第十三章 コレナガの力 皆の力
ネオンシティの喧騒の中、ヒロミチはコレナガの放つ冷気のような波動に耐えながら叫んだ。
「コレナガさん! あなたほどの力がある人が、どうしてゲイの道を諦めてしまったんだ!? 教えてくれ!」
コレナガは冷笑を浮かべ、視線を逸らした。
「……貴様のような若造に話すことなど何もない。愛を信じて裏切られる痛みを、お前はまだ知らないだけだ」
「そんな……!」
ヒロミチは迷いを断ち切るように、全身のオーラを燃え上がらせた。「だったら、僕がその痛みを抱きしめてみせる! ゲイ・リベレーション!!」
渾身の波動がコレナガの胸を直撃した。しかし、コレナガは微動だにしない。
「……温かいな。だが、それだけだ。俺の心の氷は、その程度の温もりでは溶けやしない」
ヒロミチは戦慄した。当たったはずの必殺技が、まるで深海に石を投げ込んだかのように吸収されてしまったのだ。
「ヒロミチ、一人で無理なら二人でいけばいいじゃない!」
物陰から飛び出したのは小林だった。彼はヒロミチの肩に手を置き、耳元で囁く。
「コレナガの心は、自分を責める『罪悪感』で何重にもコーティングされているわ。私のシルクでその外壁を剥がす。そこに、あなたの純粋な想いを叩き込みなさい!」
小林が舞う。その指先から放たれた『エマニエル・シルク』が、コレナガの周囲に展開されていた負の障壁を絡め取っていく。
「無駄だと言ったはずだ!」コレナガが反撃の波動を放とうとするが、小林の布がその動きを一瞬だけ封じた。
「今よ、ヒロミチ!!」
「受け取ってください、コレナガさん!!」
小林の布によって生まれた一瞬の隙間に、ヒロミチは再び拳を突き出した。
「ツイン・リベレーション・ソウル!!」
小林の「包容」と、ヒロミチの「情熱」。二つの異なる愛のエナジーが一本の光の柱となり、コレナガの胸の奥底へと突き刺さった。
「ぐっ……あああああッ!!」
コレナガの瞳に、かつての情熱が火花のように一瞬だけ灯る。彼の脳裏に、かつて共に夢を見た仲間たちの笑顔が、そして自らの弱さゆえに手放した輝かしい日々が蘇った。
光が収まった時、コレナガはその場に膝をついていた。先ほどまでの冷酷なプレッシャーは消え、ただの傷ついた一人の男の背中がそこにあった。
「……フン。少しはマシになったようだな」
コレナガは立ち上がり、背を向けた。しかし、その声からは先ほどまでの毒が抜けていた。
「だが、まだ足りない。お前たちがこの街に蔓延る『偽りの愛』をすべて打ち砕けたなら……その時、俺の答えを聞かせてやる」
コレナガは闇の中へと消えていった。しかし小林は、彼が立ち去り際に一度だけ、ヒロミチの拳の感触を確かめるように自分の胸を押さえたのを見逃さなかった。
「やったわね、ヒロミチ。彼の心の氷に、確かなヒビを入れたわよ」
「うん。でも、本当の意味で救うには、もっと強くならないと……」
大亀が駆け寄り、二人の肩をガシッと掴んだ。
「へへっ、俺も出番がなくてウズウズしてましたよ! 次は俺のパワーで、その氷を粉々に砕いてやりましょう!」
一行の絆は、コレナガという大きな壁に挑むことで、より強固なものへと変わっていった。
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