第57章 違和感
鏡は。
まだ。
そこにあった。
ヴィオラの。
手の中。
鏡の中には。
銀色の髪の。
女の子。
私。
見慣れない。
自分。
だった。
髪。
触ってみたい。
そう思った。
でも。
手は。
動かない。
人差し指だけ。
少し。
動く。
それでは。
届かない。
鏡を見る。
銀色。
どうして。
黒かった。
はず。
いつ。
変わった。
眠っている間。
だろうか。
どれくらい。
眠っていた。
少し。
だけ。
そのはず。
だった。
でも。
手は。
少し。
大きい。
顔も。
少し。
違う。
髪も。
違う。
少し。
では。
ないのかもしれない。
「もういい?」
ヴィオラが。
聞いた。
一回。
鏡が。
下がる。
知らない少女が。
消えた。
代わりに。
ヴィオラが。
見えた。
「びっくりしたね」
一回。
かなり。
「髪、気になる?」
一回。
「そうだよね」
ヴィオラが。
自分の髪を。
少し触った。
「綺麗だと思うけど」
そういう。
問題ではない。
二回。
「あ、違う?」
一回。
「……そっか」
ヴィオラが。
困ったように。
笑う。
伝わらない。
どうして。
この色なのか。
知りたい。
いつから。
こうなのか。
知りたい。
でも。
聞けない。
目だけでは。
難しい。
話せたら。
いいのに。
口。
動け。
そう思う。
何も。
起きない。
舌。
少し。
動く。
気がする。
でも。
声には。
ならない。
「何か言いたい?」
一回。
「聞きたいこと?」
一回。
ヴィオラが。
少し考える。
「髪のこと?」
一回。
通じた。
「どうして、この色なのか?」
一回。
すごい。
ヴィオラが。
少し。
黙った。
「……ごめん」
何。
「私も、分からないの」
そう。
なのか。
「私が知ってる時には、もうその色だったから」
いつから。
知っている。
そう聞きたい。
でも。
聞けない。
また。
質問が。
増えた。
ヴィオラを見る。
ヴィオラも。
こちらを見る。
「役に立てなくて、ごめんね」
二回。
違う。
役に。
立っている。
たくさん。
でも。
伝えられない。
困る。
「違う?」
一回。
ヴィオラが。
少し。
笑った。
「じゃあ、よかった」
鏡を。
机に置く。
銀色の髪は。
もう。
見えない。
でも。
ある。
手も。
顔も。
髪も。
覚えているものと。
少しずつ。
違う。
少し。
寝ただけ。
本当に。
そうなのだろうか。
サウラ。
返事は。
ない。
ヴィオラは。
椅子に座った。
いつもの。
場所。
窓から。
光が。
入っている。
昨日と。
同じように。
時間が。
過ぎていく。




