第99章 帰る途中
朝。
目を開ける。
空。
違う。
天井が。
ない。
少し。
止まる。
そうだった。
外。
昨日。
自分で。
止まった場所。
身体を。
動かす。
肩。
重い。
背中。
少し。
痛い。
足。
昨日より。
重い。
でも。
動く。
起きる。
空気。
冷たい。
火は。
小さくなっている。
アルベルト。
起きている。
ヴィオラも。
「おはよう」
「……おはよう」
声。
少し。
変。
眠い。
「眠れた?」
考える。
「……少し」
何度か。
起きた。
音。
風。
知らない音。
馬。
木。
でも。
眠った。
朝まで。
ここにいた。
「身体は?」
ヴィオラ。
見る。
昨日より。
分かる。
「……足。重い」
「他は?」
「肩と。背中」
「痛い?」
「背中は。少し」
言う。
すぐ。
ヴィオラが。
頷く。
「分かった」
それだけ。
朝。
食べる。
温かいもの。
アルベルトが。
用意した。
意外。
「……できるんですね」
「何がだ」
「料理」
ヴィオラが。
横を向く。
笑っている。
アルベルト。
少し。
止まる。
「湯を沸かす程度はできる」
料理では。
なかった。
たぶん。
食べる。
身体が。
少し。
戻る。
でも。
昨日の朝とは。
違う。
軽くは。
ない。
今日。
帰る。
片づけ。
手伝う。
一つ。
二つ。
身体。
見る。
まだ。
三つ目。
持つ。
少し。
重い。
「……ここまで」
「うん」
ヴィオラが。
受け取る。
昨日と。
同じ。
でも。
今日は。
昨日より。
早い。
それで。
いい。
馬車へ。
乗る。
来た道を。
戻る。
動く。
揺れる。
昨日。
見た景色。
反対から。
木。
道。
畑。
少しずつ。
知っているものに。
戻っていく。
帰っている。
たぶん。
でも。
身体。
昨日より。
重い。
座っているだけでも。
少し。
疲れる。
目を。
閉じる。
眠る。
少し。
起きる。
まだ。
馬車。
進んでいる。
「気分悪くない?」
ヴィオラ。
「……大丈夫」
少し。
間。
違う。
「でも。疲れてる」
「うん」
言えた。
昼。
止まる。
昨日と。
違う場所。
降りる。
足。
地面。
少し。
固い。
歩く。
三歩。
四歩。
大丈夫。
でも。
座りたい。
「……座ります」
「うん」
座る。
食べる。
昨日より。
ゆっくり。
パン。
噛む。
飲む。
また。
食べる。
ヴィオラ。
何も。
急かさない。
アルベルトも。
「今日中に着く?」
聞く。
アルベルトが。
道を見る。
「このまま進めばな」
このまま。
「……このまま」
「休憩を増やせば遅くなる」
当たり前。
「夕方を過ぎる可能性もある」
考える。
今日。
帰る予定。
屋敷。
自分の部屋。
いつもの。
天井。
帰りたい。
でも。
急いだら。
どうなる。
分からない。
「今、決める必要はない」
アルベルト。
見る。
「午後の様子を見ればいい」
その時に。
考える。
また。
それで。
いい。
横になる。
目を。
閉じる。
眠る。
今度は。
ちゃんと。
起きる。
少し。
身体が。
軽い。
でも。
昨日の朝ほどでは。
ない。
戻った。
全部では。
ない。
それも。
分かる。
「行けそう?」
ヴィオラ。
「……はい」
少し。
考える。
「でも。ゆっくり」
「分かった」
午後。
馬車。
進む。
休む。
また。
進む。
昨日より。
遅い。
たぶん。
道は。
同じ。
距離も。
同じ。
でも。
身体が。
違う。
だから。
同じようには。
進めない。
前なら。
昨日できたなら。
今日もできると。
思ったかもしれない。
今は。
今日の身体で。
決める。
また。
止まる。
予定より。
早い休憩。
たぶん。
ヴィオラが。
水を渡す。
飲む。
「どう?」
聞かれる。
身体。
見る。
足。
重い。
肩。
重い。
背中。
朝よりは。
いい。
頭。
大丈夫。
気持ち悪くない。
まだ。
行ける。
でも。
屋敷まで。
まだ。
ある。
「……あと。どのくらい?」
アルベルト。
少し。
考える。
「今のペースなら、日が落ちてからになる」
日が。
落ちてから。
暗い道。
馬車。
疲れた身体。
それでも。
帰れる。
たぶん。
でも。
昨日。
止まった。
帰るために。
今日も。
同じ。
帰るために。
どうする。
「この先に、休める場所はありますか」
聞く。
アルベルトが。
こちらを見る。
少し。
間。
「ある」
それだけ。
「泊まれますか」
「必要なら」
必要。
なのか。
分からない。
ヴィオラを見る。
答えない。
やっぱり。
意地悪。
少し。
でも。
昨日。
できた。
自分で。
今日も。
考える。
帰りたい。
今日。
帰りたい。
カイル。
ノア。
ミーナ。
先生。
いる。
たぶん。
待っている。
でも。
遅くなって。
もっと疲れて。
帰る。
それが。
帰るために。
いいのか。
違う。
気がする。
「……今日」
言う。
昨日より。
少し。
言いにくい。
昨日は。
宿場へ。
行くのを。
やめた。
今日は。
家へ。
帰るのを。
今日だけ。
やめる。
違う。
帰るのを。
やめるわけでは。
ない。
今日中に。
帰るのを。
やめる。
「……もう一泊。したいです」
ヴィオラ。
すぐ。
「うん」
アルベルトも。
「分かった」
また。
それだけ。
胸。
少し。
痛い。
違う。
寂しい。
たぶん。
「……帰りたいけど」
言う。
ヴィオラ。
「うん」
「今日。帰らない」
「うん」
「明日。帰る」
「うん」
三回。
同じ。
少し。
安心する。
馬車。
少しだけ。
進む。
道から。
外れる。
昨日とは。
違う場所。
木。
水。
平らな地面。
泊まれる。
大人たちは。
また。
迷わず。
動く。
アルベルト。
馬。
ヴィオラ。
荷物。
私。
今日は。
あまり。
手伝わない。
「……休みます」
「そうして」
座る。
見ている。
それだけ。
昨日なら。
少しは。
やった。
今日は。
やらない。
それも。
決めた。
夕方。
火。
二回目。
予定には。
なかった。
たぶん。
最初から。
可能性には。
入っていた。
「……これも。知ってた?」
ヴィオラに。
聞く。
「何が?」
「帰りに。もう一泊」
ヴィオラ。
少し。
笑う。
「するかもしれないとは思ってた」
やっぱり。
「……意地悪」
「また?」
「二回目」
「ごめん」
笑っている。
反省していない。
たぶん。
アルベルト。
火の向こう。
「帰路の方が疲労が残ることは珍しくない」
「……知ってた?」
「当然だ」
騎士。
だった。
二人とも。
「なら。言って」
「言えば予定にするだろう」
同じ。
むっとする。
でも。
分かる。
「……三回目は?」
聞く。
「何がだ」
「意地悪」
アルベルト。
少し。
考える。
「必要なら」
嫌。
夜。
横になる。
空。
昨日と。
違う。
でも。
二回目。
野宿。
知らない場所。
なのに。
昨日より。
少し。
知っている。
野宿というものを。
知ったから。
身体は。
昨日より。
疲れている。
でも。
心は。
少し。
静か。
今日。
帰れなかった。
違う。
帰らなかった。
帰るために。
泊まった。
ここ。
大事。
たぶん。
目を。
閉じる。
屋敷。
思い出す。
自分の部屋。
ベッド。
いつもの。
天井。
帰りたい。
それで。
いい。
帰りたいから。
無理をして。
今日帰る。
では。
ない。
明日。
帰れるように。
今日。
止まる。
昨日。
宿場へ行くための道で。
止まった。
今日は。
家へ帰る道で。
止まった。
どちらも。
道の途中。
行く途中。
帰る途中。
止まっても。
道は。
消えない。
明日も。
続いている。
たぶん。
でも。
帰ることは。
たぶんでは。
ない。
帰る。
今日は。
帰る途中の。
一泊。




