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赤と屋敷と氷符

 襲撃にあって住人が永遠亭に搬送された後の紅魔館が陰惨とした廃墟になってしまっていたかというと実はそうでもなかった。


 チルノや大妖精など好奇心旺盛な妖精たちが主がいなくなった紅魔館を新たな遊び場にしていたのだ。


 館の周辺は元々彼女たちのテリトリーだったのだが、さすがに屋敷の中にまで入れることは滅多にない。住居侵入についてルールに縛られない存在であることを自覚しているのか、ここぞとばかりに探検を始めるのは当然のことだったのだ。

 徒党を組んで中へ入ってレミリアがどこからか集めてきた高そうな家具を眺めたり、庭の調度品で遊んだりと自由気ままに過ごしていた。


 今日もチルノは大妖精ら妖精たちを引き連れて紅魔館内で遊んでいた。幻想郷を揺るがす騒ぎにもお構いなしだ。


 そんな彼女たちだったが、輪を乱す者が和やかな空気を掻き消した。

「楽しそうなことしてんじゃん。俺も混ぜてくれよ」

 突然赤が現れ、驚いた妖精たちは窓から外へ飛び出して逃げた。人間にイタズラを仕掛けるのは好きでも相手からただならぬ雰囲気を感じ取ったのだ。


 しかし逃げなかった妖精が二人。チルノと大妖精だ。

 チルノについては単なる強がりで、大妖精はそんなチルノを置いて逃げられなかったのだ。


「ん? お前らは逃げないのか」

「あたい知ってる。あんたがここを襲ったんでしょ」


 オツムについて評価されることが少ないチルノも紅魔館が襲われたことは当然知っていた。だからこそここで遊んでいたのだ。


「よく知ってるな。仇でも討つつもりか」

「もちろん! あたいはそのためにまちぶし、待ち伏せ? してたんだから」

 大きく胸を張るチルノ。ドヤァという効果音がつきそうだ。 


「泣かせるじゃないか」

 レミリアらを破った相手を倒すことで最強の称号に箔がつくこと、そして大の仲良しというほどではなくとも知り合いである紅魔館の住人たちへの何かしらの思いがあったのだろう。


「えっ……」

 大妖精も窓の外から見守るその他の妖精たちもチルノはただ遊んでいただと思っていただけに、意外な狙いに驚いてしまった。


「ふふん、ここで待ってれば来ると思ったの! 犯人は現場に現れるってね!」

「なるほど。俺の行動が読まれていたとはな」

 赤たちの認識では妖精という存在は頭が残念なザコキャラだったのだが、彼はその認識を少しあらためた。


「そうか。そうこなくっちゃな。どっからでもかかってきな」

 美鈴たち同様全力で相手取る。


 チルノは大きく息を吸い込んだ。

「氷符『アイシクルフォール』!」


 至近距離から放たれた氷の弾幕が赤を襲う。この瞬間に、見ていた誰もがチルノの勝利を確信した。


「さすがに正面安置はないか。ハードだな」


 体を反り、横に跳ね、真上に飛び上がってかわす赤。驚異的な身体能力だ。


「なっ……避けちゃダメでしょ!」


「悪い悪い。つい、な」

 怒るチルノに対して赤が両手を前に出し構えた。その掌にエネルギーが収束し赤く輝く。


「させない! 氷符『アイシクルマシンガン』!」

 今度は氷の弾幕が分散することなく一直線に赤を襲う。


「面白い技だな」

 赤は椅子を蹴りあげて攻撃を防いだ。


「氷塊『グレートクラッシャー』! 凍符『マイナスK』!」

 次々に大技を見舞うチルノだが、対策が万全な赤には全て見切られる。そのうえ短時間にスペルを連発したことで力を消耗してしまった。


「たいしたもんだ。お前なかなか見所があるな。名前は?」

「チルノ! 最強の氷精よ!」


「そうか。なら安心だ」

 赤が掌に溜めていたエネルギーを解放した。


「チルノちゃ」

 エネルギーは渦をまいて部屋を滅茶苦茶にかき混ぜ、チルノと大妖精は破壊された壁から外へ投げ出された。


「そんじゃとどめだ」

 追って部屋から飛んだ赤は一瞬で飛ばされたチルノに追いついて一撃を見舞おうとした。


 体が丈夫な美鈴、最悪の事態を自力で回避した咲夜のような芸当をチルノに期待することはできない。


「じゃあな。最強。一回休みだ」


 ここで初めて赤の攻撃が外れた。突然発生した光の筋とともに今まで目を回して漂っていたチルノと大妖精が消えていたのだ。


「白昼堂々私たちの目の前での犯行とは思いきったわね」


 霊夢が赤の前に立ちふさがった。空中であってもその体の軸がぶれることはない。


「霊夢ぅ~、こっちはオッケーだ!」

 離れた場所から魔理沙の声が聞こえた。

 消えたように見えたチルノと大妖精は魔理沙が救い出したようだ。


 赤は嬉しさを隠さない。

「やっと会えたな。博麗の巫女。本当ならこっちから行かなきゃならなかったんだがな。そっちから来てくれるなら話がはやい」


「レミリアたちをやったのもあんたたちね?」

「正解。まあやったのは俺一人なんだけどな」


 驚く霊夢。レミリアの強さをよく知っている彼女からすれば予想を軽く越える相手だと容易に分かる。


「それで? これからどうするつもり。私たちは三人いるんだけど」

 姿が見えない妖夢は屋敷の近くにいた人間や妖怪を避難させているらしい。


「いーや。今回俺は要求を伝えに来ただけだ。お前と戦うのはそれから」


「要求だぁ? それだけ好き放題やっといてふざけるんじゃないぜ!」

 チルノと大妖精を安全な所へ寝かせ、魔理沙が戻ってきた。今にも暴れそうな勢いだ。


 赤はナチュラルに魔理沙を無視した。

「俺たちの要求は一つ。『幻想郷をよこせ』」

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