第2話 「入学式」
ドキドキとわくわくが胸の中で広がりつつ、馬車乗り場がある村まで歩みを進める。
「ん、おや?嬢ちゃん、一人で学園かい?」
「はい。今日入学で」
「ほー…。緊張してるか?」
「あはは…正直…はい。……でも楽しみです。」
そんなやり取りをして頭を下げてから馬車に乗る。
ここから1時間ほどで、学園都市であるアストリアに着くそうだ。
そうして風景を見ながら山を越え、木々からの風を浴びつつ、周りを見ていく。
「…こんなところまできたの初めてですぅ…」
「はっはっはっ、お嬢ちゃん、さては箱入り娘だったな?」
「あはは…故郷の村以外行った事が無くて…?」
「そりゃあ珍しいわけだ。なら街はもっと驚くことになると思うぞ?」
そんな話をしながら数十分が過ぎ、都会の街並みが見えてくる。
私はあまりの大きさにぽかーんっと間抜けな顔で街並みを見ていく。
「家がいっぱい……。」
「あのお店、何を売っているんでしょう。」
「お馬さんまでたくさん……。」
「……石の道って、本当にあるんですね。」
その反応を見た御者のおじさんは、肩を震わせながら笑っていた。
「都会ってすごい……。」
そんな笑われているのを他所に、私は馬車の到着を御者のおじさんに告げられる。
「じゃあ俺はここまでだ。入学式、頑張れよ、嬢ちゃん」
「あ、はい。長い間、ありがとうございました…!」
ペコっとお辞儀してから入学式のある学園へと向かう。
…のはずですが。
「…あれ、えーと…どうやって行けば…」
きょろきょろとしながら近くにいた人に聞くことに。
「あ、あのー…学園の入口ってどうやって行けば…?」
「入口…?…え、あそこだけど?」
何を言ってるんだこの子はという不思議そうな顔をされて指をさされた場所。
「あっ……。」
そういえば、さっきから見えていた大きな門だった。
あれが学園の入口だったんだ。
「あ、あそこなんですねっ…!?ありがとうございましたぁっ…!?」
恥ずかしさと感謝を半々くらいでお辞儀して赤面をしながら逃げるようにして学園の方へ向かう。
そうして入口にまで来たのは良いですが…
「わぁ…人がいっぱい…」
そんなことを言いつつ<入学式最後尾>の札を目印に列に並んだ。
そのあと、少ししてから大声が聞こえる。
「えぇー、それでは今から入学式前の能力測定をします。係員の指示に従い進行ください!」
(いよいよ私の学園としての第一歩が始まるんですね…お師匠様…!)
そんな事を思いつつ、受付の方へと係の人の指示を受けて歩いていく。
「それでは今から能力の査定を行います。自身の順番が来たら水晶に手を置いてください」
その呼びかけを受け、私の前にいた人たちはB、C、Aという風にランクというのを教えてもらっており、ついに出番が来ました
「よ、よろしくお願いします…!」
内心ガチガチになりつつ、手を水晶に置いた。
ですが、一切浮かばなかった。前の人に出ていた色とりどりの色彩もなければ、光すらない。
「…?…Gですね。」
一瞬首を傾げつつ、職員は告げて「次の方」と順番を回します。
「ありがとうございます。」
(よかったぁ……ちゃんと測れたみたいです。)
お辞儀して次の場所へと私は向かう。
その周りではヒソヒソと声が広がる。
「うわ。Gだってよ…」
「終わったね。あの子」
「なんで入学しに来たんだか…」
そんな声も露知らず、次の試験へと向かい、内容を聞く。
「次は生活魔法の水準を見ます。それでは合図と共に火を灯してください」
(あっ、普段からしてる事が出ました…!こういう時のためにも使えるんですね、お師匠様…!)
「それでは、灯してください」
その言葉と共に周りの人たちも順番に灯していく。
「灯火」
ボゥッ!
周りが灯していく中
「…」
そっと目を閉じて息をするように何時ものようにぽっ…っと灯す。
そんな光景を見て、試験官は少しだけ首を傾げた。
試験官A「…?」
試験官B「ん…どうした?」
試験官A「あ、いやぁ…何でもない」
そうして一通りの試験が終わり、「ふぅ…」と安堵する中、次の案内が聞こえる。
「それでは寮の方へご案内します。お手持ちのカードの場所に行き、係の人の指示に従ってお進みください」
私はその言葉を聞いてから自身のGと書かれたカードを見て番号を照らし合わせ、向かう。程なくして学生寮の方へと案内される間もきょろきょろと周りを見て「おぉ……」と感嘆の声を漏らしながら施設内を見ていく。
「ここが私の配属寮…っ。」
すーっと深呼吸をしてからドアを開ける。
「き、今日からお願いしみゃっ…!」
噛んだ。
既にいた人物3名がその様子を見てぽかんとした顔をしてみる。
「(か、噛んだぁ…?!)」
先に声を出したのは白い髪に青いグラデーションでサイドテールの女子
「え、えぇーと…よろしく…?」
その次に声を発したのはセミロングで縦ロールのいかにも貴族出身な女子
「あら……また一般寮ですの。盛大に噛みましたわね?」
そして最後に眠たげな黒髪のツインテールの女子
「ん…。」
「(また噛みましたぁ…!?)…うぅ…」
赤面しつつぷるぷるとしながら部屋の中に入る。
その頃。
試験官A「少し気になる子がいました。」
試験官B「Gランクか?」
A「ええ。」
B「何か問題でも?」
A「「いえ……。」
書類を見る。
魔力量<G>
生活魔法<G>
制御精度<測定不能>
B「……測定不能?」
A「はい。」
B「機械の故障か?」
A「私も最初はそう思い、交換しましたが。結果は同じです。」
B「…ふむ。」
書類を見つめる。
B「そうか。」
という言葉の後、しばしの沈黙が職員室に広がる。
B「一応、学園長へ報告だけはしておこうか」




