
「分かったら教えるね」
今すぐ。
ではない。
でも。
次が。
ある。
「……待ちます」
ヴィオラが。
少し。
驚いた。
「うん」
それから。
笑う。
「待ってて」
待つ。
できる。
前より。
たぶん。
今度の。
たぶんは。
少しだけ。
便利な方だった。




