第七章 ソウタの覚醒と小林の進化
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「……あ、熱い。なんだ、この感覚は……」
砕け散った『深紅の石』から溢れ出した膨大なエナジー。それは消滅する吸血鬼の呪いではなく、街の人々から奪われていた「情熱」と、石が数百年かけて蓄積してきた「純粋な生命力」の奔流だった。その中心にいたソウタの体に、行き場を失った光が吸い込まれていく。
「ソウタさん! 大丈夫か!」
大亀が駆け寄るが、ソウタの周囲には不可視の障壁が展開されていた。そして彼の基礎能力が著しく上がっていてそして新たな能力にも目覚めていた。
「……見える。空気の流れも、皆さんのエナジーの動きも……。ヒロミチさん、僕……普通じゃなくなっちゃったみたいだ」
石を破壊した「一般人の覚悟」が、奇跡的にその力を浄化し、自らのものとして定着させたのだ。ソウタは、吸血鬼の再生能力と、人々の想いを力に変える『情熱の探究者』としての知識の能力に目醒めた。
一方、小林は先ほど放った合体技『シャインゲイ・ホーリー』の感触を、自らの指先で反芻していた。
(あの聖なる輝き……ヒロミチの慈愛と、大亀の剛毅さと私の霧が混ざり合った瞬間に生まれた、あの『調和』……)
小林はこれまで、自身の「幻惑」を相手を欺き、惑わすための手段としてのみ使ってきた。しかし、あの技を経験した今、彼は全く別の可能性を見出していた。
「幻で塗りつぶすんじゃない。真実を引き出すための『鏡』……」
小林が指先で空を切ると、今までの霧とは違う、クリスタルのように透き通った細い糸が紡ぎ出された。
小林は心の中で、自分だけの新しい必殺技を組み立てていた。
それは、敵の負の感情をそのまま反射し、同時に味方の想いを増幅させる「共鳴」の術。
「『シャインゲイ・ホーリー』で見せたあの光を、私一人の力でも再現してみせる。欺くのではなく、魂を浄化する幻惑……。ふふ、これでまた一歩、私も『美しい世界』に近づけるわね」
小林の瞳には、以前よりも深く、知的な光が宿っていた。
「みんな、一段と頼もしくなったね」
覚醒したソウタと、さらなる高みを見据える小林を見て、ヒロミチは心からの笑顔を見せた。
一般人だったソウタが加わったことで、彼らのパーティーは「情熱を形にする力」を手に入れた。街の人々に自由を返した一行は、ソウタの新しい力を検証しながら、次なる目的地を定める。
「さあ、行きましょう。中田くんが待つあの場所へ、僕たちの新しい風を届けるために!」
朝焼けに染まる街を背に、四人の勇者は力強く歩み出した。




