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第三皇女の約束  作者: トカゲ


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第73章 サウラ

静か。


さっきより。

長い。


先生が。

私を見る。


ヴィオラも。

私を見る。


反応。


薄くない。


でも。


少し。

長い。


「……中に?」


先生が。

聞いた。


「はい」


「サウラという人が?」


人。


少し。

考える。


「……はい」


たぶん。

人で。

いい。


今は。


先生が。

紙を見る。


何か。

書こうとして。


止まる。


「これは、どう聞けばいいかな」


先生が。

困っている。


珍しい。


「そのサウラという人は、今も君の中にいる?」


「います」


これは。

分かる。


「話せるの?」


「……話せます」


「今も?」


首を。

振る。


「今は。寝てます」


また。


静かに。

なった。


ヴィオラが。

少し。

首を傾ける。


「寝てる?」


「はい」


「……あなたの中で?」


「はい」


ヴィオラが。

先生を見る。


先生も。

ヴィオラを見る。


二人とも。

分からない。

らしい。


私も。

説明は。

難しい。


でも。


サウラは。

いる。


寝ている。


それだけ。


「最後に話したのは、いつ?」


先生が。

聞く。


いつ。


考える。


あの日。


城。


お姉様。


その前。


その後。


順番。


また。

曖昧。


「……あの日」


「さっき話してくれた日のこと?」


「はい」


「それから一度も?」


「……はい」


先生が。

少し。

考える。


「返事がないから、寝ていると思っている?」


「はい」


「他に、そう思う理由はある?」


理由。


ない。


返事が。

ない。


だから。


「……ない、です」


ヴィオラが。

少しだけ。

笑った。


「そこは迷わないんだね」


「……?」


「ううん」


よく。

分からない。


先生は。

笑わなかった。


でも。


怖い顔でも。

ない。


「分かった。今は、サウラという存在がいると君が認識している。そこまでにしておこう」


認識。


難しい。


でも。


たぶん。

合っている。


「それでいい?」


「……はい」


先生が。

紙に。

書く。


何を。

書いたのか。


少し。

気になる。


でも。


聞かない。


今は。


◇


「もう一つ、確認してもいい?」


「はい」


先生が。

言う。


「君は、これからどうしたい?」


これから。


少し。

大きい。


質問。


「すぐに決めなくてもいいよ」


また。


待って。

いい。


考える。


何を。

したい。


歩きたい。


外に。

行きたい。


知らない場所を。

知りたい。


それから。


お姉様。


「……姉を、探したいです」


ヴィオラが。

私を見る。


「行方が分からないんだね」


「はい」


「他に家族は?」


考える。


知っている。

人。


いなくなった。

人。


分からない。

人。


「……分かりません」


全部が。

いないとは。

言えない。


全部が。

いるとも。

言えない。


「だから」


言葉を。

探す。


「知りたいです」


何が。

あったのか。


誰が。

いるのか。


どこに。

いるのか。


あの日から。


何が。

変わったのか。


「分からないことを?」


先生が。

聞く。


「……はい」


先生が。

頷く。


「それなら、まずは一つずつだね」


一つずつ。


最近。

よく。

聞く。


歩くのも。


話すのも。


知るのも。


一つずつ。


「ただ」


先生が。

続ける。


「今すぐ旅に出る、というのは駄目だよ」


「……」


まだ。

何も。

言っていない。


ヴィオラが。

笑った。


「先に言われたね」


「……まだ。言ってません」


「言うつもりだった?」


考える。


一回。


頷く。


「ほら」


ヴィオラが。

笑う。


先生も。

少し。

笑った。


「まずは、もう少し身体を戻そう。それから、君が話してくれたことも確認できる範囲で確認する」


確認。


「……お願いします」


「うん」


先生が。

立つ。


今日の。

話は。

終わり。


たぶん。


「アネクシア」


先生が。

初めて。


名前を。

呼んだ。


自分の名前。


知っている。

名前。


でも。


ここで。

誰かに。

呼ばれるのは。


初めて。


「焦らなくていい」


「……はい」


先生が。

帰る。


扉が。

閉まる。


ヴィオラは。

残っている。


少し。

静か。


「アネクシア」


また。


名前。


今度は。

ヴィオラ。


「……はい」


「そっか。アネクシアか」


それだけ。


でも。


少し。

変な感じ。


昨日まで。


この家で。

私の名前を。

知っている人は。

いなかった。


今日。


二人。

増えた。


知らない人が。

減るのとは。


少し。

違う。


私を。

知っている人が。


増えた。


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