第10話 「異常性の認知」
朝5時からの日課から始まります。
起きて、ミィさんがすやすやと寝ている間に部屋の掃除。
柏手を神棚に向かってする。
そして、お茶を用意し、一息ついている所に私の日課に1つ追加されたことがあります。
「……まだ眠い。」
そう言いながらも湯呑だけはしっかり受け取る。
「ふふっ。本当に好きなんですね。」
ズズズっとお茶を飲む。
「……これだけは別。」
「気に入ってくれて嬉しいです♪」
微笑ましく思いつつ、一緒に飲む。
登校時間である7時まではまだ時間がある中、コンコンッとドアから鳴る。
「おはようございます。ルーテリアですわ」
「うちもおるよ~」
二人を出迎え、部屋に集まってお茶を差し出す。
「ほー。これが昨日ミィが言ってたお茶か。って言っても前の調理室ん時となんかちゃうな?」
「お茶の種類が違うんですよ」
「ふむ…紅茶よりもスッキリとした味ですわね」
「朝食も作れた良かったんですけどね。食材が無くて…。」
ルーテリアさんは私たちの部屋を見まわす。
「確かにここにずっと保存はできませんわね?」
「……ランクでしか見てないから、損しかしてない。」
「皮肉なことやねぇ。あ、セリアおかわり貰える?」
「はい。とはいえばあと合計2杯分くらいしかないですが」
それを聞いた瞬間、ミィさんがぐびっと一気飲みして、湯呑を渡してくる。
「…おかわり」
「随分と気に入ってますわね?」
「私としてはすごく嬉しいですけどね。」
そうやって登校時間を前倒しに朝のお茶を堪能してから朝食を取りに食堂へ行く。
「またAランクといる…」
「保身の為にくっついてるのか…?」
「ごますりかしら…」
そんな事を言われているのにセリアさんは一切気が付いていないのか、嬉しそうに朝食を楽しむ姿を見ていると、心が落ち着きますわね。
(この方々、本当に気付いていませんのね。)
「そういえば、今日は魔法座学でしたわね?」
「せやな。セリアはどんなとこまで知ってるん?」
「えーと…。魔法という魔法に扱った事がなくて…?」
「…知ってた。」
「まぁそう言うと思ったわ」
「へ…?」
きょとんとするセリアさんを見てクスッと微笑んでしまう。
「まぁ、習った上でセリアさん独自の解釈を交えてみると良いですわ」
「はい…わかりました…?」
「さて、そろそろ行きましょうか。今行けば丁度くらいですわ?」
そう言って食事を終え、教室に向かえばやはりすぐに妬みや困惑のような声が聞こえる。
(全く、暇な方々ですこと。努力無くして何を言っていらっしゃるのか…)
そう思いながらセリアさんと席が離れているのもあり、一度別れる。
(聞いた事がある内容ですわね。ただこういう基礎の見直しは必要ですわね)
基礎理論の授業は復習ばかりだったと思いながら今まで聞いた内容も私は筆記していく。
そして時間が過ぎ、この学園で一番ランクの高い教師の来る午後の授業のこと。
彼女が来るとすぐにピリッと緊張が走る。
「本当にいるんだ」
「あれがここにいるSの一人…」
「はい、それじゃあやっていくぞー。座れー」
そう言いながら教卓に立つ姿はSという雰囲気を感じさせないような佇まいで授業が始まります。
「私はここでやってるローレファルスだ」
「魔法は理論であり、才能は証明されるものだ。そん時に努力は当然
のこと。甘えは認めん」
お前らの事だぞとチョークを向けられた生徒たちはビクッとしている。
(努力は必須事項ですわね。当然ですわ)
「んじゃ、今日は普段使いしている魔法とはについてだ」
「簡単に言えばこの3つで説明できる。」
そう言いながら黒板に書かれていく。
「1つ、魔力を取り出す。1つ、術式へ流す。1つ、現象へ変換する。この三工程で成り立つ。」
「この時に魔力が漏れる。これが所謂魔力漏れの現象だ」
黒板には100の魔力があるとすれば、利用すれば92%が利用され、他が漏れになるという事が書かれている。
「このように漏れたのは残りは熱・光・魔力漏れになる。」
「てことで座学だけならだれでもできるが、実践は必要だ。そこで今回は小さくてもいいからを作れ。氷片」
パチンッっと指を鳴らすと手元に氷の粒が形成されていく。
「私は魔力損失を0.1%まで抑えられるが、ここまでしろとは言わない。お前たちの実力検査だと思って最初は気楽にやれ」
「とりあえず出すのは氷片でも種火でもなんでもいいぞ」
(片手間にあの制度…。本当にランクSというのは規格外ですのね…)
その光景を見て私はその方法を見つつ疑問に思う。
(…?お師匠様はよくかき氷を作ってほしいと言いながら出してたような…?)
少し違和感を覚えるセリアの姿をミィは少し疑問に思う。
「……?」
そうして実際に抜き打ち試験が始まり、生活魔法を利用していく。
「ふむ…。」
ある程度見ていくと荒さはあるが今回はまだマシな奴らが多いな。
セリアは流石Sといった所か。努力をしている形跡も見て取れるな。
ルイネはこういうのは苦手か、ランクより下がる程度だが許容範囲だな。
んでミィのやつは…やる気無いな。次だ。
そうして私は次々に生徒たちを見ていく。
「君もだ。名前と実際にやってくれ」
その言葉を発すると周りからヒソヒソとした声が響くのが聞こえた。
「終わったなアイツ。」
「Gだしな。」
「火花程度だろ。」
そんな声を聞こえていないのか彼女は頷く。
「はい。セリア・レインです。では早速しますね?」
そういって彼女はそっと手を包むようにして蕾から器のように手を合わせる。
そして…。
ぽっ。
そこにあるのは青い炎。
「(…?!)」
言葉が出なかった。そこにあったのは異様なんて物ではなかったからだ。
(コイツ…詠唱が無い上に魔力が感知できない…。しかも一点にしか集中していない…。)
そこにあった種火は熱も、魔力漏れも、漏れ特融の発光も、揺らぎも一切が無い。
救い上げられた水溜まりのようにそこに鎮座する青い炎。
「…。セリア、だったか。後で話がある。」
その言葉を聞いた時周りがクスクスと笑っている。だがそんな事は私にはどうでもよかった。今ここに逸材がいたのだからな。
「授業が終わったら研究室へ来い。」
「あ、はい。わかりました…?」
きょとんとしているのを見ると、周りに流されない雰囲気もあるな。
「説教だろうな」
「やっぱGは問題児だな」
周りがうるさいが、そんな事はどうでもいい。
(ある意味楽しみだな)




