第20話 「方向性」
お茶を飲みながら学園での私の事を聞く中、私もお茶を一緒に飲む。
「そういえばお師匠様、村の畑はどれくらい育っています?」
「うむ。最近は甘いのが出来ておるみたいだの。肥料を変えたと言っておったのぅ」
「わぁ…食べてみたいですけどここからだと遠いですもんね…。」
「ははっ、なら今度来る時に持って来てやろう」
「良いんですか!」
「いつも楽しみにしておったのは知っておるからのぅ。」
お師匠様はお茶を飲みながふっと笑う。
「それと、友人の3人は随分と仲がいいみたいじゃのぅ。楽しいか?」
「はい。すごく優しくて、私の淹れたお茶も大好きとよく言ってくれるんです」
「で、ローレファルス。このお茶の事は何かわかったか?」
「…。いたって普通のお茶ですが、妙に精神が落ち着くというのはありますが」
「まぁそれくらいじゃな」
その答えを聞いて何か考える様子でローレファルス先生はお茶を見る。
「ふっ。枠組みにはめてる時点で一緒じゃよ。楽しめ」
「やっぱり今日も難しそうなお顔してますね。」
ローレファルス先生は少し伏目になりつつも座り直す。
「クミホさん。この学園はどう思います?」
「急になんじゃ」
「方針の在り方や、状態です。客観視できているであろう貴女なら何かわかるかと」
「特に何も思わんな。それが人の集まる場所というものじゃ。さほど他と変わらんよ」
「…共存してる…。ランクについてなどですか」
「そこは勝手に考えるのじゃな。」
そう言いつつ話していると、お茶はあっという間に空になってしまう。
「うむ。久しぶりに飲めた事だ。そろそろ妾も帰ろうかの」
「あ、もう帰っちゃうんですね…」
「ここに長居しても迷惑じゃしな。何、近いうちにまた来る」
ぽんぽんと頭を撫でられつつ私は頷く。
「では一応今後の方針だけ、Sランク教師として」
「ふむ」
「セリア・レインは学園の基準としては日々危険にさらされてる状態にはなります。」
「じゃろうな」
「そこで、一応「同行を基本としつつ――」
「完結に言え。長い」
「…学生としてやりつつ、常に味方である存在と行動させます。現状であればルイネ・セフィル、ミィ・ラシール、ルーテリア・ラフテイルの3人とです」
「なら普段から皆さんと一緒に入れるという事ですか?」
その言葉にコクッと頷く。
「あぁ。異例にはなるが、現状私達が居ない場合に対処ができないのは話していて痛いほど痛感したからな」
「今回の事故で、それを嫌というほど理解した。」
「とはいえ過保護にし過ぎては派閥意識が芽生えるのも事実。そのため基本は通常通り授業は受けさせるが、戦闘系をする時は少しばかりこちらで指示はする」
「わかりました。色々考えてくださり、ありがとうございます」
私はお辞儀してから微笑む。
それを見てから「さて」と言いながらお師匠様は立ち上がる。
「元気に頑張るのじゃぞ。セリア」
「はい…!あの、その前に…!」
「…。何時も甘えたがりじゃのうセリアは」
そう言って私を抱きしめて優しく撫でてくれる。
「……♪」
少しの間だけそうして貰ってからそっと離れて、見送る。
「またのぅ。それとローレファルス、次はその友人とやらも一緒に同席させるのを楽しみにしておるよ」
そう言って手を振りつつ歩いていく。
(終始気配を探っても、ずっとGランク…セリアのように何も無いように見えてしまう…。いったいあのクミホという人物は…)
私は大きく手を振って見送ってから気合を入れ直す。
「…改めて、これからもよろしくお願いします!」
「あぁ。教室に戻るといい」
私は「はい!」と頷いて歩き出す。
そして、昨日とは少しだけ違う日常が、また始まる。




