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真実の愛に目覚めし拳   作者: m
第一部 波乱の旅立ちと別れ編

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第二十三章 決着

トモヒロがケイイチの元に向かった時、ケイイチは口を開いた。「愛が何を生んだ? 結局は、裏切りと喪失だけだ。ならば、私の意思だけが理となる世界を作ればいい」


ケイイチが両手を広げた瞬間、祭壇の景色が塗り替えられた。そこは、色彩も音も、物理法則すらもケイイチの思考一つで変幻自在に操られる精神空間――『マイワールド』。


「なっ、体が動かない……!?」セバスが驚愕する。

彼が放った水の刃は、ケイイチに届く直前で美しい花びらへと変えられ、無害に散っていく。トモヒロの剛拳も、尺田の意思によって「重力ゼロ」の状態にされ、手応えを失った。


「この中では、私が神だ。お前たちの愛も、筋肉も、美学も、すべては私の都合の良い幻影に過ぎない」


「神ごっこなら、一人で鏡の前でやってなさい!!」


トモヒロが咆哮した。彼の全身の筋肉が、限界を超えて膨張し、皮膚が虹色の閃光を放つ。ケイイチの支配する世界そのものを、内側から食い破るほどの膨大な愛のエナジー。


「セバス! 道を空けなさい! 私のすべてをこの一撃に込めるわよ!!」


トモヒロが天高く跳躍し、全宇宙の愛を拳に集束させた。

「ビッグバン・ラブ・アタック!!!」


マイワールドの空がひび割れ、ケイイチの「無」の理が、トモヒロの圧倒的な「生」の爆発によって粉砕される。ケイイチは防戦一方となり、その胸をトモヒロの拳が貫いた。


「……ぐはっ……! ユウスケ……師匠……私は、間違って……」

ケイイチが膝をつき、口から血を流す。マイワールドが崩壊し、元の祭壇へと戻っていく。


「終わったわね……」

トモヒロが肩で息をつき、セバスも剣を収めた。ヒロミチは駆け寄り、正気に戻った中田と手を取り合おうとした。


「中田くん、やったね! 僕たちの勝ちだ!」

「……ああ。お前のおかげで、目が覚めたよ、ヒロミチ」


しかし、誰も気づいていなかった。死に体のケイイチが、最期の力を振り絞り、指先をこの場で一番愛を持っているヒロミチに向けていたことに。


「……愛と共に……消え去れ……」


ケイイチの指先から、音もなく黒い絶望の波動が放たれた。標的は、無防備なヒロミチの心臓。


「ヒロミチ、危ないッ!!」


異変に気づいたのは、誰よりもヒロミチを意識し続けてきた中田だった。中田はヒロミチの体を強引に突き飛ばし、自らの胸でその波動を受け止めた。


ドシュッ、と不吉な音が響く。


「……中田……くん……?」

突き飛ばされたヒロミチが振り返ると、そこには胸を黒い霧に貫かれ、ゆっくりと倒れゆく中田の姿があった。


「中田くん! 中田くん!!」

ヒロミチが中田の体を抱きかかえる。中田の瞳からは、急速に生気が失われていく。


「……へへ、最後くらい……いい格好……させてくれよ……。ヒロミチ……お前は、最強のゲイに……なれよ……」


中田の手が力なく床に落ちる。

祭壇に、ヒロミチの悲痛な叫びが響き渡る。


「あああああああああッ!! 中田くーーーーん!!」


愛に目覚めたばかりのヒロミチを襲った、あまりにも残酷な喪失。最強のゲイをめぐる物語は、誰も予想しなかった悲劇の結末へと向かおうとしていた。

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― 新着の感想 ―
ひろみちをライバル視していた中田がひろみちを庇うなんて泣 中田はどうなってしまうの泣泣泣
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