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真実の愛に目覚めし拳   作者: m
第2部 もしもあの時

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第六章 一般人の覚悟

2個目です

小林が私たちの純粋な愛の波動であいつを倒しましょうと言い、ヒロミチと大亀は頷き攻撃しながら領主の隙を窺った。

「今よ、二人とも! 私たちの情熱を一つに合わせるわよ!」

小林の叫びに応じ、ヒロミチの白銀のフェロモンと大亀の黄金の筋力が、小林の放つ清らかな霧と絡み合った。


「受けてみろ! これが僕たちの……シャインゲイ・ホーリー!!」


三人のエナジーが巨大な光の十字架となり、領主を直撃した。聖なる輝きが館を包み込み、アンチゲイの呪気を焼き払っていく。領主は絶叫し、その肉体はボロボロに崩れ落ちた。


「……終わったのか?」

大亀が肩で息をしながら呟く。しかし、地面に伏した領主の傷口から、ドロりとした黒い粘液が溢れ出し、無理やり肉体を繋ぎ合わせ始めた。


「ハハッ……ハハハ……無駄だ! この街の地下から湧き出る力が、私を無限に再生させる! 貴様らの愛など、私の永遠には届かないのだ!」


領主が狂ったように再生を繰り返すなか、背後の隠し扉を蹴破って現れたのは、汗まみれになったソウタだった。


「これさえ……これさえ壊せば!!」


ソウタの腕には、禍々しい紅い光を放つ巨大な『深紅の石』が抱えられていた。領主が地下から吸い上げていた、洗脳と再生の源泉だ。


「なっ、貴様、それをどこから……! 離せ! 汚らわしい一般人が触れるな!!」

領主の顔に初めて真の恐怖が走る。領主は触手のような影を伸ばし、ソウタを殺そうと襲いかかる。


「ソウタ!!」

ヒロミチたちが助けに入ろうとするが、ソウタは一歩も引かなかった。


「……これは、あんたに人生をめちゃくちゃにされた、僕たちの街の怒りだ!!」


ソウタは握りしめていた錆びたナイフを、渾身の力で石の核へと突き立てた。

一般人の、なんの特殊能力もないただの一撃。しかし、そこには支配から脱却しようとする人間の強い意志が宿っていた。


――パキィィィィィン!!


乾いた音と共に、石に無数の亀裂が入る。中から噴き出したのは、今まで奪われてきた街の人々の情熱の残滓だった。


「ぎゃあああああああああッ!! 私の力が……永遠が、崩れていくぅぅぅ!!」


魔石の破壊と同時に、領主の体は内側から弾け始めた。

再生は止まり、吸血鬼の肉体は灰へと変わっていく。


「信じられない……あんな一般人の一撃が、決定打になるなんて」

小林が驚きをもって見守るなか、領主は最後に無様な悲鳴を上げながら、夜の風の中に完全に消滅した。


館を覆っていた重苦しい呪縛が解け、窓からは夜明けの光が差し込んでくる。


「やった……やったんだね、ソウタ」

ヒロミチがソウタの肩に手を置く。ソウタは震える手でナイフを落とし、安堵の涙を流した。


「……ありがとう。あんたたちが戦ってくれたから、僕も勇気が出せた。これでやっと、この街に本当の朝が来るよ」


街の住民たちの瞳にも、徐々に生きた色が戻り始めていた。

ヒロミチ、大亀、小林、そして一般人のソウタ。異なる力を持つ者たちが手を取り合ったことで、強大な闇は打ち払われたのだ。


しかし、彼らの旅は終わらない。この世界のどこかで、まだアンチゲイ団の影が蠢いていることを、一行は知っていた。

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