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朝は神社で掃除をしていた最弱の巫女見習い、今日から魔法学園に通います。  作者: 九尾


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第32話 「貴族たるもの」

 放課後、ルーテリアはノートなどを入れて軽く深呼吸をする。


 そうしていると同じAランクの人物から呼ばれる。


「ルーテリア嬢」


「あら、ゼクスさん。どうされましたの?」


「お友達と一緒にいたいのはわかるが、場所は弁えた方が良いぞ?」


「AランクがGランクと常に行動を共にすれば、周囲は貴女を軽く見られるぞ?」


 その言葉に軽く相槌をうつ。


「あら、ご忠告どうも。ですがこれ自体は変える気はありませんわ?」


 私は優雅に立ち上がり、簡易的なカーテシーをしてから踵を返す。


「…ふん……君を心配しているのだがな、ルーテリア嬢。」


 ルーテリアは優雅に歩いてルイネの所に行く。


「なんか言っとったけど、いちゃもんでも言われたん?」


「いえ、いつもの世間話ですわ?それよりまずは」


 セリアさんの方を見ながら。


「セリアさんに会いに行きましょうか」


「やね?」


 ルイネさんとそう言ってから向かい、軽く挨拶を交わして新しく入ったエルマさんを待つ。


 ふと見ると、何かまだ実感がないのか何か迷ってる様子で見ている。


(以前のわたくしなら、相手から来るまで待っていたでしょうね…。)


「……あら、何かもじもじしていますわね?」


「なら迎えに行きましょう…!」


「…早く連れてセリアのご飯食べたい」


「とりあえず慣れてもらわなアカンしなぁ…?」


 わたくし達は頷き、エルマさんの方へと歩いていく。


「エルマさん、お疲れ様です」


 セリアさんが真っ先に行ってエルマさんを迎える。


(本当に、この方は放っておけませんわね。)


「あ、は、はい…。お疲れ様です、皆さん」


「そんなに緊張しなくとも良いですわ?」


「は、はい…。その、まだ実感が無くて…」


(まぁ、普通は虐げられるか無視されるかというのが普通ですものね)


「早く慣れてもらわないと困りますわね?同じ目的もあるのですから」


「は、はい…が、頑張ります。」


「とはいえ、すぐは無理やろな。三日もしたら慣れるやろうし気長に待とうや?」


 コクッと頷きつつ私達は歩いていく。


 歩いていくとふと目に留まる。


 騎士科のヴァルザード・フォン・レグナス。この学園にいるSランクのうちの一人。


 あまりいい噂を聞かないSランクの一人だ。


 そんな彼がスッと歩いてくる。


「おや、これはこれは?AからGまで…?」


 品定めするようにこちらを見る。


「あ、どうも。初めまして」


「へぇ…?ふむ…なるほど。なるほど。」


 その視線はわたくし、ルイネさん、ミィさん、そしてセリアさんに向けられる。


「おいそこのG、借りるぞ」


 そんなヴァルザードが「へ…?」と迷う様子のセリアさんに少し近寄ろうとする所にスッと間に入る。


「ごめんなさい。わたくし達、ローレファルス先生に呼ばれておりますので、手身近にして頂けますこと?」


「…あ?」


 舌打ちをしてこちらを見る所にそっと笑顔を返す。


「ですので、お引き取りくださいませ。」


 その言葉を聞いて更にもう一度舌打ちして歩いていく。


「え…良いんですか…?」


「はいはいこっち来ようなぁ?」


 そのヴァルザードが歩いていく先とルイネさんがセリアさんを押して研究棟の方へ歩いていくのを交互に見てから、わたくし自身も研究棟へ歩いていく。


「ミィさん、アレは注意しておいた方が良いですわ」


「…同感。物品扱いだった。」


「えぇ…Gを人として見ない雰囲気でしたわね」


「…ローレファルスにも言った方が良い」


 頷きながら歩いていく。


 ――――研究棟にて、今日も一日の経過を見る為にローレファルス先生が来ていた。


「――ふむ…。なるほど、ヴァルザードか…」


 セリアさんが料理をしている間、わたくし達は足を組みつつ日記ノートを見ているローレファルス先生の前で居た。


「…セリアを物品みたいに持って行こうとしていた」


「ふむ…流石に許容はできないな。」


(セリアの師匠…底が知れないクミホに任された手前、そういった行為を見逃す訳も行かないな…)


「…それにランク戦もありますわ。もし、セリアさんが負ける事が多くなれば、戦利品などと言って強引に連れられる可能性はありますわね」


「は?それええの。Sやろ…?」


「本来ならダメですわ。ただ、情報を聞くに、自身よりも下の人を家畜程度にしか思わないというのがあるみたいですわね」


「更に言えば、学園側も手を焼いているというのも事実ですわね」


「周知はしている。だが、実力はある。更生も兼ねてしているが…」


「…止めれるのが極端に少ない。」


 ミィさんの一言にコクッと頷くのを見て、わたくしも頷く。


「逆に言えば、一度崩されれば一瞬で崩落する存在という事ですわね」


「確かにそういう性格やったらアイデンティティ壊されたらなんも残らんな…?」


 エルマさんがそこに小さく手を上げる。


「…あ、あの…それはセリアさんに言わなくて良いんですか…?狙われたのはセリアさん…ですし」


「セリアに言うたらたぶん首傾げるで…?ちょっとズレとる所もあるんわここ4日くらいでうちらも知ってるしな」


「…それに、今だと抵抗が出来ない。」


 その言葉にローレファルス先生が頷く。


「ランク戦自体はまだ先だが、猶予が短いのは実際ある。それにセリアに言って今の実験に支障が出るのは私としても不本意だ」


「じゃあ…どうすれば」


「――敵は作るが、秘密裡に贔屓をする方が良いだろう。現に学園内の差別の間隔がお前たちのクラスだけ緩やかだからな」


「確かに。多少あるとはいえ、他のクラスよりも差別をされているという雰囲気はありませんわね…?」


「…だからこそ、そこにセリア・レイン個人の価値があると私は見ている」


 その言葉に首を捻るルイネさんが一言。


「でもそれは過剰評価とちゃいます…?」


「確かにセリアの周りはゆるやかにはなるけど、性格までどうのみたいなんは無いやろうし…」


 俯きつつエルマさんが小さく言う。


「……そう、ですね…。私もセリアさんから起点…になったと思いますけど…性格までは変わって無いですし…」


「その懸念は最もだと思うが、こちらとしても利用するつもりはない。ただ、存在そのものが無意識に周囲へ影響を与える以上、無視はできない」


「とはいえ、それ以外にない…。性質上、そう言った事をしないと守れないのも…あのクミホが言っていた《《曇った眼》》…か。」


「…失礼ですが、ローレファルス先生。どんな話をしていたか、わたくし達にも教えていただけますでしょうか?」


「…セリアの師匠、クミホ。探ろうとはしたが全くわからなかった。だが、一つだけわかったことはある」


「わかった事…?いったいどんなんなんです?」


「もっと広い範囲を俯瞰して見ている。という点だ。」


「……セリアの意識に近い」


「なんでも意味あるからとかで掃除とかするとこか?」


「…ん。」


 そう話していると「もうすぐお料理ができますよ~」とセリアさんの声が来る。


「わかったーすぐ行くから待っとってー!」


 ルイネさんがそう返事するのを見てからローレファルス先生の方を見る。


「話はここまでだ。とりあえず、これからもヴァルザードはこちらからも気にはしておく。出来る限り接触しないように」


「えぇ。仲間を守ると決めたんですもの。その決意に応えた蒼月の霊狼(ルナ・フェンリル)にも相応しくありますわ」


「あぁ。では、これで。しっかり休むんだぞ」


 私達は歩いていくローレファルス先生を見送り、セリアさんが料理並べる食卓へと合流する。


争いを好まないセリアさんを守る以前に、わたくし達の友人にそんな下劣な存在の指を触れさせてはいけない。そんな風に改めて心の中で誓った――。

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