第64話 「初の対抗戦!」
「…………」
一瞬、闘技場から音が消えた。
誰もが、さっきまで1組の勝利を確信していた。
だが結果は――逆転。
「……SSランクって、あんなのありかよ」
「Sランク二人を正面から倒したぞ……」
「最初から、全部計算してたのか……?」
そんな観客席では、単なるランク差による暴力だという者もいれば、戦略勝ちだったという者もいた。
──。
「すごいですね…。炎がどかーんとなって…周りがめらめらっとして…光がばーっと…」
私がふわっとした感想を出しているとギルフォードは溜息をつきながら眼鏡を直す。
「ま、まぁ…Gランクにはそう見えるか。だがまぁアレは我々では手に余るな。」
「えぇ。あの裁きの光は広範囲の攻撃。しかもあの方はあの魔法を得意としながら空間魔法も得意ですわ」
「…空間魔法は、リキャスト長いけどワープできる」
「せやけど、まずは目の前のレオニダスやろ。どうするん、3分後集合やろ?」
懐に居たキナコが出てきて私を見つめる。
「…手助け、お願いしますね?」
私がそう言って怖がらないように撫でると「ぴっ」と1つ鳴いて、また木の実を出す。
「ん…?6個目ですね…?でもちょっと見た目が違うような…?」
それはいままで貰っていたどんぐり型ではなく、ブルーベリーのような丸形の実だった。
「…?なんだその実。」
ゼクスさんがその光景を見て不思議そうに見る。
「えーと、いつもキナコがくれてまして。とはいっても今回のはちょっと違いますが…」
そう言いながら私はキナコに貰った木の実を入れる用の巾着にまた一つ入れる。
「…はぁ。おままごとなら後でしてくれ」
そう言っているとアナウンスが流れ、呼び出される。
「──よーっし。ほな、行こか。うちらも本気でやらんと、やしな」
「…エレアを考えるよりも、まずは目の前」
「そ、そうですね!」
「はぁ、Sいないここでどこまで行けるんだか…」
「そう思うのはわかりますわ。だからこそ、私達は他と違う事をしていますのよ。クローディアさん」
皆が行こうとするとき、ふと手を上げる。
「皆さん!とりあえず勝ち負けも大事ですけど、まずは楽しんでしましょう!」
「今言うかそれを…」
「副リーダーだけど…なんか楽観的というか」
「うーんまぁわかりはするが…」
「気負いっていると負けちゃいますから!えいえいおーって皆さんお願いします!」
少し困惑空気の中、フッとギャレットさんが笑う。
「…一番低ランクが勇気づけようとしてんだ。楽しまなきゃランクが廃るな?」
ギルフォードさんも賛同するように声を発する。
「意図は士気高揚か…。戦闘では確かに重要なものだ」
私が「それじゃあ!行きますよ!」と言ってキナコを片手に持ちながら拳を構える。
「えいっ!えいっ!」
「「「「おーっ!」」」」
キナコも私の手の上で「ぴっ!」と鳴きながら両手を上げる。
──。
「お待たせ致しました!双方準備が整ったようなので、早速入場して頂きましょう!」
アナウンスが流れ、2組VS4組の入場から入っていった。
「今年の1年生は粒ぞろい!どんな戦略が出るのか、はたまたどんなドラマが生まれるのか全くもってわかりません!」
「今回の戦闘の見どころはSランクのいない4組がどのような戦術を見せてくれるかが楽しみですね~?」
「過去に数回下剋上は達成した事はあります!ですが今回のような異例は初めて!果たして、歴史にその傷跡を残せるのか!」
双方のクラスが段上に上がり終える。
「──今回の舞台は森林に決まりました!」
そのアナウンスの声が響くと、転移門ががちゃりと開かれ、双方のクラスが中へと歩いていく。
──。
一瞬ふわりと浮遊感が体を襲ったかと思えば、そこは知らない森林地帯だった。
「凄いですよ!森林です!森です!」
「そういえば、セリアさんは転移門は初めてでしたわね」
そう言っているとゼクスさんが一言いう。
「手筈通りだ。まずは向こうの出方を見て動くぞ」
頷くとそれぞれが契約獣を出現させる。
「早速、造形組と斥候組で別れて行動。各自頼んだぞ」
号令が下り、皆さんがそれぞれの仕事へと動き始める。
「…じゃあ、造形する。」
ミィさんがそう言って契約獣のブックちゃんを開き、皆で考案した部品を作り出していく。
「え、えっと…これがこうで…こうつけて…」
エルマさんは出された部品を見て組み立てて次に渡すという事をしていく。
「とりあえず私も何かしないとですね…!」
そう言いつつ手を合わせてそっと「おいで」と呟く。
すると、呼応するようにポヨン、メロデ、アシス、フラワ、ヒヤンが出てくる。
「ふふっ。今日はよろしくお願いしますね?」
そう言いながら撫でているとギルフォードさんが来る。
「戦闘向きではないが、どれも支援向きだな…?」
「へ?そうなんですか?」
「まさか能力を知らずに使役していたのか…?」
溜息交じりにギルフォードさんは言いつつ「ともかくだ」と切り替える。
「その夕凪の歌姫鳥に頼んで精神強化をするんだ。」
「出来るかわかりませんがやってみますね。メロデ、お願いします」
撫でると「ぴぴぴっ」と言うと、私の頭の上に飛んで乗っかってから歌を披露する。
「わぁ…優しい歌声ですね…♪」
瞳を閉じてその声色を聞くと、思考がスッキリとする。
「──敵は待ってくれませんわ。この効力がある間に作ってしまいますわよ」
アシスやフラワも手伝ってくれるようで、驚くほど早く、車体の形が組み上がっていく。
その様子をギルフォードさんが監督役になり、出来上がった頃合いに私を呼ぶ。
「ガワはできた。後は手筈通りにだが、振り落とされないようにな」
頷きながらギルフォードさんに導かれるまま、私は車に乗っかると、フラワやポヨン、ヒヤンにメロデ、アシスも乗っかる。
「今回はリーダーが倒れてもアウトだ。頼んだぞ二人とも」
ルイネさんはライボルちゃんと並走、ルーテリアさんが乗って、シルヴァンちゃん引っ張る為に前の席へと乗る。
「えぇ。とはいえほぼ魔力は私主導、あまり戦闘はできませんわ」
「その為にうちがおるんやろ?」
その言葉に対して「期待していますわよルイネさん」と微笑む。
「──準備は整ったな。やり方は先日やった通りだ。魔力を推進力に、基本的には契約獣に引いてもらって戦う構造になる。機動隊以外はクリアリングしながら前身。要塞を築いて行くぞ」
ゼクスさんが軽く説明した後、私たち4組の団体戦が始まりました。




