第34話 「その存在とは?」
――私達がみんなと遊んで親睦を深め、授業中盤辺りになった時、鳴き声が木霊する。
「キィィィィーーーッ!」
上空から雷鳴のような鳥の声と共に「でけたああああ!!」と言う声が聞こえる。
「「…?」」
私達はふと上を見た瞬間、地面に衝突するようにズサーっとなるルイネさんとスタッと着地する鳥さんが見えた。
「ルイネさん!?大丈夫ですか!?」
「……生きてる?」
ガバッと起き上がると興奮した様子で。
「うちも契約でけたで!めっちゃ暴れん坊やけどな!」
キラキラした目で言いながらもツーっと鼻血が垂れていた。
「ちょ、それより鼻血が!?」
ハンカチを取り出してルイネさんの鼻を抑えてする間、ミィさんが鳥さんを見る。
「…雷翼の蒼鷹。突貫するルイネらしい」
「へやろ~♪」
若干鼻声になって喋りづらそうにしつつも嬉しそうにルイネさんが言う。
「――てことで、うちの相棒。ライボルや!」
青銀色の羽根を持つ大型の鷹さん、ライボル自身は見つつ溜息交じりに見るようにしながら胸を張る。
「…ルイネ、たぶん名前仕方ないって思われてる」
「なんでや!?めっちゃかっこええやろ!?」
「まぁ、ルイネさんですものね。まだマシな方ですわ…」
ルーテリアさんが若干呆れつつ言う。
「酷ない?!うちそんなセンスない!?」
「…飼ってたペットの名前」
「白い小鳥のコナモンと小さい猫のパンコやな」
「全部食べ物ですわね」
「最初の見た目そうやったんやもん!?」
「ふふっ。私も可愛いと思います♪」
「な?!セリアもそうやろ!?」
私が同意すると肩を回してわしゃわしゃと頭を撫でられる。
「…通じ合ってますね?」
エルマがそう言うとミィがぼそっと「…類友」と言う。
キナコはプルプルとしつつも私の頭から離れず、比較的大きいフラワの背中に皆が隠れる。
ギラリと鋭い目を向けるライボルはその様子を見てか、溜息交じりにとてとてと後ろに下がる様子を見て、アシスが興味を持って近くに寄ろうとするのをヒヤンが噛んで引っ張ってくる。
「ふふっ。皆もすぐに仲良くなれそうですね?」
その微笑ましい光景を見ていると、メルフィス先生が月虹の幻鹿と一緒に大きい包みを持って帰ってくる。
「それじゃあ今日はいつでも呼べるようにするための物を持ってきたのだ」
そう言うと何かを包みから出す。
(ブレスレットでしょうか…?)
そこにあったのは宝石が入ったブレスレットだった。
「これは契約した存在をいつでも呼び寄せる事のできる魔導具、魂結びの呼子石なのだ」
首を傾げながらも聞いていると、皆さんは知っているようでした。
「他にも瞬刻の縛陣晶があるが、私は強制召喚するそっちは嫌いなのだ」
説明を聞くに、前者は呼び掛け、後者は強制召喚という事らしいです。
「そこで、今回親睦を深めたならばできると思うのだ。ランク戦もあるから、重宝はすると思うぞ」
そう言ってそれぞれに渡されますが…私の所に着くとメルフィス先生が首を傾げる。
「セリアだけ5匹なのだが…まぁやってみるのだ。物は試しなのだ」
そう言われながら渡されるとキナコが近く寄ってきててしてしと腕輪を叩く。
「ふふっ。気になりますか?」
私は撫でてからその腕輪を見せていると。
「ライボル!よろしくなぁ!♪て痛い痛い!?いたたたっ?!」
バシバシと叩くとライボルに反撃を嘴でされてるルイネさんを横目に授業が終わりを迎える時間になる。
「まだランク戦開始まで一日あるが、それまでに出来る限り仲を深めるんだぞ!」
私達はその言葉の後、一度戻そうとするのですが。
「~!」「ぴぃっ…」「きゅっ!」と近くによって来て今度は帰りたがらない。
「戻らないんですか?」
そう言いながら撫でるとより皆が近寄る。
「なんでセリアんとこのは帰るん嫌がるのにライボルすぐ帰ったん!?」
そう言いながら崩れ落ちるルイネさんに「…ガツガツした結果」と辛辣にミィさんがしゃがんで言う
「でも、このままにしておくのも出来ませんものね…?」
ルーテリアさんが言う中、私はふと妙案を思い出す。
「あ、じゃあ後でまた呼ぶので、一度帰りましょうっか?」
本当?と言う風に見上げる皆を撫でる。
「はい。また後で呼びますよ。その時は一緒にご飯食べましょうか?」
納得したかはわかりませんが、渋々といった雰囲気で行く。
中でもポヨンが離れなかったのでフラワが加えて無理矢理連れ帰るというのがありましたが、一度帰っていく。
「…またキナコだけ残っちゃいましたね…?」
肩に乗っかるキナコに言いつつ次の授業に向かう中、エルマさんが言う。
「あ、あのー…セリアさん。キナコちゃんとずっといて…疲れませんか?」
「…え?なぜです?」
「その、ずっと一緒に居るとマナを吸われ続けるのが基本ってあったんですけど…」
「…~…特にそう言った事はないですね…?」
(あれ、Gランクのマナコアのはずじゃ…?もしかしてキナコちゃんは…マナを吸ってないのかな…?)
そんな会話を挟みつつ次の三時限目の教室へと向かう。
――授業が粗方終わり、昼休みの頃。
授業を終えたクローディアは、一人で廊下を歩いていた。
周囲から聞こえる笑い声。
その中には、セリア達の姿も見える。
(……また笑ってる。)
昨日もそうだった。そして、今日もそう。
(なんで、あんな風に…。)
視線を向ける。
そこには、食堂でサンドイッチなどを頼んだのか、精霊達に囲まれて楽しそうにしているセリア。
ルーテリア、ルイネ、ミィ達の契約獣も。
そして最近加わったエルマとその契約獣まで、その輪に入って一緒に食事していた。
(……。)
私にはまだ契約した存在はいない。応答に応えてすら貰えていない。
(…何なのよ、本当に。)
そんな事を思いながら食堂の方へ歩いていく。
(…何が足りないの。あんなに、契約もすんなり行ってるアイツと、ランクがアイツよりも高いDの私と…)
そう思いながら見てると、眼鏡姿の生徒が来る。
前に一緒に職員室に呼ばれていたニナ・メルクリウスだ。
「ねぇそこの君。今情報収集してるんだけど。セリア・レインの事で聞いていない?」
「え、セリアさんの事ですか?」
私はいつも通り猫を被った上で反応し、首を傾げる。
「最近セリア・レインの動向が気になってね。少しでも情報が欲しいのだけれど。」
「ちなみに、AランクやBランクの子達にはそれとなく聞いてみたけど、みんな口を揃えて『よくわからないGランク』としか言わないのよ。まぁ、Gだから見向きもされてないって事だろうけど」
(なるほど、内容を聞くにこのニナというCランクのもあのセリアが異常に見えてるのね)
「え、えぇーと…と言ってもどんなのを教えれば…?」
そうして、セリアの事について教えていくのだった。
上手く使えばこのCランクすら…。
(……利用できるかもしれない。でも…。)




