第43話 「揺るがぬ意思」
食堂で何を食べるかご飯を選んで私達は席に座っていた。
「…レパートリー、底辺。」
「あ、あはは…ランクで変わります…から…」
「Gランクで2種類は流石に少ないよなぁ。Fの4種も相当やけど。」
「まぁ、この学園の悪い所ですわね。はい、セリアさん」
私は乾燥魔豆の硬焼きパンと塩水スープというのを頼んで並べていたのですが、「…これ、これ」とCランクのご飯をミィさんによく渡されていた。
あとルーテリアさんが頼んだ料理も一緒に貰ったりしつつ感謝してキナコと一緒に食べていた。
「てか、セリアはようそういうのなんも言わずに食べれるな?」
「ん?…あぁ、このご飯ですか?」
「うん。前に食べさせてもらったけど残飯やろってレベルやったし」
「料理は料理ですからね。もっと少ない精進料理というのも食べていましたし…?」
「「「精進料理…?」」」
4人が互いを見て私の言葉に首を傾げる。
「小豆粥と、塩を少量。あとはたくあんなどの漬物を少量のみのご飯ですね」
「…それ味あるん…?」
「ほぼないですね。ただ、ゆっくり租借すると甘味はありましたね?」
「わ、わぁ…思ったよりもすごいのを食べてるんですね…」
「なので、それよりは味がちょっと薄いくらいかなと思って食べてましたね…?」
私のメニューにある水でふやかさなければ食べれないほど固いパンも保存食のカンパンの賞味期限が迫っていたのを普段からおやつのように食べていたのでさほど何とも思いませんでしたが、ちょっと違うようです。
「あのー…そういえばよくここで座って食べていると視線がたまにあるのですが…?」
「あぁ…普段ここにGランクが来てる事自体が珍しいしな?」
「…セリアは大義名分がある。堂々と居て良い」
「ローレファルス先生のですわね。最近はイリス先生も黙認するように言っていると風の噂で聞いておりますわ」
「…ランクのせいで普段は一緒に食べれないのって、何だか寂しいですね」
「ま、まだ私も日が浅いですけど…セリアさんの料理、凄く安心するんですよね…」
粗塩のみの味付けを持つ黒パンやジャガイモ・カブを食べつつエルマさんが言う。
「こう…その、何と言いますか…。味もそうなんですけど、満たされるというか…」
「ふふっ。ありがとうございます。そう言ってもらえると、作る甲斐があって嬉しいです」
「…毎日セリアのが良い。」
「そこは同感。うちのやつのワイバーン胸肉の赤ワイン煮込みとか、確かに美味いんやけど、セリアの食ってからはなんか満たされんなってもうてんなぁ…」
そう言っているとルーテリアさんがふと言う。
「そういえばセリアさん。この料理をアレンジする事はできまして?」
「あぁ…色々皆さんくれてますし、一通り食べさせてもらったのでたぶん?」
そう言っていると、女性の方たちが来るとキナコが毛を逆立てて私の肩に乗る。
「へぇ。なんでこんな所で団欒で食べいらっしゃるのかしら?」
「しかもGやFとなんて?」
「あら、嫉妬ですの?」
「…。ラフテイル家の方々は随分とお慈悲があるんですのね?」
「えぇ。肩身は狭くありませんもの、当然ですわ?」
顔色一つ変えずにルーテリアさんが言うと、何故かその女生徒さんは少し不機嫌な顔をする。
「あ、あの…よければ一緒に食べますか…?」
「一緒に?ご冗談を。犯罪者と一緒なんてごめんですわ?」
「犯罪者…?何のことでしょう…?」
「あら、あの魔導室の爆発……あなたが関わっていたという噂ですわよ?」
「え。それはどういう」
私がそう言うと同時くらいにルイネさんが横やりを入れる。
「黙って聞いとったら適当な事抜かしおって…ソースはあるんかいなソレ」
「えぇ。皆さん言ってますもの。依頼も不正を行いポイントを稼いでいると」
「…セリアのは知ってる。無視で良い」
「Aランクを無視するご友人と付き合うなんて、底が知れますわねラフテイルさん?」
「あらどうも。根も葉もないことで踊らされる貴女方よりは余程有意義ですことよ」
「…。ふんっ、どうせ色目を使って依頼人の豹かを上げたんでしょうけれど――」
その言葉を言い切る直前くらいに声がする。
「少なくとも不正は無いかと?」
「は…?」
女生徒さん達が振り返るとそこにはクローディアさんが居た。
「あら、Dランクの方が何の用なのかしら?」
「少なくとも、言えるだけの根拠はあるので。そのポイント増加を指示したのはリリアーヌさんですので、裏があればすぐに処分対象になるかと」
「……ッ。行きましょう。こんな底辺と喋っていても時間の無駄になりますから」
そう言って取り巻きの人と一緒にその女生徒さんが歩いていく。
「…なんで助けたの?」
ミィさんがそう言う中、キナコもクローディアさんをジーっと見ていた。
「…別に。」
「クローディアさん…。ありがとうございます。皆さんを守って頂き」
「…礼なんて…ん?」
(皆さんを守って…?こいつは何を言ってるの…?叩かれてたのは本人なのに)
「あのクローディアさん、一緒に食べませんか?」
「別に、…お腹空いてないから」
そう言ってクローディアさんは踵を返して歩いていく姿を見ながらキナコは首を傾げる。
「あ…行っちゃいましたね」
「す、すみません。私何もできなくて…」
小さく言いつつエルマさんはルイネさんに背中をまたバシっと叩かれて「ひぅっ!?」と声を漏らす。
「堂々としとったらええねん。うちらおるんやし、な?」
「えぇ。別にやましい事をしているわけではありませんわ。胸を張って関係を続けてくださいまし」
「は、はい…。ありがとう、ございます」
そう言うとキナコも両手を広げたりしてエルマさんにエールを送るような感じでする。
「ふふ、キナコも頑張って、ですって」
「は、はい…//」
少し頬を染めた感じで私達を見てゆっくりエルマさんが頷く。
「よし、セリア。今度クローディアにも食事誘ったったらどうや?」
「え?クローディアさんを?」
「団欒で食べたいんやったらあぁいうんはちょっと強引にでもしたらんと来うへんからな。それにセリアも納得しとらんのやろ?」
「ま、まぁ…そうですけど…」
「…セリアの好きにすると良い」
「――なら、ローレファルス先生に伝えて、クローディアさんもご飯の時に呼びたいです」
「相変わらずですわね。私は構いませんわよ」
「うちも賛成。なんや勘的になんか知っとるかもしらんしな」
「…野蛮な野生児」
「誰が野生児やねん!?しかも野蛮ってなんやねん?!」
「ふ、ふふっ。」
エルマさんがルイネさんのツッコミを聞いて肩を震わせつつ笑みが零れる。
「なら、今夜はちょっといつもより豪華にしないとですね!」
「――それで、何を作るんですの?」
「お師匠様も大好きで、故郷でもよく食べた。《《具沢山のカレー》》です!」




