第86話 「攻撃魔法」
体がだるい。
そんな事を思いつつアフタヌーンティーを飲む。
SSランクであるそれは優雅な物、のはずなのだが…寝た気がしない。
体が疲労している。そして張り紙の内容をマテリアルプレートで拝見していた。
情報収集は何時も通りなのだが、とある記事を見つける。
──大妖精の舞踏か?
またしていたらしい、悪い癖だ。
インスピレーションを刺激された時は決まってどこかで寝ている間に出てしまう。
蝶が自身の周りを闊歩するようにひらひらと舞っていた。
小さい小さい蝶は迷いの具現をするかのようにそこに居た。
──。
時間は過ぎ、ここアストリアの演習場には契約獣との授業が始まっていた。
「──今日は契約獣との攻撃方法についてなのだ!」
胸を張りながら腰に手を当てて自信満々にドヤ顔で言うメルフィス先生は1年を集めていた。
「もうやっているのもいるが、今回は連携について話していくのだ」
そんなメルフィス先生指示の下、契約獣たちと授業を受ける事になった。
「それとまだ契約していない奴は今日はテイムの方向で行くのだ!」
(となるとクローディアさんもテイム側なんですね。頑張ってください…!)
メルフィス先生が「では契約してないのはこっちに来るのだ!」と言いながら集めて行く中にクローディアさんも入って行ってた。
「さて…キナコ、どうしましょうか…?」
連携と言っても私は魔法が使えず皆のように自らドンっと出すような魔力は無い。
「それじゃあテイム場所まで連れて行く間は自習なのだ!」
と言いつつクローディアさんやその他のまだ契約していない4組の人たちを連れて行く。
周りにはポヨン、アシス、メロデ、フラワ、ヒヤンを撫でると何時も通り喜ぶ様子が広がりつつ、首を傾げていた。
「連携…連携…」
──私達ができる連携といえば…。
アシスと目線だけでハイタッチ、ポヨンが飛んでぐらぐらせず頭に乗れる、わっかを作ると鼻先をスポッと入れるフラワ、一緒に歌うメロデ、寸分たがわずすぽっと胡坐をかくと埋まるヒヤン、腕の所で器用に立つキナコ。
その様子を見てルイネさんがスーッと寄ってくる。
「大道芸か!?ずっと見とったらツッコミ我慢できんなったやん!?」
「えっ、違うんですか?!」
「ちゃうわ?!」
「…連携は戦闘用の。セリアのは生活用。」
「戦闘用…」
ん-と考えているとルーテリアさんが来る。
「何かありませんの?種火ならできますのに」
「一応うちも出来ん事ないから弱くやけど…──炎輪」
そう言ってルイネさんは普段使わない火魔法を手元に出す。
炎の輪が手の上でくるくると回っている。
「おぉ…で、これをどうするんですか?」
「ええか?前授業で言ってたやろ?こうやって。」
投げると地面にバスンッっと当たって弾けて消える。
「とりあえずやってみ?」
と言っても私も詠唱をしてやっても…。
「──炎輪?」
────シーン。
メロデがツンツンっと嘴でつつくほどにはなーんにも起きない。
「やっぱアカンかぁ…。とりあえず石でも投げとく…?」
「投石ならできますよ!水の上いっぱい跳ねますから!」
「せ、セリアさん…それ水切りです…」
エルマさんが苦笑しながら歩いてくる。
「~…セリアさん、あなたいつも種火を使う時に詠唱していませんわよね。何を思って出していますの?」
「へ?えーと…こう、木を燃やして…ちりちりって火花が出る感じで、燃え広がって…手のひらから出る感じ…でしょうか?」
「……」
少しルーテリアさんは考える様子で目を細める。
「…ルーテリアさん?」
「セリアさん。その火を輪になるように広げてできませんの?」
「やろうとしてるんですけど、毎回でなくて…」
「詠唱無しで良いですわ。あなたの思うままにやってみてくださいまし」
「ルーテリア、言いたい事はわかるけど、戦闘系魔法のレベル1とはいえそない簡単に──。」
(火を輪に…ん-…灯していく?蠟燭同士なら燃え広がりますよね…。てなると…それを円に…)
目を瞑りながら一度呪文を全て無い状態で考えてみる。
手のひらで想像を膨らますようにまずは火を灯す。
ぽっ。
小さい青い火。昔から唯一いっぱい教えてもらって出来た火の魔法をゆっくりと輪になるように灯すイメージを広げていく。
(蝋燭…輪っかに配置して…灯していく…円の火…綺麗な星のような。)
ちりちりっと青い炎は揺れだし引き延ばされるように、小さい丸になっていく。
「──やはり」
(穴が開いた、光の輪…火が広がって、揺らめく綺麗な…)
指輪ほどの青い真円の火ノ輪が手元に形成される。
「…セリアセリア。目開けてみ」
「…?」
目を開けると、今までできなかったレベル1の炎輪がそこにあった。
「…出来ました!炎輪!」
ミィさんはそれを見て「おー…」と言いながら拍手していた。
「ではそれを上空で弾けるようにイメージできまして?」
「上空で弾ける…弾ける…」
──弾ける火。一度夜にお師匠様が見せてくれた”花火”という魔法。ふとその綺麗な夜空を小さく彩る姿を想像した。
そのイメージを膨らまして上空に投げる。
高く飛んで、炎の花びらが広がって綺麗な。
パーンッ!
ビクッとして上を見ると、”小さい花火”が打ちあがっていた。
「え……攻撃魔法…出来た?」
「マジか…撃てた…ってセリア大丈夫か!?」
ふと視界が明滅して「あれ?」と言いつつ視界が地面に吸い寄せられと思うと誰かに受け止められた。




