第82話 「お気に入り」
その日から少しずつ周りが見る目線?が変わりだした。
今日は後で皆さん来るとのことで、現状はキナコと二人っきりの中、一人更に加わっていた。
「んー…。そこもうちょっとぉ…」
「ふふっ、撫でられるの好きですね?」
すっかりアレから撫でられるのが好きになったジョルティアさんが定期的に来るようになっていた。
「ねぇ、なんでSランクがGランクに…?」
「魅了の魔法でも使ってるのか」
「弱み握られてるとか…?」
そんな声もどうでも良さそうに尻尾をゆらゆらしながら寝転がって耳をピコピコとしつつも無防備に撫でられていた。
「──報告があったから来てみれば…何してんの駄猫」
見た事の無い小柄な女の子と、大柄な男性がこっちに歩み寄りながら膝上でだらけてるジョルティアさんに言っていた。
「ん?あっ、やっほーゼフィールちゃーん。オーランドく~ん」
手をひらひらとしてる様子から見るに、知ってる方々のようだ。
「同級生にこんな可愛い人居たんですね…?」
「ちょっと、どこ見ながら可愛いって言ってんのよ」
ジト目で片手を腰に当てつつ言う。
「言っておくけどアンタより学年上なんだけど?」
「えっ…?!」
「えっ、って何よえって」
「また幼女って言われてるー♪」
「黙りなさい駄猫」
その様子を見守る大柄な男性は「ふむ…」とジョルティアさんと私を交互に見ていた。
「あっ、セリア・レインです」
「ゼフィール」
「オーランドだ」
「ゼフィールちゃんも撫でられたらわかるよ?この気持ちよさ~」
「絶対嫌」
ジョルティアさんは「じゃあ独り占めするー♪」と言いつつ膝枕になる形で思いっきり私に甘えた様子になっていた。
「にしても妙だな。ジョルティアがこんなに甘えるなんて」
「…マタタビ茶でも渡した?」
「マタタビ茶ですか…?いえ、あげてないですよ…?」
「じゃあ何?警戒心抱かせずに居心地良さだけって事?」
「せいかーい♪ なんか陽だまりみたいなんだよね~セリアちゃーん♪」
「陽だまり…あ、ならポヨン呼びますか?」
疑問に思うように私を見るのでとりあえず呼んでみる。
「ポヨン、おいで」
魂結びの呼子石を使って呼び掛けるようにするとすぐにぴょんぴょんと跳ねて飛び込んでくる。
「あ、陽溜まりのスライムだ!」
「はい。ポヨンは甘い良い香りを出してくれるので近くにいると落ち着くんですよね」
ポヨンはぷるぷるとしてからジョルティアさんのお腹の上に乗っかる形で甘い香りを軽く出す。
「この匂い、私もですけど、キナコも好きなんですよね」
撫でながらキナコに問いかけると「ぴっ」と肯定するように鳴く。
そしてポヨンも撫でると更にとろけた感じになって香りが広がる。
「──ねぇ馬鹿兄貴。アレ飼いならされてない?」
「まぁ、そうだろうな…?」
「というか…駄猫、アンタ怪力でもあるから何してても止めれないのを良い事に好き勝手してるわね」
「むー、猫は気ままなの~」
「物凄く浮いてるのはわかってるか?一応二年だぞ?」
オーランドさんがそう言うと「わかってまーす。でも構いませ~ん♪」と気にも留めない様子で足を揺らす。
「…なら駄猫。あんたの感想的にソイツはどういう感じなの?」
「完全な白!嘘ついてる様子も無し!♪」
片腕を上げつつ猫の手をしながら言うジョルティアさんの言葉に「何のことです…?」と言いつつ首を傾げる。
「視察って言ったでしょー?」
「あぁ…そういえば言ってましたね?」
ジト目でゼフィールさんがジョルティアさんを見るも本人はポヨンを抱えるみたいにしつつ私を下から見上げる。
「直観鋭いからねんっ。なんかそういうの気になったら見に来るんだ~?」
「えーと…となると、信用してもらったって事です?」
ジョルティアさんが「うんっ♪」と言うので顎下を撫でるとぐるぐると喉が鳴ってしまいつつ気持ちよさそうにする。
「…で?完全白ってことは根拠は何かあったの?」
「ん-とね、契約獣とかの反応かな。何回も接し方とか見たけど心から喜んでる感じがあったからね。野生の子が心許すのってそういうのかなって?」
「…どう思う?馬鹿兄貴」
「ん-、ジョルティアが嘘を言うとも思わないが…」
「じゃあ任せますか。対応してたらこっちが色々面倒だし」
そう言って何か納得した様子でゼフィールさんが踵を返す。
「なら、セリアだったな。ジョルティアを頼んだ。」
「え?わかりました…?」
首を傾げながら了承すると踵を返して歩いていく。




