第71章 先生
朝。
目が覚める。
天井。
もう。
見慣れた。
窓を見る。
明るい。
今日も。
外に。
行けそう。
先生が。
来た。
ヴィオラも。
一緒。
いつもの。
確認。
手。
腕。
足。
目。
立つ。
歩く。
「うん。順調だね」
前より。
話せる。
歩ける。
外にも。
行ける。
知っている人も。
増えた。
「ただし」
先生が。
言う。
「まだ無理はしないこと」
「……してません」
先生と。
ヴィオラが。
私を見る。
「……たぶん」
先生が。
少し。
笑った。
「その『たぶん』は便利だね」
便利。
私も。
そう思う。
診察は。
終わった。
でも。
先生は。
帰らない。
ヴィオラも。
いる。
少し。
空気が。
変わる。
前に。
先生が。
言った。
君が覚えていることも、聞かせてほしい。
それから、一緒に整理しよう。
「少し、話をしてもいいかな」
「……はい」
「全部を今、話す必要はないよ」
先生が。
言う。
「話せることからでいい」
話せること。
「あの日のこと。それから、君自身のことも」
私自身。
「君自身の名前を、君の口からはまだ聞いてなかったからね」
名前。
私の名前。
まだ。
言っていない。
ここでは。
誰も。
知らない。
私だけが。
知っている。
違う。
もう一人。
知っている。
でも。
今は。
寝ている。
たぶん。
「急がなくていい」
先生が。
言う。
前なら。
すぐに。
答えようとした。
分からないなら。
分かるまで。
今は。
少し。
違う。
考える。
言葉にする。
それから。
話す。
「……話します」
先生が。
頷く。
ヴィオラも。
待っている。
「私は、アネクシア」
声にする。
知っている。
名前。
「アネクシア・アウレリス」
先生の。
手が。
止まる。
ヴィオラの。
顔が。
変わる。
「第三皇女、です」
静かに。
なった。
二人とも。
何も。
言わない。
やっぱり。
反応。
薄くは。
ない。
少しだけ。
カイルを。
思い出した。




