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第三皇女の約束  作者: トカゲ


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第61章 起きる

それから。


少しずつ。


できることが。


増えた。


人差し指。


だけだった手は。


他の指も。


動くようになった。


右手。


左手。


腕。


口。


声は。


まだ。


うまく出ない。


息に。


少し。


音が混じる。


それだけ。


でも。


前より。


いい。


先生は。


毎日。


来る。


ヴィオラも。


来る。


目を開けた時に。


いないこともある。


でも。


しばらくすると。


来る。


だから。


待てるようになった。


白い天井も。


ずいぶん。


見た。


数えるのは。


やめた。


ある日。


先生が。


言った。


「今日は、身体を起こしてみようか」


起こす。


一回。


やる。


ヴィオラが。


横にいる。


先生が。


反対側。


「ゆっくりね」


一回。


背中に。


腕が入る。


身体が。


持ち上がる。


天井が。


動く。


違う。


私が。


動いている。


壁。


窓。


机。


椅子。


見える。


知っている。


もの。


ばかり。


前にも。


ヴィオラに。


起こしてもらった。


鏡を。


見た時。


でも。


今日は。


違う。


背中に。


枕。


手を。


つく。


力を。


入れる。


腕が。


震える。


身体が。


重い。


「無理しない」


一回。


先生が。


支える手を。


少し。


離す。


ヴィオラも。


少し。


離す。


待って。


二人の手が。


なくなる。


身体が。


揺れる。


怖い。


倒れそう。


右手。


布団を。


掴む。


左手も。


掴む。


止まる。


座って。


いる。


自分で。


「……できた」


ヴィオラが。


言った。


一回。


できた。


先生が。


笑う。


「すぐ戻す?」


二回。


まだ。


見ていたい。


白い天井では。


ない。


正面に。


窓。


その向こうに。


空。


前は。


ヴィオラに。


見せてもらった。


今日は。


自分で。


見ている。


雲が。


流れている。


同じ。


空。


少し。


低いところに。


屋根。


その向こうに。


木。


風で。


揺れている。


世界。


ちゃんと。


ある。


知っていた。


でも。


見るのは。


違う。


「どう?」


ヴィオラが。


聞く。


一回。


何が。


一回なのか。


分からない。


でも。


たぶん。


伝わった。


ヴィオラが。


笑った。


少しして。


腕が。


疲れる。


身体が。


傾く。


すぐに。


二人の手が。


戻ってきた。


「今日はここまで」


先生。


強い。


でも。


今日は。


反対しない。


疲れた。


ゆっくり。


身体が。


倒れる。


窓が。


上へ。


消えていく。


壁。


天井。


白い。


また。


戻ってきた。


でも。


少し。


違う。


今までは。


この天井の。


下に。


いた。


今日は。


自分で。


起きた。


目を。


閉じる。


疲れた。


とても。


疲れた。


でも。


少しだけ。


嬉しい。


眠る前。


思った。


次は。


立ってみたい。


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