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第三皇女の約束  作者: トカゲ


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第62章 立つ

次は。


立ってみたい。


そう思ってから。


すぐに。


立てたわけでは。


なかった。


まず。


座る。


昨日より。


長く。


次の日も。


座る。


その次も。


座る。


先生が。


支える手は。


少しずつ。


減った。


ヴィオラの手も。


減った。


最初は。


怖かった。


でも。


倒れそうになれば。


手が来る。


だから。


少しずつ。


怖くなくなった。


声も。


少しずつ。


出るようになった。


「あ」


最初に。


出たのは。


それだった。


小さい。


掠れた。


声。


ヴィオラが。


固まった。


先生も。


固まった。


何。


そんなに。


驚くこと。


だろうか。


「……今」


ヴィオラが。


こちらを見る。


「もう一回、できる?」


やる。


息を。


吸う。


口を。


開く。


「あ」


出た。


ヴィオラが。


笑った。


すごく。


笑った。


「声、出たね」


一回。


出た。


知っている。


先生が。


少し。


呆れた顔をした。


「嬉しいのは分かるけど、今日はそれくらいにしておこう」


む。


まだ。


できる。


たぶん。


ヴィオラを見る。


「だめ」


先生より。


早かった。


なぜ。


「先生に怒られるの、私だから」


また。


それ。


仕方ない。


やめる。


先生が。


笑っていた。


それから。


また。


少し。


時間が。


過ぎた。


座ることは。


もう。


それほど。


難しくなくなった。


腕も。


前より。


動く。


水を飲む時も。


少しだけ。


自分で。


器を。


支えられる。


声は。


まだ。


言葉には。


ならない。


でも。


音は。


出る。


できることが。


増える。


だから。


ある日。


先生に。


聞かれた。


「立ってみる?」


一回。


待っていた。


ベッドの。


端。


座る。


足を。


下ろす。


初めて。


床に。


触れる。


冷たい。


足の裏。


ちゃんと。


分かる。


床。


近い。


思っていたより。


近い。


自分の。


足を見る。


細い。


知らない。


足。


これも。


私。


先生が。


右。


ヴィオラが。


左。


「最初は、私たちに任せて」


一回。


二人の。


腕を。


掴む。


力を。


入れる。


足。


踏む。


身体を。


前へ。


持ち上げる。


重い。


腕に。


力が入る。


足が。


震える。


膝が。


伸びない。


身体が。


上がる。


少し。


また。


少し。


視界が。


高くなる。


立った。


たぶん。


立っている。


ほとんど。


二人に。


支えられて。


いるけど。


それでも。


足は。


床に。


ついている。


「大丈夫?」


一回。


大丈夫。


たぶん。


ヴィオラが。


笑う。


「すごい」


そう。


すごい。


これは。


自分でも。


そう思う。


少し。


余裕が。


できる。


部屋を見る。


ベッド。


机。


椅子。


鏡。


窓。


全部。


低く。


なった。


違う。


私が。


高くなった。


前にも。


こんなことを。


思った。


少し。


おかしい。


でも。


面白い。


窓。


外。


空。


木。


屋根。


もっと。


見える。


立つと。


世界が。


少し。


広くなる。


もう少し。


見たい。


足を。


動かす。


「待って」


先生。


遅い。


右足を。


少し。


前へ。


出す。


力が。


抜けた。


「あ」


身体が。


落ちる。


すぐに。


両側から。


支えられた。


「だから待ってって」


先生。


強い。


ヴィオラも。


強い。


ベッドへ。


戻される。


座る。


疲れた。


足が。


震えている。


「今日は立つだけ」


先生が。


言う。


「歩くのは、また今度」


また。


今度。


その言葉を。


聞く。


前なら。


少し。


嫌だった。


今は。


違う。


また。


今度。


次が。


ある。


一回。


ヴィオラが。


笑った。


「じゃあ、また今度ね」


一回。


今度は。


ちゃんと。


待てる。


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