第39話「格の違い」
「はい。ではこちらの依頼ですね?」
リリアーヌさんの受付で私達は畑仕事の依頼を受ける事にしました。
「――という事で!早速畑仕事ですね!」
今回はアシスを手の上に乗せながら私は胸を張ると、アシスも両手を上げる。
依頼人のおばあさんに案内されて現地の畑へと来ていた。
「にしてもありがとうねぇ。こんなに大人数でぇ」
優しそうなおばあさんは私達を見て少し曲がった腰のまま言う。
「最近は腰が痛くなってねぇ。全然出来なくて困っていたんだよぉ」
「あぁ…年取ると流石にきついよなぁ」
「とは言っても私達も手伝いますけれど…大半はセリアさんがするんですわよね?」
「そうですね。アシスの力も借りながらになるので、皆さんはそのほかの事を手伝ってもらう形ですかね…?」
「…わかった。」
「わ、わかりました」
そうして私はアシスを手にのせて、キナコは頭に乗っけながら畑に行く。
そこでアシスは持前の畑を耕す能力を存分に使って落ち葉などをかき集めたり土に埋めたり、分解したりとして肥沃な土を生成していく。
「ふぅ…アシス。こっちもできたのでお願いします」
私は土を掘り返したりしつつ、アシスのサポートをする形で混ぜたりをしていく。
そうしてものの20分程度の事。
田んぼ二つは見事なほど肥沃な土で埋め尽くされる。
「後は種まきですね」
キナコも両手を上げて種を貰ったりしてたまに齧ったりしつつも、アシスと一緒に種まきを手伝う。
「ふぅ…。あとは収穫の分ですかね。皆さんの方に行きましょうか」
少し土を払いつつ私達は収穫したのを並べたりしている皆さんの所に行く。
「…おも…ぃ」
「ほんま非力やなぁミィは。一番少なくしとるやろうに?」
野菜が入った籠をプルプルしながら持ち上げて荷馬車に積み込む様子があった。
「あ、いたいた。そちらはどうですか~?」
「お疲れさーん。見ての通り半分やっと終わったとこやで」
私はパッと横を見ると死んだ顔をしているミィさんを見つける。
「み、ミィさん!?顔死んでますよ…!?」
「…のーぷろぶ…れむっ…」
「全然そうは見えないです?!」
「そういえばそっちは畑終わったん?」
「あ、はい。アシスが頑張ってくれたお陰で」
そう言うと「もう終わったん?!」と驚かれつつも「…セリアだし」と言われて何故か納得するルイネさん。
「そういえばルーテリアさんとエルマさんは?」
「あぁ、それやったら中で仕分けとか計測しとんで?」
「なるほど。あの二人でしたら図ってそうですね」
そう言いつつも作業を手伝うと終わった頃には2時間ほどが経っていた。
「何とか終わりましたわね。」
「せやなぁ…一人なんかぐったりしとるけど」
そう言いつつミィさんはルイネさんに背負われてピクリとも動かなくなっていました。
「あはは、ミィさん運動大の苦手ですもんね…。」
「ミィさん、私より体力が無い…」
エルマさんがそう言うとミィさんはプルプルとした雰囲気で親指だけ立てる。
「褒めていませんわよ。ミィさん…」
ルーテリアさんがそう言っているとおばあさんが来る。
「まぁ、今日一日分をこんな速くに…?すごいねぇ。助かったよぉ」
そう言って完了書を書いて渡してくれる。
私は「ありがとうございます!」と受け取って少し談笑してから学園に戻る。
「――あ、どうも…ってセリアさん…?畑仕事でしたよね…?」
「はい。終わってきました」
「終わった!?結構な面積でしたよ?!」
リリアーヌさんは驚きつつも完了書を見ると「えぇ…」と言いつつも判子を押す。
「は、はい…拝見しました…。8ポイント加算しておきますね…?」
それを受け取って私は感謝を伝えてから他の依頼を探してみる。
「んー…あ、これとかどうですか?」
「…?…アイス販売?」
「えっ…、これもするんですか…?」
「ヒヤンが活躍できるかもしれないので…?」
そう言いながら私は受注するために受付に持っていく。
「…なぁミィ。セリアって大人しい顔してめっちゃアクティブよな」
「…ん。」
――リリアーヌさんが困惑しつつも受付をしてくださり、私達はアイスを販売する女性の所に来ていた。
そこではヒヤンを出して保冷する場所に挟まる。
「白銀の氷兎で氷を溶かさないとは…考えたねぇ?」
お姉さんはその様子を見たりしながら感心していた。
程なくして氷を表に出している状態であっても溶けないまま、更に言えばヒヤンとキナコが居た事で子供連れのお客様が来てくれて、大いにアイス屋さんは繁盛した。
「助かったよ。今月一番の売り上げになってこっちとしても申し分ないよ。」
そう言いつつ完了書を「はい、どうぞ」と渡してもらう。
感謝を述べて私達は受付に向かう。
「――今回は規定通りに…。なんか追記がすごい事になっているんですが。何をしたんですか…。」
「えぇーと…キナコとヒヤンを看板精霊にしたらいっぱい来てくださって…?」
私はヒヤンを腕に抱えつつ、頭の上のキナコが手を上げる。
「…な、なるほど。とはいえ…5点ですね…。」
「ありがとうございます。」
私は受け取りつつ首を傾げる。
「残り3点…どうやってしましょうか…」
というのも、依頼の内容的にもう収集やお手伝い系は無かった。
「緊急以外でしたら明後日に追加されるので、その時でも良いかと?」
若干咳払いをしながらリリアーヌさんが提案をしてくれる。
「なら、その時で。ありがとうございました」
ぺこっとお辞儀して皆さんのいる席へと戻ると、ルイネさんが何か話していた。
「なぁルーテリア。そろそろそっちのランク戦やなかったっけ?」
「えぇ。同じAランクから来ていましたわね」
「あ、なら今回も応援に行かないとですね…!」
「わぁ…。Aランクの戦闘…間近で見れるんですね…!」
「ルイネさん、大袈裟ですわよ。それに私はそこまで派手な戦い方は基本致しませんわよ?」
「へ…?そうなんですか?」
「手の内は潜めてこそ、強味を発揮するものですわ」
――そして実際にB-4会場にて、私達はルーテリアさんのランク戦を見ていた。
「ルーテリア・ラフテイル。対する相手は、デブリ・ビーグダブ!」
男女両者が握手を交わしてから初期位置に立つ。
デブリは巨大な黒いカブトムシ、黒曜の爆砕甲虫と共に。
そしてルーテリアは蒼月の霊狼のシルヴァンと共に立っていた。
「それでは、両者共、不正無く、正々堂々と。魔力制限、解除。――『交戦』!」
火蓋が切って落とされた瞬間、魔力が爆発するように爆炎がルーテリアに飛ぶ。
「…ふぅ。――氷の壁」
ルーテリアが受ける瞬間、幾重にも魔法陣を展開して氷の障壁で展開すると同時に壁が爆散し、霧のように広がる。
「!?目潰しだと…。だが俺の爆炎で吹き飛ばしてやる…!岩石弾!」
人の丈ほどある岩塊を出して、黒曜の爆砕甲虫に投げつける。
するとそれは大きな兜によって粉砕されると同時にマグマのように煮え滾る炎が飛び散り、全方位に放つ合体的な大技へと変貌する。
「おっと!黒曜の爆砕甲虫の爆破能力だァっ!」
実況が入ると同時に会場が沸き上がる。
「…大丈夫でしょうか。ルーテリアさん」
「エルマ、見とき。あんなん相手にもならんから」
爆炎が広がる中、霧が吹っ飛び終えると、そこにはルーテリアいる…が。
「…は?」
そこには超高密度に圧縮されたシルヴァンの氷の鎧と、まるで銃を構えるように佇むルーテリアがいた。
――爆破の瞬間、シルヴァンに防御を完全に任せ、自身は氷を使って銃を生成する。
「――二重。氷弾・水牢…付与・追尾・時差」
ババツンッ!
左右に射出して霧が晴れた瞬間にデブリに向けて銃口を晒し、通常の攻撃を放つ。
「氷弾」
放たれた弾丸は流石にデブリも避ける…が。
一瞬で生命結界石が砕け散り、バリアが張られる。
「なっ…にが…!?」
時差で飛んだ弾丸が急所に全部的中したのだ。生命結界石が無ければ致命の一撃を一瞬で叩き込む。
「…!勝者!ルーテリア・ラフテイルッ!!」




