第57話 「会議の行方」
――二時限目からは自由時間なのもあり、作戦会議をしようとゼクスさんが提案をする。
「まずは全員の属性把握からだ」
そう言いつつそれぞれの主な属性を書くように指示し、ゼクスさんは全員のを纏める。
「――…攻撃よりも防御系が強いか。」
そう言いながら顎に手を添えて考える。
私も纏められたのを見る。
「…ん-…属性は偏ってますね?」
実際、戦闘向きとされる火や雷は少なく、土がもっとも多いという雰囲気でした。
「防御をしながらか…」
「ならそもそも地形を作ってしまうのは?」
「…地形を作る?」
「ミィさんだけであのちょっとした迷路を作れるなら、こっちに有利になるように作ってしまえばいいのかな…と?」
「…ふむ。」
「そんな簡単に出来るわけがないだろ。」
「そうよ。それにそれは魔道書喰いの使い魔の記録詠唱でしょ」
「開始即座にやるなんて通常はできないが」
「なら枠組みを作ってもらってそこから皆さんので作れば遅延は出来るかなと?」
「なるほどな。即座に出来るミィ君を先に完了させてからその他のを入れて小城を作るという事か」
それに対してギルフォードさんが手を上げる。
「それをすれば一網打尽にならないか?範囲攻撃持ちもSがいる以上してくる可能性がある」
「ん-…ならその小城を囮にして別動隊で動くとか」
私がそう言うとゼクスさんは机をトントンとしながら少し小さい声で言う。
「目の前の大きなのを囮か…となると攻撃を集中させられる分動きやすいな」
「でしたら私からも。以前にセリアさんので意表を突いた行動ができたのは、造形が出来るかもというのがありましたわ」
「あぁっ、あの旗ですね!」
「えぇ。逆に言えばそう言うのを使えば他戦力の威力補強もできるのではなくって?」
ゼクスさんはそのルーテリアさんの言葉を興味深そうにする。
「前にランク戦でルーテリア君が利用した銃のような形状のことか」
「えぇ。あれも最小限で効率を上げるために咄嗟にしたものですわ」
「となると、属性統一して武器を作りながら戦うというのもできるか」
そう言っているとギャレットさんが手を上げる。
「そうは言っても、あれは氷。俺みたいに火でやったらすぐ溶けたりするんじゃ?」
「そうよ。それにぶっつけ本番でそんな合わせ技みたいなのって」
「そんな精密動作できないが…」
「上位ランクとかが出来てもそれ以外出来なきゃな…?」
私は少し考えて黙ったまま皆さんの様子を見る。
「やっぱりそれならでかい一撃をドカンと一発」
「出力で負けるでしょそんなの」
「そもそも溜めてる間に終わりだろ」
そんな議論が進む中、私はふと気が付いた。
「それなら移動すれば良くないですか?」
「「「移動…?」」」
「チャリオット陣形の事か…?」
「そのチャリオット陣形?というのは解りませんが、こう箱が移動しながら攻撃してきたら嫌かなと…?」
「箱…。」
ギルフォードさんは紙に書いていく。
「箱と聞いて、魔導戦車が思い浮かんだが、こういう事か?」
「たぶんそういうのかなと。これをもっと簡易化すれば移動と攻撃で一塊で動けるかなと」
「…出来なくはない」
ボソッとミィさんが言うと皆さんそちらに目線がいく。
「…移動に火の爆発、空間の瞬間移動を使う」
ルイネさんが続けて話せるように「で、攻撃は?」と首を傾げる。
「…水や氷の弾丸を風で押し出して魔力外の攻撃を放つ」
ゼクスさんはそれを聞いて閃いたように紙に目をやる。
「幸い数人雷がいる。水が当たれば連鎖的に雷が必中…。氷の柱が入れば避雷針になって包囲網を敷けるな」
そう言っているとルーテリアさんが「ですが」と遮る。
「逆に言えばこれしかないとバレれば一瞬で瓦解致しますわ?」
「なので、折角なら上空からとか」
皆さんが目を点にしながら首を傾げる。
「鳥みたいに上からの攻撃を同時にすれば、そっちにも意識が向きますし。お師匠様が言ってた事ですが、狩りをする時は嫌がる事を意識しろと言ってたんです」
「まぁ、嫌がる事自体は鉄則ではあるが…限られた場所で嫌がることと言ってもな…」
「ほなそれこそ契約獣の能力でも使ったらどうや?」
ルイネさんがぽんっと言うと「わかっている」とゼクスさんは咳払いする。
「不本意だが…」
そう言いながら私を見る。
「セリア、今回は奇抜な作戦が刺さるかもしれない。副リーダーらしく、アイデアを出せ」
「あれ、出してますよね…?」
溜息交じりで「違うそうじゃない…」と言いながら額を抑える。
その様子を見兼ねてか、ギルフォードさんが口を挟む。
「そうだな。わかるように言い方を変えよう。セリア・レイン。君自身の暮らしの中でのその、”お師匠様”から教わった狩りの技術や経験則を組み込みたい。」
その様子を見て、面白そうにルーテリアさんがクスクスと笑う。
「あ、はい…?」
私は首を傾げながら言うと、とんとんっと肩を指で叩かれる。
「要するに、セリアさんの案がもしかしたら使いやすくなるかもしれませんから、皆さんの特技や趣味を聞いた上で意見を出してほしいそうですわ?」
やっとルーテリアさんの説明で理解して「なるほど!」と言いながら私は皆さんに趣味やよくする日課などを聞き始める。
――その様子をクローディアが同じクラスなのもあり、見ているとニナが寄ってくる。
「もしかしてあなた、セリアを副リーダーに投票した?」
ニナの方を見ずにそう言うと鼻で笑う声が聞こえる。
「あなたもでしょう。Fになって、一緒に生活して少し考え方は変わった?」
「どうだか…。ただ、見てると本当にわからなくなってきて…自分が小さい事は嫌でもわかってきたわ」
「…例の増幅陣、あの子の嫌がらせのためにしたんですってね」
「それが何?」
「いや、あのセリアって存在の教師陣が言っている噂の制御能力と掛け合わせたらどうなるかと思ってね」
「…は?」
思わずニナの方を見てしまう。
「GランクでSランクの操作を勝る、いやSSすらも勝ってしまう」
「…あの記事書いたのってまさか」
「そう。報道部の私達が記載した。」
「いつの間にそんなのが出来てたの…」
「情報は新鮮な方が良いだけ。やるからにはランク関係なく集めるだけ」
悪態をつくように溜息交じりに「格言みたいに言って――…」と言いながらもふと笑ってしまう。
「――…仮に私が直接的に増幅陣を付けたのを渡しても、たぶん制御仕切ってるでしょうね。」




