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第三皇女の約束  作者: トカゲ


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第54章 知らない部屋

アネクシアは。

目を動かす。


右。

左。

上。


下。


難しい。


少し。

見える。


ヴィオラ。

椅子。

窓。

天井。


「……練習?」


一回。


ヴィオラが。

少し笑った。


目を。

動かす。


ヴィオラ。

窓。

ヴィオラ。


「窓?」


違う。


二回。


「外?」


少し。

近い。


でも。

違う。


二回。


ヴィオラが。

考える。


もう一度。


ヴィオラ。

窓。

ヴィオラ。


「……ここ?」


一回。


「ここがどこか、知りたい?」


一回。


通じた。


「ここは、私の家」


家。


「この部屋は、客室」


客室。


城では。

ない。


「お城じゃないよ」


一回。


分かった。


少し。


「ここに来たこと、ある?」


二回。


ない。


ヴィオラが。

少しだけ。

目を伏せた。


また。


悲しそう。


どうして。


「外、見る?」


一回。


見たい。


ヴィオラが。

立つ。


「ちょっとだけね」


身体に。

腕が入る。


頭と。

肩を。

支えられる。


ゆっくり。


景色が。

動く。


天井が。

消える。


壁。


窓。


その向こう。


空。


青い。


空だった。


雲が。

一つ。


流れている。


木。


屋根。


知らない。


景色。


でも。


空は。

知っている。


少しだけ。


見ている。


ヴィオラは。

何も言わない。


やがて。


「戻すね」


一回。


ゆっくり。


身体が。

戻る。


また。


白い天井。


見慣れてきた。


でも。


その向こうに。


空があることを。


知った。


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