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朝は神社で掃除をしていた最弱の巫女見習い、今日から魔法学園に通います。  作者: 九尾


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第5話 「初登校日」

私たちは揃って中央校舎へと向かっていた。


すれ違う生徒たちの制服には、それぞれ異なる色の刺繍が輝いている。


青、緑、茶色。そして、ルーテリアさんの銀色。


ふと、すれ違った生徒たちが私を見てヒソヒソと声を漏らした。


「ねえ、あの子の制服……刺繍がないわよ?」

「Gランク……? 嘘でしょ、なんでAランクの方と一緒にいるのよ」

「本当にGかよ。」

「よく堂々と歩けるな。」

「隣、Aランクじゃなかった?」

「何考えてるんだあの人。」

「教師は止めないのか?」


学園の敷地に入ると、すれ違う生徒たちの視線がちらちらとこちらに向けられるのを感じます。


「(みんな、私のことを見てますね……。あ、もしかして!)」


私は今朝つけたお気に入りの組紐にそっと触れました。


「(やっぱり、この組紐可愛いですもんね! お師匠様に感謝です!)」


えへへ、とだらしない顔になりそうなのを引き締めつつ、ただ広大な学園の景色に目を輝かせていた。


「……セリアちゃん、あんま気になさんなよ?」


ルイネさんが少し心配そうに私を覗き込みます。


「え? 何がですか?」


私がきょとんとして首を傾げると、ルイネさんは少し呆れたように笑い、ミィさんは隣で「……流石」と小さく呟きました。


職員さんの案内に従い、教室に入ると、そこでも明確な『ルール』が存在していた。


「セリアちゃん、うちは真ん中あたりやけど…席順もランク順なんよ。」


ルイネさんが少し申し訳なさそうに後ろの席を指差す。


「そうなんですね! 視力には自信があるので、一番後ろでも大丈夫ですよ!」


「そういう事を言ってるわけやないんやけどなぁ…」


私が笑顔で最後列の席へ向かい、空いている場所へと座る。


しばらくすると、教室の扉が開き、長身で神経質そうな男性教師が入ってきた。


「静かに。私は本日からこのクラスの基礎魔法制御を担当する、ガーバントだ」


ガーバント先生が教卓に立つと、教室の空気がピリッと引き締まる。


「初日だが、さっそく君たちの実力を見せてもらう。種火ティンダーを使用し放出できる時間を見る」


それを聞いて「楽勝」という声が節々に上がりつつ開始の合図が鳴る。


(いつもしている着火のやつでしょうか…?)


種火ティンダー!」


各自、片手の指先や手のひらからボッっと炎が出る。


私はいつも通り、無言で両手でお椀を作り、そっと込めていく。


ぽっ。


小さい小さい、種のような火が灯る。


二十秒を過ぎた頃、後方の席からいくつか炎が消えた。


Eランクの生徒たちだ。


ゆらゆらと揺らめきつつ、周りの火は大半まだまだ余裕があるという雰囲気だが消えてしまう人もいた。


三十秒、次にDランクの炎が消えていく。


四十秒、Cランク辺りの炎が消え始める。


「…ん?」


ガーバントは教室全体を見回していたが、セリアの種火ティンダーに目をやり近寄る。


(おい待て…。なんでまだGのはずなのにずっと燃えている。…それに何故色が違う…?)


セリアの扱う種火ティンダーだけは青く、揺れもしなければ熱量が一切変わらない。


普通の種火ティンダーなら、維持している間に炎は必ず脈打つ。


だが、セリアの炎にはそれがない。


まるで最初の一瞬を、そのまま切り取って固定したようだった。


五十秒、Bが消え始める。


(あり得ん。少しは揺れるだろ…。)


そう思いつつ、不正を行ってないかを図る魔道具感知器マテリアルセンサーを少し近づける。


(…反応してくれ)


画面には『異常なし』の文字だけが静かに表示されている。


六十秒、残ったのはA以上の限られた生徒のみ。


「うわ、ちっさ」

「炎小さくして持続してるのか」

「小手先過ぎ」


そんな声がひそひそと上がる。


「…そこまで」


私はその声と共に、しゅんっと炎を消した。


ガーバントは名簿へ視線を落とす。


『セリア・レイン Gランク 制御精度:測定不可』


(……報告書の少女か)


「……よし。結果は把握した。では基礎理論に入る。」


その言葉と共に、ガーバント先生は教卓の方へと歩み始めた。


「結果は後日返却する。では今から配る教本を開け。」


教科書とノートが配られていき、私はそれらを両手でそっと受け取り、大切にしながら一ページ目を開く。


初めて聞く言葉ばかりで、必死に文字を書き留めていく。


魔力循環。


マナコア。


属性干渉。


聞き慣れない単語が次々と飛び交い、気が付けばあっという間に時間が過ぎていた。


キーンコーン……


鐘の音が校舎に響く。


「では、午前最初の授業は以上だ。」


その言葉と同時に、教室の空気がふっと緩む。


椅子を引く音。


友人同士で話し始める声。


私はその声を聞きながら一息ついて、そっとノートを閉じて鞄へしまった。

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