第66話 「砕ける音」
誘導をさせるセリア一行を、当初の予定通り、遠くから見守る形で2人はレオニダスに致命の一撃を放つ為に狙撃位置で身を隠していた。
「………。」
カモフラージュで複数土壁が用意され、その一つの中にミィ・ラシールは滞在、機会を伺っていた。
「…ギャレット、蓄積…まだ?」
「もうちょっとだ…。増幅陣を入れてるとは言え…一発が限度だからな…」
──事の発端はセリアの一言だった。
「あの。前にあった魔力暴走を使って撃ち出すのはできます…?」
「「「は?」」」
「ほら、爆発がすごかったじゃないですか。アレを逆に利用すれば普通よりもどかーんとなるのかなって…?」
「なんだその悪魔的な発想は…」
「お師匠様がやってた事でして…その、吹き矢を撃つ時に長い筒状に思いっきり力を加えると強さが上がる…とかいうのが…」
私自身も理屈がわからないまま「そんなまさか」という声も上がりつつ、ギルフォードさんが土魔法で手元に長細い筒を作り出す。
「…まぁ、検証する価値はあるか。それで、やり方はあるか?」
「私も聞いた程度で…でもこう、魔力をぼんっとしたら逃げ場が無くなって速くなるとか…。」
そんなふんわりとした言葉を独自解釈でギルフォードさんが作っていく。
「筒状で、弾があって、逃げ道を消す…。発射口だけが空いてる状態で、反対から衝撃を放つ…となるとこんな感じか…?」
そこには細長い部分とぶら下がるようにして大きくなった場所があった。
「わぁ…提灯みたい」
私がそう言っているとミィさんは内容を見ていた。
「…爆発自体は魔法である。それで利用する。」
「なら俺か…?」
そこで、ギャレットさんが名乗りを上げる中ゼクスさんは資料を呼んでいた。
「土と火…爆発に関しては得意分野か」
「ま、まぁそうっすね…?」
そう言いつつ実際にギャレットさんはやってみる。
「まずは普通の小型爆発系だ。的に向かって撃つんだ」
ギルフォードさんがそう言うと「うっす!」と言いながら実際に小さく魔力を流し込んでいく。
「爆散炎…ッ!」
チリッ、ヂリリッ…ジッ。
パァァアアンッ!
圧縮されたような音が響くと、ギャレットさんが耳を抑える。
「こんなデカい音出るなんて聞いてないぞ!?」
「…うるさい。」
「めっちゃデカいな…!?」
「それより、弾はどうなりましたの?」
片耳を抑えながら言うルーテリアさんの言葉に「あ、そうだ」と周りが気が付き、発射先を見ると。
弾は的を貫通しており、背面の壁にめり込んでいた。
「えっ…へ…え?」
「嘘でしょ…そんな事ある…?」
エルマさんとクローディアさんもその様子を見て絶句していたがギルフォードさんは分析を続けいてた。
「筒の先が裂けるな…。力に耐えれないのか…」
私もその様子を見て少し困惑していた。
「こんなに強くなるんですね…あの、作戦に使えますか…?」
「あぁ。これなら奇襲という形で行けるが…多少練習は必要だな」
「なら、まずはその練習ですわね。ギャレットさん、出来る限り小規模な爆破を練習してくださいまし」
「えっ、う、うっす!」
──。
ぶっつけ本番、最大火力の一撃。
しかし何度やっても一回で筒が壊れてしまっていたので、失敗は許されなかった。
「…ふぅ…やばい…やばい…」
そんなギャレット横目に肩に置く。
「…深呼吸。軸は合わせる。」
「…わ、わかってるよ…んなの…。」
深呼吸をして能力を圧縮するように一点集中させていく。
「…そろそろ。」
「あぁ…思いっきり入れる…!」
魔力過負荷状態、本来なら危険な状態を背面に持たせたまま、発射口を空中で追いかけるレオニダスに合わせる。
「そろそろ爆発するぞ…!」
「…何時でも」
チッ。
臨界点に到達した魔力暴走は、爆発という形を取って外に逃げようとする。
その力を利用し、中に入れた弾丸が途轍もない速度で射出され、瞬時に対象を捉える。
逃げ場を一方向に限定することで、暴走した魔力の圧力を弾丸へ集中させた。
──。
パスンッ…。パリィンッ!!!
弾丸がレオニダスを横切ったかと思ったら、生命結界石が砕け散る音が響き渡った。
「な─……ッ!?」
『戦闘不能を確認。レオニダス・ノルディン、リタイア』
アナウンスが流れ、地面に落ちるようにして粒子となり、転送される。
『リーダー不在による条件勝利を確認。』
そのアナウンスが流れると同時くらいに私達は何とか態勢を整えて停止する。
「はぁッ…はぁ…ッ」
ルーテリアさんが肩で息をする中、私は背中をさする。
「大丈夫ですか、ルーテリアさん…?」
「え、えぇ…何とか…」
頷くルーテリアさんを見ていると「大丈夫かー二人ともー!」とルイネさん達が来る。
「ルーテリアでそうなるんやったら、今度は効率なんとかせなアカンな…この車。」
「~、あ!そうだ!皆お願いします!」
私がそう言うと一鳴きしてメロデの歌声が響き、フラワが目を瞑ると周りに花々が広がり、ポヨンが近くに行くとふわりと甘い香りが広がる。
キナコは両手をあげてふりとふりとしながら、ヒヤン座って耳をパタパタとさせる。
「…ふふっ。ありがとうございます」
その光景を見てルーテリアさんはくすりと笑いつつ深呼吸する。
「まぁ、持ち上げるんはうちがするからさ」
そう言ってルーテリアさんに肩を貸して立ち上がらせる。
何とか勝った私達はふわりと浮遊感が襲い、闘技場の中心へと戻されました。
──。
「…4組の、勝利。なんとっ!!4組の勝利です!!!」
「改善点はありますが、ランク差を覆す狙撃が決め手でしたね~?」
そんなアナウンスが広がる中、会場が熱狂していた。
「すげぇー!」
「下剋上できるのか!?」
「ロット上がるぞ!賭けろ賭けろ!!!」
観客たちが熱狂する中、アナウンスが流れる。
「熱狂が冷めやらぬ状態ですが!まずは2年と3年の合計4ブロックを始めます!」




