第46話 「”縁”」
食堂で私はキナコにご飯をあげつつ皆でご飯を食べていた。
「…セリア、思った数倍小動物」
「あんな俊敏に掃除とかしとんのになぁ…?」
「ま、まぁ…セリアさんはセリアさんですし…?」
「とはいえ、陽溜まりのスライムに手も足も出ないとは流石に思いませんでしたわ…」
私は苦笑しながらカリカリと食べるキナコを親指で撫でながら苦笑する。
「あはは…お師匠様からも物凄く弱いと言われてたので?」
そう言うとミィさんは自身の食べている大エビの海鮮リゾットから、エビをあーんっと持ってくる。
「ありがとうございます、ミィさん」
パクっと食べるとミィさんはちょっと満足そうにむふーっといった雰囲気で口角をあげる。
「…でも、セリアのご飯はこれより美味しい」
「ふふっ、ありがとうございますミィさん。そう言ってもらえると私も嬉しいです」
そうやって言いつつ、午後はポイントも貯め終わったのもあるので、私は皆を魂結びの呼子石で呼び、撫でたりして遊んだりしていく。
「ふふっ、ポヨン、大丈夫ですから」
むにむにとお腹に擦り寄って守るように平べったくなりつつ、キナコもぴとっと私にくっついていた。
私は丁度、ポイントのボーダーがあるからとルーテリアさんとルイネさんと別れており、ミィさん、エルマさんと一緒に中庭で寛いでいた。
そんな中、ふとキナコが何かに気が付いてそちらを向いたので、私もそれにつられてみると、複数人の女性が歩いて来た。
「あら、誰かと思えばGランクの」
「えーと…どうも、始めまして?」
ふんっと鼻で笑うようにして私を見る。
その光景を見ると、キナコを始め、ポヨン、フラワ、メロデ、ヒヤン、アシスがスッと前に出る。
「よくあんな実力で物凄い速さでポイントを集めたわね。どんな不正をしたのかしら?」
「…嫉妬?」
ミィさんがそう言うと舌打ちを一つする。
「Cランク風情が何を言ってるの?私はBよ。言葉を謹んでくれる?」
エルマさんもパクパクと何かを言おうとしたりしなかったりと少し恐怖心が感じ取れた。
キナコも軽く威嚇するような雰囲気に変わる。
「不正したならどうせ爆発事故を誘発したのもあなたでしょ。最低」
「そうよそうよ」
「さっさと退学になればいいのに」
その言葉が流れた瞬間、何か前に出ていたメロデとアシスを乗せたフラワがゆっくりと女生徒に向かっていく。
「…何よ。」
ぷんっ。とフラワが鳴くといきなり蔦が地面から生え、彼女たちの足首を拘束し、メロデがぴぴぴぴっ。と鳴くと彼女たちは蹲る。更にそこに手首に土の枷のようなものが出てきて捉える。
「なっ?!」
「メロデ、フラワ、アシス!ダメです!」
そう言うとビクッと3匹ともしながらも彼女たちを見下ろしてそれぞれをやめる。
「へ、へぇ…やっぱり、制御もできてないじゃない。劣等生が…!」
そう言いながら彼女たちは起き上がろうとした時、クローディアさんの声が続く。
「下に絡むBランクの方が……余程、劣等生だと思うけれど」
「…は?」
彼女たちが見ると、クローディアさんが腕を組んでいた。
「…Dランク。何様のつもり?」
「……別に。私は事実を言っただけよ」
その一瞬詰まる様子をキナコもクローディアさんをジーっと見ていた。
「少なくとも、私はその契約獣たちがセリアを守ろうとした、と傍から見ていて思ったけれど?」
「私達は被害にあったのよ?被害者以外でも何物でもないわ。こんな犯罪者予備軍のGランクに」
「それを守る動物の方がよほど取捨選択をしている。ってことじゃない?要するに劣等生はあなたたちって言われてるようなものじゃ?」
そう言っていると周りから野次馬のように「なんだなんだ…?」と声がちらほら聞こえ出す。
「…ッ。覚えてなさいよ」
そう言ってそそくさと彼女たちは歩いていく。
「――ありがとうございます。クローディアさん」
「…守ったわけじゃない。気に食わなかっただけ」
「いえ、それでも。結果的に守ってくださいましたから」
「…そう」
そう言ってクローディアさんは踵を返して歩いていく。
「…――優しい方ですね」
その言葉に「えっ」とミィさんが言う。
「…セリア、もうちょっと見る目、養った方が良い」
「せ、セリアさんらしいというか…」
「えっ、私見る目は結構ある方ですよ…!?」
「…自負してる所が危ない」
そんな事を言われつつ私は守ってくれたみんなも撫でたりして感謝を伝える。
――――。
(…不正じゃなく、周りが対応…ってことね)
クローディアは一人歩きつつ「何してるんだろう…」とため息をつく。
「……私が馬鹿みたいじゃない。」
何かが吹っ切れたのか、職員室へそう呟きながらゆっくりと歩み始めた。
――その頃、ニナはセリアに関しての情報を収集するべく尾行していたのもあり、顛末を見ていた。
(ふむふむ。セリア本人は超が付く弱く、周りの契約獣がその足りない部分を補っている。と)
メモを取ったりしながら冷静に分析していた。
(とはいえ、まさかあのDランクのクローディア・バロウズがセリアをかばうとは…。しかもBランク相手に。)
それも加味して記述しつつ、今回纏めた資料を照らし合わせながら確認し、さらなる尾行を続ける姿勢になるのだが…。
「…あれ?」
気が付くとそこにセリア達はおらず、契約獣たちもいなかった。
「…またやった。」
悪い癖だとわかりつつも、分析して纏めている間は周りが見えなくなる性分はどうにも度し難い。
(とりあえず報告に行きましょうか…。)
渋々メモを閉じつつニナはギルフォードの所へと踵を返した。




