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朝は神社で掃除をしていた最弱の巫女見習い、今日から魔法学園に通います。  作者: 九尾


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第17話 「制御と魔力」

「今回は以上だ。お前らちゃんと纏めとけ」


そう言ってヴェイン先生は足早に纏めて教室を後にする。


私たちは午前の授業が終わり、今日最後の授業へと皆さんと一緒に行く。


「次は実習棟ですか…何をするんです?」


「戦い方とか立ち位置とかの実戦形式の説明とかが多い所やね」


「…でもセリアは無理はダメ」


「えぇ、内容も過激なものが多くなりますものね」


「あはは…魔力が無いのはお師匠様からも言われてますからね…」


「そこは村でも言われてたんやね?」


「なんならお師匠様から一番最初に言われてましたね…?」


「最初に会った時に言われてましたね」


そうやって苦笑交じりに言いながら歩いていると実習棟へ到着すると、既にガーバント先生が準備をして待っていた。


「来たか。今回は魔法を利用しての実習をする。」


前を見るとそこにはモンスターを模した石造りの人型人形が数体いた。


「コイツらに攻撃を加えたり防御をしたりといったものだ。各自、実技というのを忘れずにしろ」


5人ずつの実技が開始される。


「ではまずは魔法を利用しての攻撃からだ。各自得意な魔法を利用して攻撃をしろ」


「…では、始めッ!」


それぞれ魔法陣を形成して、発動していく。


「…わぁ…皆さん凄い…」


私は皆が魔法陣を形成して射出してる姿を見て少し不安になる気持ちを抑えていた。


「遠距離なぁ。せやったこうかな。風玉ウィンドスフィア!」


そういってルイネさんから放たれたソレは圧縮された空気の球を放ち、着弾と同時に弾けさせて周囲を吹き飛ばす。


「…石刃ストーンエッジ。」


ミィさんの放ったものは、地面を這うように鋭い岩の刃を走らせ、敵の足を狙うようにして土の刃が広がる。


「行きますわよ…。氷柱アイスランス(チェイン)水弾アクアカッター…!」


三日月状に圧縮した水と氷で鋭く尖った氷の槍を生成して撃ち出す魔法を同時に放ち、左右両方から追い詰めて同時に着弾させる。


「ふむ…複合魔法か。よく洗練されているな」


そう言いながらガーバント先生が資料を見つつ放たれた魔法の内容を見ていく。


(魔法はあぁやって複数撃つ事もできるんですね…)


「次、DからGだ。前に出ろ」


私の番が来て数人と一緒に前に出る。


「出来る最大をやれ。まずは当てる事を念頭にな」


(…私のできる魔法って何でしょうか)


そう思いながら周りが魔法陣を形成して撃っていく中、自問自答をしながら何とか魔法を出そうとして見る。


(確か…皆さんが最初に習う魔法って……。)


火球ファイアーボール……?」


…しーん。


魔法は発現しないどころか、魔法陣すら形成されない。


その横で


「…ランクDじゃないんだ…。俺はもっとできる…」


魔法陣が一つ展開される。


その外側へ、更にもう一枚。


「……!」


ガーバント先生の表情が変わる。


「待て! 二重デュアルをするな!」


大火球グランドファイヤーボール!!」


複数の魔法陣で熱量を増幅させた、馬車ほどの大きさの巨大な火球。


その巨大な火球は最初こそ真っ直ぐ飛んだ。


しかし次の瞬間。


ぐにゃりと軌道が歪む。


「制御が――」


ガーバント先生が叫ぶ。


「全員伏せろ!」


ドォォン!!


スローモーションで炎が迫る光景が眼前に広がった瞬間にルーテリアさんの声が響く。


二重陣デュアルサークル氷の壁(アイスウォール)!」


下から競り上がった氷壁の隙間を縫うように、熱風と石片が吹き抜ける。


「っ!?」


熱い。


何かが腕を掠めた。


次の瞬間には体が宙へ浮いていた。


呼吸ができない。


地面へ叩き付けられる。


(…あれ?私、なんで倒れて…?)


意識落ちる中、スッと声が聞こえる。


(ふむ。やはりか…。安心せよ、命に危機はない。)


お師匠様…?の声が聞こえて完全に暗闇に意識が消える。


「おい!大丈夫か!」


抱き上げてセリア状態を見るも、意識を完全に失っている状態で外傷もあった。


「っ。授業は中止だ。ヴェインを呼べ!」


「了解!うちが行く!跳躍風エアロジャンプ!」


すぐに風魔法を足元に使ってルイネがヴェインを呼びに行く。


――――――。


保健室にて。


「…ふむ。外傷はあるが、命に別状はない。」


ヴェインが白衣のポケットに手を突っ込みながら言う。


「すまないヴェイン。私の判断が遅れた。」


「よくある事故だ。身の丈に合わん魔法使うガキのな」


ミィ、ルーテリア、ルイネは眠っているセリアの顔を見ている。


「それとな、少し気になったのがあったんだが。」


頭を搔きながら腑に落ちない雰囲気で言う。


「腕の裂傷は浅い。肋骨も折れてねぇ。」


「脳震盪も軽度だ。だが妙でな。」


「妙ってのは…?」


そう言ってヴェインは少し焼けたお守りのようなものを見せる。


「…これは?」


私がそれを見た時、ミィが一言発する。


「…最初から身に着けてたお守り」


「まさかな。これが肩代わりしたとは思えないが、なんかしらが作用したとしか思えねぇんだ」


「根拠とかはあるのか?ヴェイン」


「直感になるが、……魔力量が少なすぎる奴が状況から察するに壁を作ってもらったとしても、こんな軽度にはならん。最悪死ぬのが現実だ。」


その言葉を聞き、3人共、特にルーテリアの握った拳が震える。


「…だが、コイツは生きてる。外部から更に守られたとしか考えれねぇんだ」


「外部から…。」


そう言っているとノックする音が聞こえる。


「エルマです…!大怪我をしたって…!」


ヴェインが向かって開け、そこにいたのは、エルマ・カルディナだった。


「一応関係は?」


「え、えと…食堂で少し同席を…」


「…えぇ。間違いありませんわ。ご一緒に食事を致しましたわ」


「…入れ。」


そう言って迎え入れ、横たわるセリアを見て少し身動きが止まる。


「…申し訳ありません。わたくしがもう少し展開が速ければ」


「うちらもごめん…。反応遅れた…」


「…。」


3人が黙り込んでいる中、エルマも何か複雑な表情をしている中ヴェインが静寂を断ち切る。


「……今日はここで寝かせる。明日になれば目を覚ますだろ」


誰も返事をしなかった。


静かな保健室に聞こえるのは、規則正しい寝息だけだった。


焼け焦げた小さなお守りだけが、机の上で静かに横たわっていた。

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