第100章 帰ってきた
朝。
目を開ける。
空。
二回目。
昨日より。
驚かない。
ここ。
帰る途中。
身体を。
動かす。
足。
重い。
でも。
昨日の朝より。
少し。
軽い。
肩。
まだ。
少し。
背中。
痛くない。
起きる。
立つ。
大丈夫。
違う。
考える。
疲れている。
でも。
昨日より。
軽い。
それで。
いい。
⸻
火。
小さい。
ヴィオラが。
起きている。
アルベルトも。
二人とも。
もう。
何か。
している。
早い。
騎士。
だから。
たぶん。
「おはよう」
「……おはよう」
ヴィオラが。
見る。
「どう?」
すぐには。
答えない。
身体。
もう一度。
見る。
「……疲れてます」
「うん」
「でも。昨日より。軽い」
「そっか」
それだけ。
昨日。
帰らなかった。
今日。
少し。
軽い。
だから。
昨日の判断。
たぶん。
よかった。
⸻
朝食。
食べる。
昨日より。
食べられる。
水。
飲む。
空。
明るい。
今日は。
帰る。
そう。
思う。
でも。
言わない。
まだ。
朝だから。
今日の身体で。
今日。
決める。
食べ終わる。
少し。
休む。
それから。
「……帰れそうです」
アルベルトが。
見る。
「そうか」
「はい」
「なら帰ろう」
簡単。
それだけ。
⸻
片づけ。
今日は。
手伝わない。
少し。
考えたけど。
やめる。
「……見てます」
ヴィオラが。
笑う。
「どうぞ」
見る。
布。
畳む。
荷物。
積む。
馬。
準備。
私が。
やらなくても。
進む。
全部。
自分で。
しなくていい。
前に。
覚えた。
何もしないことも。
必要な時が。
ある。
⸻
馬車。
乗る。
動く。
帰る。
昨日より。
ゆっくり。
たぶん。
でも。
気にならない。
今日中に。
帰る。
それも。
まだ。
決めなくていい。
帰る。
それだけ。
⸻
道。
木。
畑。
少しずつ。
増える。
人。
荷車。
家。
知っているもの。
増えていく。
町。
まだ。
見えない。
でも。
近づいている。
分かる。
昨日まで。
遠くへ。
行く時は。
知らないものが。
増えた。
今日は。
知っているものが。
増える。
それが。
少し。
嬉しい。
⸻
休憩。
降りる。
歩く。
昨日より。
足が。
動く。
でも。
長くは。
歩かない。
水。
飲む。
座る。
「まだ休む?」
ヴィオラ。
考える。
「……もう少し」
「うん」
少し。
本当に。
少し。
それから。
自分で。
立つ。
「行けます」
また。
進む。
⸻
昼。
食べる。
今日は。
午後のために。
最初から。
横になる。
午後も。
ある。
だから。
寝る。
目を。
閉じる。
風。
馬。
ヴィオラたちの。
声。
少し。
聞こえる。
眠る。
⸻
起きる。
身体。
軽い。
全部では。
ない。
でも。
帰れる。
今度は。
そう。
思う。
「……行きたいです」
ヴィオラ。
「うん」
馬車へ。
⸻
午後。
しばらく。
窓の外。
道。
見ていた。
そして。
見える。
遠く。
建物。
増える。
道幅。
少し。
広い。
人。
知っている。
場所。
「……町」
声。
出た。
ヴィオラが。
外を見る。
「うん」
町。
帰ってきた。
違う。
まだ。
屋敷では。
ない。
でも。
知っている場所。
馬車が。
入る。
音。
人。
店。
前に。
歩いた道。
前に。
疲れた道。
前に。
怖かった道。
今も。
少し。
疲れる。
人も。
多い。
でも。
知っている。
窓から。
見る。
「あ」
ヴィオラ。
「どうしたの?」
「……あそこ」
店。
前に。
見た。
「覚えてた?」
「はい」
一つ。
また。
知っているもの。
増える。
⸻
町を。
抜ける。
道。
もっと。
知っている。
胸。
少し。
速くなる。
疲れ。
では。
ない。
たぶん。
もうすぐ。
帰る。
⸻
門。
見える。
アークス家。
止まる。
息。
少し。
詰まる。
何で。
分からない。
帰りたかった。
昨日。
ずっと。
今日も。
帰ってきた。
馬車が。
門を。
通る。
庭。
木。
前に。
目標にした木。
近い。
今は。
通り過ぎる。
玄関。
人。
いる。
カイル。
ノア。
ミーナ。
先生も。
いる。
先生。
来てる。
少し。
笑う。
馬車が。
止まる。
ヴィオラが。
先に降りる。
私も。
降りる。
足。
地面。
知っている。
地面。
⸻
「おかえり」
カイル。
すぐ。
言った。
胸。
少し。
痛い。
違う。
何か。
いっぱい。
言葉。
出そう。
でも。
止まる。
今は。
まだ。
うまく。
言えない。
一回。
頷く。
「……帰ってきました」
カイルが。
少しだけ。
笑う。
「うん」
ノア。
横。
「土産は?」
見る。
「……ない」
「知ってる」
なら。
聞かないで。
「本人が帰ってきたからいいだろ」
カイル。
ノアが。
肩を。
すくめる。
「だから最初からそう言ってんじゃん」
そうだった。
ミーナ。
「お疲れさまでした」
「……はい」
少し。
考える。
「お腹。空きました」
ミーナが。
笑う。
「すぐにご用意します」
嬉しい。
⸻
でも。
先に。
先生。
「食べる前にちょっとだけいい?」
「はい」
診察。
部屋。
いつもの。
椅子。
座る。
先生が。
見る。
足。
肩。
背中。
脈。
呼吸。
「疲れてるね」
「はい」
すぐ。
言えた。
「痛いところは?」
「今は。ないです」
「気持ち悪い?」
「ない」
先生が。
頷く。
「じゃあ今日は食べて、休もう」
「……はい」
少し。
待つ。
聞きたい。
先生が。
気づく。
「何?」
「……練習」
「うん」
「どうでしたか」
先生が。
少し。
考える。
「アネクシアは、どう思う?」
やっぱり。
返された。
考える。
⸻
宿場。
着かなかった。
途中で。
止まった。
外で。
眠った。
帰り。
一日で。
帰れなかった。
もう一泊。
した。
予定。
ほとんど。
違った。
でも。
疲れたと。
言えた。
止まりたいと。
言えた。
帰りたいとも。
言えた。
今日帰らないとも。
決めた。
休んだ。
それから。
帰った。
「……予定どおりでは。なかった」
「うん」
「宿場にも。行かなかった」
「うん」
「一泊の予定が。二泊になった」
「うん」
それでも。
「……帰ってきた」
先生が。
笑う。
「うん」
それだけ。
分かる。
たぶん。
⸻
「成功?」
聞く。
先生。
首を。
少し。
傾ける。
「どう思う?」
また。
考える。
前。
宿で。
朝まで。
眠った時。
またできる。
だから。
成功。
自分で。
決めた。
今回。
同じでは。
ない。
でも。
また。
疲れたら。
止まれる。
予定が。
変わっても。
考えられる。
帰りたくても。
必要なら。
休める。
そして。
帰れる。
「……成功」
先生が。
頷く。
「私もそう思う」
少し。
嬉しい。
⸻
部屋。
戻る。
自分の。
部屋。
扉。
開ける。
ベッド。
机。
窓。
全部。
知っている。
鞄を。
置く。
座る。
柔らかい。
外より。
ずっと。
天井。
いつもの。
見上げる。
帰ってきた。
⸻
でも。
まだ。
故郷へは。
行っていない。
今回。
途中まで。
行って。
途中で。
止まって。
帰ってきただけ。
それでも。
分かった。
旅は。
予定どおりに。
進むことでは。
ない。
止まることも。
泊まることも。
予定を。
変えることも。
帰るためなら。
道の途中。
⸻
故郷へ。
行く。
日。
まだ。
決まっていない。
先生に。
診てもらって。
身体が。
戻って。
それから。
決める。
前なら。
早く。
決めたかった。
今は。
少し。
待てる。
道は。
消えない。
故郷も。
消えない。
そして。
ここも。
消えない。
帰ってくる場所。
ある。
目を。
閉じる。
今日は。
もう。
何もしない。
帰ってきたから。
休む。
それで。
いい。




