第36話 「見えない答え」
「…セリア・レイン。15歳、ミカヅキ村出身で、魔力G。何故か動物とか精霊に好かれる。一人で居る所を見ない程誰かと絶対にいる…ねぇ。」
ニナは情報収集をするも、誰しもがわかるような事の羅列に頭を抱えていた。
「違う。違う違う違う。これはもう皆わかってるやつでしょうがぁ…なんで出てこないのぉ…」
はぁーーーとため息交じりに机に突っ伏す。
「探せど探せど特異なのが無いし、いつも見える範囲のばっかりじゃないのよぉ…もう…!」
頭を掻いたりしつつ、また見返す。
「…あのGランク、本当にこれだけなの…?」
探せば探すほどそれしか出ない。裏の顔というのが一切無い奴なんているの?そんな聖人みたいな奴いるわけないのに…。
「…ダメだ。煮詰まり過ぎて無理…」
ニナはそう言いつつ、夕方の散歩に向かう。
「…ん?」
そうして歩いている時に中央噴水を見ると、人影があった。
「…クローディア・バロウズ…?」
―――後日、ニナは図書室の個室にいるギルフォードの所に情報を持って来ていた。
「それで、セリアに関しての内容がこれ…と。」
「はい。調べに調べたんですが、戦闘に繋がる情報は何もなく…」
「ふむ…一応聞いておこうか」
「織物の服をよく好んでおり、寝る時は絶対に白装束。動物などが好きで、一緒にいる動物なのか精霊なのか謎のリスのキナコに語り掛けてる所が散見されてるみたいです。」
「…こちらも喋りかけてるのは見た事ある光景だな」
「それと、クローディア・バロウズが少し気になる言質を貰いまして」
「どんなだ?」
「セリアがしていた事なのですが、―――」
―――。
「前にランク差別をしている現場を見たんですが…」
ベンチに座りつつクローディアが話していく。
「以前、Dランクの生徒がBランクの生徒達に絡まれ、金銭を巻き上げられていた現場を見たんですが……その時にセリア達が。」
「…セリア達…ってなると、他もいたのね。誰が居たの?」
「ルーテリア・ラフテイル、ルイネ・セフィル、ミィ・ラシールですね」
「大体の3人ね…。」
「ルイネさんが叩き伏せて取り返したのをセリアが届けてて…」
(偽善といった感じか…その3人の中に正義感があったか…)
「その後に、怖がらせるだけだと再発をするから、ってルイネさんに意見をぶつけてましたね…?」
―――。
「―――というのを聞きまして」
「ランクGがBとかに意見する…か。通常はありえないが…」
資料を見ながらギルフォードは顎に手を当てていた。
「ローレファルスの研究対象として研究棟で生活をしている…同席者は。ルーテリア、ルイネ、ミィ、エルマ…ランク範囲がすごいな」
「ですが、争っている、命令されているという情報は不思議となかったんですよね」
「対等に普段から生活をしているという事か…?」
「研究期間中だけかもしれませんが、少なくとも現状はそうとしか思えないですね」
「となれば…何を持ってそういうのにしている…?」
眼鏡を外し、拭きながらギルフォードは呟く。
「一人にそこまで固執する意味が解らない…。最初の結果はランク以外公表されていない…となればそれ以外の所か…?」
「Sランク講師が研究対象にするなら、おそらくそうかと」
その言葉をギルフォードは聞くと、少しの沈黙が部屋に満ちる。
「…なら、他と全く違う場所を探ってくれ。何でもいい。そこにたぶん答えがあるはずだ」
ニナは頷き踵を返して歩いていく。
(これはゼクスにも共有しておくか…これだけ探してもわからないなら人手は多い方が得策だしな…)
その頃、セリアはというと。
「この木の実美味しいですね。クルミみたいで♪」
「よう渡されたもん食えるな…毒とか入ってたらどうするんよそれ…」
私は昼休み頃、ポヨンやヒヤンなどが持ってきた木の実をキナコが齧っているのを見て真似て食べてみていた。
「毒とは限りませんし、皆が食べてるなら大丈夫かなと?」
「…構造がそもそも違う」
「あはは…セリアさんって割とチャレンジャーですよね…」
「野性味が溢れているのかお淑やかなのか、たまにわからなくなりますわ」
「とはいえ、何回か失敗もしてますけれど」
「いやまぁそやろな。だいぶ好奇心で損しとるやろ」
苦笑しながら「えぇまぁ」と言いつつもクルミのような木の実を食べる。
そんな時に、ピロンッとマテリアルプレートが鳴る。
「~?なんでしょうか?」
私は内容を見る為、通知を開く。何度もミィさんに教わってお陰様でちょっとだけ満足に扱えるようになりました。
「…ランク戦の通知…ですか。」
「ん?ランク挑まれたんか?」
「あ、いえ…違うんですけど…」
私は画面をルイネさんに見せる。
「何々…。……………。”Gランク候補の皆様はランクポイントを取得してもらうべく、1月以内に50ポイント以上を集めよ”だ?」
私はよくわからずルイネさんを見ながら首を傾げる。
「あのー、50ポイント…というと?」
「依頼とかダンジョンとかでもええから全体ポイント稼げって事やな…」
「少なくともダンジョンでしたらランク1を10個ですわね。到底一月では無理ですわ」
「…依頼もまちまち。大体渋い」
「え、えぇ…じゃあ採取とかで…」
「現実的ではありませんわね。最低ポイントの簡単なのをするにしても約25個の依頼を完遂させる計算になりますわ」
「それにな。セリアやからきついんよ」
「え、私だから…?」
「今ローレファルス先生の所で研究対象みたいな扱い受けとるからダンジョンもろくに行かれへん。おまけに怪我防止であんま危ない事もできん」
「…結果、50ポイントが集めれない」
「そうしたら…私退学とかになっちゃうんでしょうか!?」
そう言っているとツンツンっと私の肩に触れる感触がありそちらを見ると、フラワ達が見ていた。
「…?手伝ってくれるんですか…?」
それぞれが応えるように1つ鳴く。
「んー…じゃあ、採取をいっぱい受けて、納品しましょう!」
そういうと4人が首を傾げる中、エルマさんが言う。
「そんなに上手くいくんでしょうか…。そもそも採取をするとしても見分けがつくかどうか…」
「きっと大丈夫ですよ。皆森には詳しいですから」
「その信頼心だけで任せれるのはセリアさんだけだと思いますわよ…。」
「まぁ、物は試しです。実際にまずは持って来てもらいましょう」
こうして私達はとりあえず依頼をしてポイントを集める事を決め、学園の掲示板の所へと足を運ぶのでした。




