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朝は神社で掃除をしていた最弱の巫女見習い、今日から魔法学園に通います。  作者: 九尾


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第22話 「召喚に応じたのは」

花鹿がセリアへ額を擦り付ける。


妖精鳥は肩へ止まる。


白兎は膝へ飛び乗る。


スライムは手のひらでぷるぷる震える。


泥小鬼は服の裾へ隠れる。


リスは木の実を一つ差し出す。


私は跪いて来た皆を撫でたり貰ったりしつつ驚いているメルフィス先生を見る。


「どうしたんですか?」


「……こんなに一気に来るなんて見た事ないのだ」


「過去にあったとかは…?」


「いや…見た事も聞いた事も一切無いなのだ…」


少し考えてから実際に何が来たのかをメルフィス先生は見ていく。


「お前達、そこ動くななのだ。」


メルフィス先生はしゃがみ込み、小さな精霊たちを一匹ずつ眺めていく。


陽溜まりのスライムサンシャイン・スライム……。」


風切りの妖精鳥(シルフィード・バード)……。」


豊穣の泥小鬼(マッド・ブラウニー)……。」


翠風の花鹿(フローラ・シルヴァ)の子供……。」


白銀の氷兎(フロスト・ラビット)……。」


「…………。」


リスを見て沈黙する。


「先生?」


「それだけ知らないのだ。新種…?」


「…?」


私はリスを持ち上げて顔を見てみるも、リスは首を傾げる程度だった。


「…………。」


「戦う精霊は……一匹もいないのだ。」


「でも。」


メルフィスは小さく息を吐いた。


「普通は違う。」


「一匹は好奇心。また一匹は偶然。そしてまた一匹は相性。」


「だから色々混ざるのが普通なのだ。」


「でもこの子達は違う…。」


精霊達を見渡しながら言う。


「全員が、同じ理由で来てる。」


「……ここまで心が似た精霊だけ集まる方が、私は怖いのだ。」


ぷっと周囲が笑いだす。


「なんだ、やっぱGか。全部幼体とか小さいのだし」

「お似合いかもね?」

「そりゃGじゃそんな強いの無理か。」


小さな精霊たちは先生の言葉など気にも留めず、私の周りで思い思いにくつろいでいた。


花鹿は足元へ身を寄せ、白兎は膝の上で丸くなり、妖精鳥は肩で小さく囀る。


泥小鬼は裾を握ったまま離れず、スライムは私の手のひらで嬉しそうに震え、名も知らぬリスはもう一つ木の実を差し出してきた。


「……。」


メルフィス先生はその光景を見つめ、小さく呟く。


「契約じゃない。」


「まるで……家族なのだ。」


私はそんな事を言われつつふと思った。


(全部安全という事は、普段から一緒に居れるという事ですね…?)


「…ん-ならとりあえず、ここだと邪魔になるので戻りましょうか…?」


私はゆさゆさと精霊たちをゆすって「行きましょうか」と言うとのそのそと動き出したりして一緒に戻る。


「…とりあえず、今日はここまでなのだ!」


「一応契約をした精霊たちはいつでも呼び出せるのだ」


そして最後に全員の目の前で一つを付け足す。


「契約できたのは名前をちゃんとそれぞれつけるのだぞ!」


そうして授業が終わり、各々が解散した。


「名前…ですかぁ」


私は少し考えつつも6匹を見る。


「じゃあ折角ですしみんな付けましょうか。」


それぞれの特徴を見ていく。


「ん-…じゃあ…スライムだから…ポヨンとかでしょうか」


そう聞くとぷるぷると震えて甘い香りを出す。


「気に入ってくれたみたいですね。次は…」


そうして私は名前を付けていく。


陽溜まりのスライムサンシャイン・スライムはポヨン。


風切りの妖精鳥(シルフィード・バード)はメロデ。


豊穣の泥小鬼(マッド・ブラウニー)はアシス。


翠風の花鹿(フローラ・シルヴァ)はフラワ。


白銀の氷兎(フロスト・ラビット)はヒヤン。


そしてリスさんは…。


「ん-…木の実もくれましたし…あっ。」


私は一つだけ村の思い出が蘇る。


「じゃあ、キナコにしましょうか」


ぴっ!と1つ鳴いてくるくる回ってから私の指先を握る。


「ふふ。これからみんなよろしくお願いしますね?」


それぞれが納得したのか、一度陣の方へと帰って行く。


ですが、キナコだけは残って肩に乗っかる。


「一緒に来ますか?」


ぴっ!とまた一つ鳴いてちょこんっと座る。


「じゃあ行きましょうか。」


キナコだけ肩の上に乗りつつ、私達はルーテリアさん、ルイネさん、ミィさんがいる所に行き、食堂へと向かう。


――――――セリア達が去った後。


メルフィスは黙って見送る。


そしてそんなメルフィスに月虹の幻鹿(ムーンボウ・ディア)が一歩だけ前へ出る。


「……。」


「お前も気付いたのだ?」


鹿が静かに頷く。


メルフィスは空を見上げる。


「これは私じゃ抱えきれないのだ。」


「……学園長に話すのだ。」


――――――――。


「…という事があったのだ。」


メルフィスは学園長室にて、琴の顛末を話していた。


「そこで、一度学園長のユージーンにも聞きたいのだ。何かしらないか?このリス」


ユージーン学園長は髭を触りながら端末で撮ったリスを見て首を傾げる。


「……。わからん。――だが。」


「見たことはある。」


「本当なのだ?」


「いや。正確には。」


「――昔読んだ古い記録に、よく似た挿絵があった。」


そう言いつつ、いつも世話をしている植物に水をやる。


「植物は面白い。」


「百年前の種でも芽吹く。」


「人の縁も同じだ。」


水をやり終えて、ゆっくりと椅子座る。


「さっきのリス、もう一度見せてもらえるか?」


「…?わかったのだ。」


端末を受け取り、リスを見ていく。


「……懐かしいね。」


クスクスと笑いつつユージーンはメルフィスに端末を返す。


「…知っているのだ?」


ユージーンはそっと首を振る。


「いや。とてもよく似た光景を見たことがあってね。」


そう言いながらお茶をそっと飲み、昼下がりの外を眺め呟く。


「長く生きているとね。」


「一生に一度だけ見る景色というものがある。」


「この子には、その匂いがした。」


――――――――。


場所は変わって食堂。


セリア達は昼食を食べつつ、契約について話していた。


わたくし蒼月の霊狼(ルナ・フェンリル)はシルヴァンにしましたわ」


「…本。」


「え、ミィ、まさかとは思うけどそれ名前なん…?」


「…うん。本」


「いや直球過ぎるやろ。もうちょっと考えたりいや!?」


「……ブック」


「一緒やん!?」


ツッコミを入れつつも「まぁミィだしなぁ」と諦めるルイネさん。


「そういえばセリアの子ら、めっちゃおったけど全部名前つけたん?」


「はい。付けましたよ。といっても5匹は一度戻っちゃいましたけどね」


「ほーん。そんで、どんな名前なん?」


「このリスの子がキナコです。色合いがそんな感じかなって思って」


私はキナコの顎下を撫でつつパンをあげると、キナコも木の実を私にくれる。


そしてその木の実を懐の内ポケットに入れて、一緒にパンを食べる。


「スライムの子はポヨン。鳥さんはメロデ、小人さんはアシス、鹿さんがフラワ、兎さんがヒヤンですね」


「律儀やなぁ…。で、契約はそのキナコだけなん?」


「さぁ…特に契約をしたって感じはなく…?」


「野生なんか契約済なんかようわからんなそれやと…」


「まぁ、ある意味契約よりも仲は深そうなのはセリアらしい所ですわね?」

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