第38話 「仲間と共に」
後日、私達は《《日課》》をした後、朝食を取りながら続きの依頼について話していました。
「今日はどういう依頼がありますかね…?」
「残り的に余裕はありそうやけど、残りは?」
「えーと…確か残り28ですね?」
「よくよく考えれば、ダンジョン無しで一日で半分はすごいですわね」
静かに、皆さんお契約獣達も今日から参加して食べている様子をエルマさんが見ながら。
「あの…セリアさんって、どんなのが欲しいのかとかわかるんですか…?」
私が首を傾げると更に続ける。
「なんだか…その。私達の契約獣まで好みがわかってるような雰囲気で、喜んで食べてる様子なので…?」
「いえ、全くわかりませんよ…?」
「…わからないのに出せるの、才能」
「いうてミィのは本やから見とるだけやけどな…?」
「…記録係。」
「ふふっ。本は本でも大事にしたら応えてくれるものですよ」
そんな事を言いながらも精霊達の方を見ると、美味しそうに私が作ったそれぞれのご飯を食べている。
ライボルはたまにフォレスと睨み合いながらも食べつつ、シルヴァンはその様子を見て溜息交じりに食事する。
そんな光景を他所にキナコ達はくっついたりしつつも仲良く食べていた。
「こうやって見ると性格色々あって、面白いですね」
「えっと…普段はメルフィス先生がこうしてるみたいですが…他は無いみたい…です」
「皆で食べればご飯も美味しくなるはずなんですけどね…?」
「まぁ、今までの価値観的に仕方がない所はありますわね」
それを聞くと、私はふと前にメルフィス先生が言っていたのを思い出す。
「あぁ…メルフィス先生が言ってましたね?皆からも見られてるから契約獣だって」
「えぇ。わざわざ言っているという事は、道具として使っている人も多いからですわ」
「なんだか…嫌ですね。そういうの…」
少しの沈黙が流れるもすぐにルイネさんが言う。
「まぁまぁ、うちらはうちらでやろうや。こうやって団欒で食事しとるんやし、な?」
「そうですねっ。暗い話はここまでにしてご飯の残りを食べましょうか♪」
そう言いながら皆で朝食を食べ終え、準備をして学園に向かう。
「――そういえばうち今日ランク戦のやん」
そう言いながらルイネさんはマテリアルプレートを操作し、顔をしかめる。
「…セリア、観戦する?」
「あぁ、できるって昨日言ってましたね…?じゃあ、応援も兼ねて見ましょうか」
「…ん。なら席取りに行く」
「ならあちらの受付ですわね。」
今日はランク戦が開始された初日というのもあり、授業はお休み。それぞれがランクやダンジョンの話などをしている日でもあり、受付の方には大勢の人たちがいた。
「すごい人ですね…!?」
「賭けもあるイベントやしなぁ。今年入ったうちらの事を視察するのもおるんやろな」
「うぅ…この人だかりはちょっと苦手です…」
「私もあんまり好みませんけど…ルイネさんの晴れ舞台なので♪」
そう言うとルイネさんはちょっと照れ臭そうに「晴れ舞台てオカンか♪」と言いつつもまんざらでもなさそうな表情を見せる。
そして受付の方で登録をする。
「ルイネ・セフィルさんですね。では、控室の方へお願いします。区域はD-3へと進んでください。」
「ほな、行ってくるわ。」
「がんばってくださいねルイネさん!」
私達は手を振ったりして見送る。キナコも私の頭の上で手を振る。
「では、私達もD-3の観戦登録を致しましょうか」
それに頷いて私達も受付で登録をして、観戦席へと歩いていく。
観戦席に行くと多数の人がいる中、私達は固まって座りつつルイネさんの入場を待つ。
「人がいっぱいですね…?」
「それだけ多くの人が今年の一年生を注目しているという事ですわね」
そう言うルーテリアさんも座っていると周りの人がビクッとしたりしつつ離れたり遠慮しがちに座ったりしていく中、開始のアナウンスが流れる。
「それでは、ランク戦、開始致します。赤コーナー、ルイネ・セフィル。続いて青コーナー、トレール・ヴィジィ。両者前へ」
そうして両者が段上に上がる。
「頑張ってくださーい!」
と手を振って言うと、ルイネさんが気が付いて手を振り返してくれる。
対面を見れば、男性の方で弓を片手に黒い豹の精霊を横に置いていた。
ルイネさんはライボルと一緒に並んで、左右の腰に双剣を携えている。
「では、両者共、不正無く、正々堂々と。」
「よろしくな。」
「よろしくお願いする」
そう言ってお互いが握手してから初期位置に両者が立つ。
「では…魔力制限、解除。――『交戦』!」
その開始と共にトレールは豹に乗ると同時に影に潜り込み、姿を消す。
「…へぇ。影撃ちか…ライボル、暴れるで…!」
双剣を抜刀し、目を瞑り、後ろにライボルが居座る形で周りを警戒する。
後ろから攻撃が飛ぶ瞬間、見ずに矢を切り伏せる。
「――おったな。――電光石火。」
ライボルが帯電した状態で爆速でその位置に突っ込む。
それと同時に呟いてルイネさんが別方向に行く。
「なん…?!」
ルイネが向かった方向に影から出てきたと同時に攻撃を一瞬で叩き込むと同時にトレールが全部を受けずに後ろに下がる。
「逃がさんよッ…!」
更に加速して反対からもライボルが攻め入り、一瞬で距離を詰める。
対するトレールも魔法と矢を同時に発動し、牽制撃ちをすると同時に黄昏の影豹が回避に集中するという攻防一体のを見せる。
「な…!?」
だがルイネは双方を捉えてライボルと同時に二位一体となり、クロスする形で雷光が走る。
パリンッ。
その瞬間、生命結界石が弾けて結界が広がる。
「そこまで!勝者、ルイネ・セフィル!」
その言葉が伝わると、大歓声が広がる。
「わぁ…!勝ちましたよルイネさんが!」
「…ん。ルイネはフィジカルお化け、だから」
「当然ですわね」
「速過ぎて目が全然追いつきませんでした…」
――場所は移り、会場から出た所。
「ルイネさん、凄かったですね!」
「うちもぶっつけ本番やったけど上手く行ったわ♪」
「にしても、あんな戦い方、今までしていませんでしたわよね?」
「あぁそれな。セリアのやつのお陰やな」
「私の…?」
「精神統一のやつやね。あれで音に集中したら場所わかったんよ」
「…成長した?」
「そゆこと♪」
そんな事を言いつつ今日も依頼をする為に行く。
「いらっしゃいませ。って、あぁ…セリアさんですか。今日はどんな依頼を?」
私は名札を見て名前を確認する。
「どうも。えーと…リリアーヌさん」
私は受付嬢のリリア―ヌさんにお辞儀して選んだ依頼を出す。
「ふむ。蜂蜜採取ですか…Gランクですが、施設のなので大丈夫そうですね。」
受諾を受けて私達は皆で蜂蜜採取の施設に行く。
養蜂園に到着し、おじさんに施設に迎え入れてもらい、蜂蜜を採取するのですが…。
ポヨンが入っていき、七色の羽を持つ蜜蜂たちに囲まれる。
何事も無いように蜂蜜をポヨンは貰い、お辞儀してから帰ってくる。
「こりゃたまげた…。陽溜まりのスライムにこんな特性があったとはなぁ…」
吸収した蜂蜜は瓶にポヨンが詰めていく。
「ありがとう。本来より速くできたよ。じゃ、これが依頼完了書ね」
「ありがとうございます!」
私はお辞儀して貰いつつ手を振って帰る。
――受付にて。
「あ、お帰りな…速くないですか!?」
「丁度、ポヨンのお陰で速く終わったんです」
ポヨン?と言う風に首を傾げるリリアーヌさんに私は名称を教える。
「あ、あぁ…。陽溜まりのスライムに収集させたんですね…。」
そう言いつつ完了書を見終えてからポンッと判子を置く。
「12ポイント加算で…残り16点ですね!」
私は残り必要ポイントを見つつ、皆さんに見せに帰る。
頭の上でキナコも「ぴっ!」と鳴いて両手を上げていた。




