第33話 「再開する召喚獣」
翌日、5時から眠そうなエルマさんも起こし、皆で私の習慣である掃除、柏手、そしてお茶を飲む。
「ふぅ…あの…これを毎日するんですか…?」
「そうですね。私の習慣はこれを毎日といった感じです」
5人は並んでセリアが淹れたお茶をゆっくり飲む。
「…最近、これが無いと無理」
「不思議となぁ…。エルマとかは朝死にそうな顔しとったけど、いけそうか?」
「朝は弱くて…。でもやってるうちにできるかも…?」
ルーテリアさんが優雅に飲みつつ見る。
「ご安心くださいまし。3日もすればそこのミィさんのように慣れますわ?」
「…ん。元々早起き、苦手」
「三日でそこまで変わるんですね…」
そう言いつつも最後まで飲み干す頃合いには、学園に向かう準備もして、ゆっくりと歩いて登校する。
キナコが私の頭に乗って座った状態になっている。
道中歩いているとパッといきなりルイネさんに引っ張られる。
「へ、ルイネさん…?!」
「ほら、はよ行かんと♪」
「え、時間的に急がなくて良いですよね…?!」
そう言いながら連れられて行く。
私達は教室に向かっていき、少しするとガーバント先生が入ってくる。
「じゃ、朝のHR始めるぞ」
そう言いながら点呼などをして、私達はそのまま一限目へ入り、授業をしていく。
私はノートに書き込んでいる時に、キナコが木の実を出し、カリカリと食べる。
(どこからいつもこの木の実持って来てるんでしょうか…?)
そう思いながら見ているとキナコが顔を上げて首傾げるので、軽く撫でてあげると気持ちよさそうにする。
(そういえば、魔法をこうやって教わってますけど…、お師匠様からは一切教えられた事が無いような…?)
というのを思いながらも、一時限目が過ぎ、私達は演習場に向かい、メルフィス先生の授業を受ける。
「――じゃあ今日は契約したものと仲を深める授業なのだ。ちなみに前回契約出来なかったのは今日もやってみるのだ!」
(あ、またみんなと会えるんですね…!)
そう思っていると「あ、そうそう。それとだ」とメルフィス先生が続ける。
「セリアは最後なのだ。前みたいに詰まる可能性があるからなのだ」
「あ、は、はい。」
そう言われて私は最後の方まで待つ。
「…あちゃぁ…今回もアカンかぁ…」
ルイネさんはまた出ないと言いつつも「しゃあないよなぁ」といいつつ軽く笑っていた。
最後の方になってくると、私の番になる。
「じゃあセリア、やっていいぞ!今回はちょっと大きめにしたから前よりはスムーズだと思うのだ!」
「は、はい!」
私は前のように目を瞑ろうとするとキナコが手のひらにちょこちょこと乗ってくる。
「…ふふた。一緒に迎えましょうね」
ぴっ!とキナコが鳴いて前回門があった方に視線を向け、そっと目を閉じる。
(…みんなで、おいで)
そう思いながら前回を思い出す。
すると、軽くチカチカっと陣が光って、門が表れると同時に…
きゅぅっ!ぴぴっ!など様々な声が聞こえ、私がパッと目を開けると…
「わっ!?」
雪崩のようにポヨン、メロデ、アシス、フラワ、ヒヤンが私に飛び込んでくる。
「わ、みんな。お久しぶりです♪」
私は擦り寄る皆を受け入れつつ撫でたりする。
「自分で言っておいてだが…本当に同じのが来たのだ」
「名前を付けたので、私は嬉しいですけどね」
そう言いつつ小さいポヨンとヒヤンを両手で抱え、キナコとメロデが肩に乗っかってフラワはアシスを背中に乗せて付いてくる。
「んんっ、じゃあ今日は中を深める所をしてみるのだ。まだ契約できていないなら、召喚以外のをしてみるのだ」
そう言われ、ルイネさんはメルフィス先生に連れられて別の場所に行く。
それを見送ってから、とりあえず私達は少し離れた場所で集まる。
「とりあえず、自己紹介しましょうか?」
「そうですわね。でしたら私から。」
青白い毛並みを持つ巨大な狼さんを撫でながらルーテリアさんが言う。
「蒼月の霊狼のシルヴァンですわ?」
ばうっと小さく挨拶をするように鳴く。
「…ブック。魔道書喰いの使い魔」
がっつりと鷲掴みで持ちつつ見せられる。目が動きますけど、パチパチっと瞬きする。
「最後に私ですね。えーと…ちょっと待ってくださいね…」
そう言いながら皆の種類を聞いてまとめたメモを見る。
「陽溜まりのスライムのポヨンに、 風切りの妖精鳥のメロデ、豊穣の泥小鬼のアシス、翠風の花鹿のフラワ、 白銀の氷兎のヒヤン。それとリスのキナコです」
「キナコだけわかりませんのね…?」
「はい…。メルフィス先生もわからないって言ってたので…?」
「…見せて」
私は「はい」と言いつつポヨンを膝上にのせて、キナコを手に乗せて見せる。
「…確かに見た事ない。」
首を傾げながらミィさんはキナコを見ると、キナコも首を傾げながら見つめる。
「ふふっ。私はあんまり気にしないですけどね。来てくれてるだけでもうれしいので」
皆を撫でつつも言うと、キナコがまたどこからか木の実を出してくれる。
「あ、これで5個目ですね。ありがとうございます、キナコ」
ヒヤンも膝上にのせて木の実用の巾着に入れる。
「セリアさん。それ、前も貰っていましたわね。なんの木の実ですの?」
「さぁ。ただ、キナコのお気に入りの木の実なのかなと?」
「…どんぐりみたい。」
「ふふっ。植えたらどんぐりの木が生えたりしそうですね。」
私は「あっ」と思いつく。
「植えればキナコの遊び場が出来るかもですね?」
「流石に勝手にやってはいけませんわよ?」
「流石にするなら一度聞きますよ」
そう言いながら見ると、ポヨンがヒヤンに寄ると目を細めてゲシゲシと足で遠ざける所を見ながらメロデがその様子を近くに飛んで行って座りつつ傍観する。
それを座ってる状態のフラワの上にいるアシスが落ちそうになりつつ降りて地面に降りてポヨンとヒヤンの仲裁をしようとする姿を見ながらクスッと笑ってしまう。
私がそうしてるとエルマさんが来る。
「す、すみません。遅くなりました…。」
ふと見ると、全身に蔦が絡む緑色の豹と一緒に来る。
「…あ、翠牙の森豹」
「え、よくわかりましたね…?」
エルマさんが驚きつつも座ると横に豹さんも座る。
「さっき契約できて…えーと…名前はフォレスです。」
み”ゃうっ。と鳴く所を見ると私は「わぁ…大きい猫さんみたい」とポロっと言う。
「…セリアらしい感想」
「ふふっ。そうですわね」
そんなに私らしいですか?と聞くと二人揃って頷かれて苦笑する。
「あ、そういえば。そのフォレスちゃんはどういう子なんですか?」
「えーと…森を荒らさない人を好んで来てくれるみたいで…?」
「森を荒らさない…。エルマさんにピッタリかもしれませんね?」
「だと良いんですけどね…?」
エルマさんは苦笑しつつフォレスちゃんを撫でる。
私もそれを見て皆を撫でたりするとじゃれたり寄り添ったりと、皆各々に楽しむ様子でいる。
「にしても仲良くなる…との事ですけど、これで良いですかね…?」
「…人による」
「見るからに共通しているのは…そこまで好戦的ではないという事ですわね」
「…ん。全員温厚系。草食と肉食混じってるけど」
「…あ、なら遊びましょうか。まだ40分くらい時間ありますし、皆で」
エルマさんが「えっ」と小さく言う。
「私…その、あんまり運動神経なくて…」
「なら、散歩などをするのも良いですよ」
エルマさんは「なるほど」と言いつつそれをフォレスちゃんに聞いたりして見る。
私達はとりあえず仲をもっと深める為にみんなで遊ぶことを決めて、各々で触れたり毛繕いをしたりと過ごした。




