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朝は神社で掃除をしていた最弱の巫女見習い、今日から魔法学園に通います。  作者: 九尾


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第23話 「錬金術の授業」

「そういえば、なんでキナコだけ帰らんかったんやろな?」


私はキナコと一緒に食べつつ首を傾げる。


「確かに、他の5匹は帰ったのにキナコだけは帰ってませんわね?」


ごくりとご飯を飲み込んでからキナコの頭を撫でる。


「んくっ。まぁ、一緒にいてくれると嬉しいですし。キナコもそう思ってくれてたら嬉しいですね」


ミィさんは私とキナコを交互に見てから


「…セリアっぽい?」


ミィさんはキナコを見ながら首を傾げる。


ぴっ?と首を傾げて顔を手で洗ってからまた私から貰ったお米をもぐもぐと食べる。


「みんなもこうやって一緒に食べたいですけどね」


「6匹は食堂騒ぎになるからやめとき…」


「流石にそれはわかりますよ」


苦笑しながらもちょっと残念な気持ちを抑えてそう言う。


「でしたら研究棟ならどうですの?」


「あ、それならみんな呼んでできそうですね?」


「…陣はどうするの。」


「うっ…。あれはメルフィス先生が用意してくれたからできましたけど…。はぁ……、仕方ないですね…」


トホホと思いながら現実の問題もあるので納得しつつも食べ終える。


「次の授業はなんでしたっけ?」


「…錬金術。」


「ここ来て初のかぁ。うちは聞いた程度しかわからんなぁ」


「魔道具などを開発する機関の事ですわ?だから知らずうちに使った事は多々あると思いますわ」


「例えばどんなんがあるん?」


「例えば、水を綺麗にする清流の濾過石(フィルター・ストーン)ですわ。」


「あぁ、あの水綺麗にしてくれる奴とかか」


「そういえば私の村にもそれはありましたね?」


「…意外とそういうのはある。」


「まぁ、実際に行けば色々教えてくれると思いますわ?」


「そうですね。始まる前から楽しみです♪」


キナコは私の肩で首を傾げつつも私に同意するように一鳴きする。


―――錬金魔導室。


薬品の少し独特な匂いが広がる錬金魔導室へ移動してきて、着席する。


「あはは…。」


あんまり好きじゃなかったみたいでキナコは鼻を抑えるようにして慌てるようにして私の懐に挟まる。


「おぉ、結構いんなぁ。」


そう言いながら薬品の煙でくすんだような灰色の瞳で教室を見回す教師が入ってきた。


無造作に束ねた亜麻色の長髪が目を引く。


「どうも。担当するクラウス・ヴァンデルだ。……爆発したくない奴は俺の話をちゃんと聞けよ。」


飄々とした雰囲気を漂わせたままクラウス先生は片手をポケットに入れてチョークで適当に書き殴るようにして名前を書いていく。


「今日は保健室送りが出ないことを祈っとく。」


笑いかけるようにして向き直る。


「じゃ、早速していくか。今日やるのは錬金術って何かだ」


そう言い残して教室の奥へ姿を消した。


少しすると台車を押して何か色々持ってくる。


「てことで、まずは体験だ。と言っても適当にかき集めてたものだけどな?」


そう言いながら何か魔道具らしきものを広げていく。


クラウスは台車から一つ目を取り出す。


「まずはこれ。清流の濾過石(フィルター・ストーン)。井戸に沈めとくだけで水を浄化する。」


「これは結構幅広く使われてて、大体の町から離れた田舎にもある。」


彼は次の箱を持ち上げる。


「これは火蜥蜴の魔導焜炉サラマンダー・ストーブ。薪いらず。安い魔石かGランク程度の魔力で火が付く。」


「これもBBQとかする時に使ったりするから見た事もあるだろうし、料理人なら知らねぇ方がおかしい。」


さらに小さな箱を掲げる。


銀糸の自動修繕小箱オート・テーラー・ボックス。制服を放り込めば朝には縫い終わってる。」


「まぁただし靴下を片方ずつ入れると、ごくたまに別の靴下と縫い合わせる。」


教室が笑いに包まれる中、「確かになぁ…」と何か見知った光景を知っているような反応をする生徒もいた。


「じゃ、説明はこんくらいで実際にやってみろ。」


「一人一個だ。壊してもいい、ただし用途以外の事をすると爆発する可能性はある。それで被害受けても自己責任だからな?」


――その後実際にそれぞれがやってみる。


私は後の方ですが、実際にいつも使っている様子で触れてみる。


(よくこうやって水を浄化して水槽に入れてたな…?)


そんな事を思いながら清流の濾過石(フィルター・ストーン)を両手で触れて汚れた水に入れて手の中で転がすようにしていく。


水はゆっくり透明になりつつ何時もみたいに綺麗になる。


(魚が弱らないように、家族と一緒によくやったな…。)


私はそう思いつつ、綺麗になった水を見て少し昔を思い出した。


「ほう、使い慣れてるな。普段から使ってたか?」


「あ、はい。故郷でよく小さい頃から使ってて?」


「なるほどな。じゃあ逆に触ってない奴もやってみるといい」


そう言って私は一度も触った事の無い宝珠を渡される。


「これは幻影通信の宝珠ブロードキャスト・オーブだ。まぁ遠隔会話の物品だな」


「は、はぁ…わかりました…?」


私は使い方を教えられつつも、今までのように静かに込めて行く。


すると、少し透けた私の存在が表れて声を出すとそこからも声が出る。


「わっ…私が喋っています…!」


節々に生徒の声が響く。


「田舎者だなぁ」

「何も知らないじゃん」


だがクラウスは。


「ほぉぅ…」


(ブレとかノイズとか一切無し。本当に他が言ってるみたいに制御が化け物だな?)


「あ、あの。これ、止め方どうするんですか…?!」


「おう、手から離せば良い」


私はそっと机に置くと幻影は消え「ほっ」と一息ついて頭を下げて席に戻る。


「じゃあ今日はコイツらがどうやって出来てるかについて軽く話してから簡易キットを渡すぞ」


そう言って授業が進み、私達は簡易キットを受け取って私は説明書と睨めっこしながらゆっくりとやっていく。


そんな簡易キットを組んでいる途中で


「うおっ!!」


ボンッ!!


白煙が広がり咳き込む。


「だから言っただろ。用途以外に弄るなって。」


「ぎゃー!煙が?!」


「またかよ!?」


そうこうしつつパッとクラウスはセリアなどの静かな方も見る。


「えっと…これが…こうで…え?」


(へぇ…アイツは遅いが、一番事故を起こさねぇタイプだな。)


始めてみるものばかりで私の中で疑問符が絶えず出ているがスーっとクラウス先生が来る。


「そこはこの板と合わせてするんだ。ほら、図の通りになるだろ?」


「あ、なるほど…ありがとうございます…!」


私はゆっくりと組み立てつつ、ふと疑問に思う。


「あの、クラウス先生?」


「ん?」


「これって、どうしてこの魔導板じゃないと駄目なんですか?」


クラウスは少し笑って


「いい質問だ。そういう奴が一番伸びる。」


「この簡易キットは冷却した風を送るやつなんだが、コレ自体が熱を持つ構造でな。これを無理矢理使えばあぁやって爆発する。だからこの板を合わせて熱を逃がしてるんだ」


「なるほど…。だからちょっとひんやりしてるんですね…?ありがとうございます」


クラウス先生は頷いて他の生徒の所にも行く。たまに爆発音が聞こえるたびに懐にいるキナコがビクッとしてますが、ひょこっと顔をのぞかせ作業台の上をじっと見つめている。


「…?どうしました?」


ぴぴっ。と先に出来上がった箱を見つめながら鳴く。


「…ん?これが気になります?」


箱を見せるとクンクンと嗅いでからひょこっと小さい体がすぽっと箱に入る。


「ふふっ。中身ができるまで入ってて良いですよ?」


頭をなでなですると気持ちよさそうにしてから毛繕いをする。


私はそんなキナコを見ながら一生懸命にわからないなりに説明書を片手に中身を組み立てていく。


そんな時、爆発したのを処理したクラウスがふと箱を見る。


「……ん?」


キナコは箱の中で丸くなっている。


「……その召喚獣。」


私はふと見上げて首を傾げる。


「はい?あぁ…私と一緒にいるキナコです。」


「そうか…。なんか。文献で見たかも程度だ。気にするほどじゃねぇ。」


「そうなんですか?」


「――いや。俺も詳しくは知らんが。雰囲気的に、なんか昔から一緒にいるみたいだな?」


「えへへ。大人しい子なので、ちょっとこのままでいさせてあげても良いですか?」


(ただ…普通の妖精獣とも少し違う気配があるが…気にするほどじゃないか。)


「あぁ、構わないぞ」


そう言って私の付近から離れて「出来上がった奴から起動してみろ」と言いつつ教卓の方へと歩いていく。


私は組み立てたのが出来たので、キナコをとんとんっとして一度出てもらい、抜け毛などが無いかを確認してから箱に内部の部品を入れる。


「…これで完成のはずですが…起動はどうやって…?」


私がくるくるしてるとキナコがてしてしと触るとボタンにぴっと手が当たる。


すると少し震えながらブオォォ…と冷風が出る。


「あ、キナコの方が扱い上手かもですね?」


私は微笑みつつ冷風をキナコに向けると涼しそうに首に冷風を受けて気持ちよさそうにする。


「ふふっ。熱い時にこれがあれば涼しそうですね?」


そう言うと返事をするようにキナコが「ぴぃっ」と鳴く。


そしてそんなセリアとキナコを見るクラウス。


(知識は真っ白。だが、一度教えたことはちゃんと考えて手を動かす。)


(……こういう奴は、後から一気に伸びる。)


粗方全員が完成後、クラウスが締めに入る。


「魔法は才能だけじゃない。」


「錬金術は知識と積み重ねで形になる。」


クラウス先生は完成した簡易キットを見回しながらふと小さく笑う。


「だから面白いんだ。」


私は出来上がった小さな魔道具を両手で包み込む。


「……錬金術って、面白いですね。」


懐ではキナコが「ぴっ」と嬉しそうに鳴いた。


――――。


「ッチ…契約出来たからって…お眼鏡に叶ったみたいになりやがって…」


そんな事を思いながら、クローディアは少し離れた席からセリア達を見ていた。

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