第37話 「初めての依頼」
お昼休み、ランク戦もあって5時限目からは皆さん自由行動が多くなるというのもあり、私達は掲示板に来ていた。
「こんな所があったんですね…こっちに来るの私初めてで…?」
勿論、皆を一度戻ってもらって今はキナコが肩に居るだけで、一緒に依頼の内容を見ていた。
「ポーションの材料提供とか結構あるなぁ…」
「すぐ出来そうなのは薬草採取とか…でしょうか?」
「……猫探し。」
「とりあえず、セリアさん。どんなのを受けるつもりですの?」
「そうですね…できれば森関連で何かあればいいんですが…」
「…森の採取…。これ?」
「木の実の調達かぁ。結構な個数必要みたいに買いとるけど…」
「じゃあまずはこれからしてみましょうか。まずは取っ掛かりという事で」
私はその渡してもらった一番下の鉄級の依頼内容を見ていく。
「ん-、野営の時の警戒に使える風鈴草と染料になる紅実ベリー、包帯替わりになる清水苔、応急マナ回復の星露キノコやな?」
「あ、このベリーだけ知ってます。絵具で村でも使ってたので」
「…ポーション素材。たぶん依頼者は錬金術師」
「では、行きましょうか!近くに森があったと思いますし」
早速依頼を受け付けに持って行って受諾してもらってから、実際の採取に行ってみる。
皆さん今日は何も用事が無いという事で同行してくれるそうで、体験も兼ねて皆で行ってみる。
「おぉ…森ですねぇ」
「森やなぁ。」
「…森」
「そんな事より、実際は半日から一日程度がかかる量ですわよ。どう致しますの?」
その言葉にエルマさんが続く。
「報酬は倍程度までなら出してくれる。とのことですが…この人数でも半日はかかりそうですしね」
私は魂結びの呼子石を撫でて呼びかける。
「という事で今回助けてもらう皆に来てもらいましょうか。皆、お願いします」
門が小さく開いてポヨン、ヒヤン、メロデ、フラワ、アシスがぞろぞろと出てくる。
「じゃあ、皆さん。乾いたらりんりん鳴る草と、赤い色が付くベリー、綺麗な傷に効く苔、
甘いマナキノコを探してもらえますか?」
私は道中ミィさんに教えてもらった特徴を皆に言うと。
その言葉を聞いて「ぴぴっ」「きゅっ」などの各々の返事を出しつつ森の中を一直線に歩いていく。
「とりあえず付いていけば良いみたいですね。行きましょうか」
ポヨンはぴょんぴょんと跳ねながら水辺へ向かう。
フラワは鼻をひくつかせると迷うことなく森の奥へ。
メロデは木々の上を旋回し、どこかへ飛んでいく。
森そのものが、彼らに場所を教えているようで、私達は皆が向かう方に行くと…。
まずは柔らかな草原と、花々が群生する場所へと来る。
「すごく綺麗ですねここ」
「…風鈴草の群生地…。珍しい」
「比較的簡単に見つかるけど、こんな簡単に群生地に来るんはすごいな…?」
私達は40株ほど採取し、次の紅実ベリーへと魂結びの呼子石の位置探知を駆使して向かう。
「――物凄く群生でありますわね」
「確かゴブリンとかも食べるらしいけど、なんでこんな群生してて放置されてるんやろ…?」
「とりあえず、ベリー60個取りましょうか…!まだ半分ですし!」
皆と手分けしてベリーを集めて行く。
その後も、清水苔は水の付近にあるという事でポヨンが川に飛び込んで奥まった場所でぺりぺりと剥がして20束ほどを採取。
星露キノコはフラワの先導で洞窟の方に行くとそこにも群生しているのがわかり、感謝をして30本を取得して袋に入れる。
「…2時間かかって無いの凄いですね。これだけ大量に」
エルマさんが集まった依頼品を見ながら言う。
「みんなのお陰ですね。早速持っていきましょうか」
そう言いつつ学園に一度戻る。
「あのー、依頼の品を持ってきたんですけど」
受け付けでは「ではこちらに提示を」と手を差し伸べられ、依頼内容と一緒に確認をしてもらう。
ぼそっと集まった倍の品々を見ると一瞬目を丸くする。
「え、時間的に2時間半でこの量ですか…?」
「はい。品物は合っていますか?」
「少々お待ちください」と言いつつ見ていくと、見る事に顔に困惑の色が見え始める。
「あのー…。失礼ですが、皆さんで取得したという事でしょうか?」
ルーテリアさんがそれを聞いて首を横に振る。
「私達は見ていただけですわ。採取自体はセリアさんが全部していましたわね」
「やな。うちらは奇襲とかされんように見てただけやし」
「…特に何もしてない。」
その3人の言葉を聞いて「えぇ…」と少し漏らしつつも咳払いをする。
「わ、わかりました。では今回は品質も非常に良いので、倍のポイント10点を付与をしておきますね。」
「ありがとうございます。ならまだもうちょっと時間があるので、猫探しが残ってればやっても良いですか?」
「あぁ…まだ残ってますので、そのまま受注と言う形で良いですか?」
「はい、お願いします」
そうして第二の依頼も受けて皆と協力してやっていく。
「――特徴は…耳がぺたんとしてる白と黒のぶち色の猫ちゃんですかぁ…皆、見た事ありますか?」
「ぴっ」とキナコが言いつつもフラワに乗っかる。
メロデがそれを見てから上に飛んで旋回しながら周りを見る。
「…じゃあポヨンが今回はお留守番ですかね?」
そう言うとポヨンが飛び乗ってきて、フラワ、ヒヤン、キナコ、メロデが散策しに行くという形で私達はゆっくり歩きながら付いてく。
「なんか、依頼っていうよりすごいピクニックやな、こうやって見てると?」
「ふふっ。こういう森でピクニックも楽しそうですね」
「…魚食べたい」
そんな事を言ってると「ぴぃっ!」とメロデが飛んでくる。
「お帰りなさい。見つけましたか?」
私は1つ鳴いてから飛ぶメロデを追いかける。
「――あ、いました…!」
私はそっと行きつつその猫ちゃんを見る。
「ほら、おいで、怖くないですよ」
「…にゃっ」と小さく鳴いて警戒しつつもクンクンっと匂いを嗅いでから、撫でられると大人しくなる猫をそっと抱える。
「これで依頼達成ですね。行きましょうか」
「30分かかって無いのすごいですね…何時間も普通かかるのに」
「…エルマ、セリアのは人海戦術。数の暴力」
「まぁ野生育ち6匹やしなぁ…」
「まだ受付で驚かれそうですわね」
そう言いつつ受付へと持っていく。
「――速くないですか。まだ1時間経ってませんが…またセリアさんですか……?」
そんな事を言いつつ受付を通してもらう。
「12ポイント加算ですね…。」
「流石に夜も遅いので、残りは明日にしたいのですが、何時ごろから受付していますか?」
「一応7時でしたら既にしていますよ」
「なら、それくらいにまた来ますね。ありがとうございました」
私は受付でお礼を言って皆と合流する。
「さぁ、研究棟に行きましょうか?」
「…やっとセリアのご飯」
「なんかうちら歩いてただけやな…?」
「まぁ、何もないならそれで構いませんわ?」
「あ、ならセリアさん、私も料理を手伝いたいんですが」
「なら一緒に作りましょうか。切り方とか教えるので頑張ってみてください♪」
――そんな事を言いつつ研究棟に帰るのでした。




