勘違い女
「だから…!くそ、何度も言わすな……いや。何度だって言ってやる…俺が好きなのは、あけみでも他の誰でもない。真田ゆみ!お前だけだ!」
ケントの言葉が頭に入ってこない…いや、理解できない…
---俺が好きなのは
---真田ゆみ、お前だ
---さなだゆみ…
……。
「えええー!?うそぉ!?」
「嘘言うかこの鈍感女!!」
---し、信じらんない…!そ、それに…
「あたしのどこが鈍感なのよ!」
売り言葉に買い言葉。
ケントの怒りように訳もなくイラッときて(照れるようなこと言われた気がするのに…)ついカッとなって言い返してしまった。
「鈍感以外の何物でもないわ!今回のことで十分分かった。お前がどうしようもないくらい鈍感だってことがな!」
「鈍感、鈍感ってだって誰がこんなに可愛いあけみを振るって言うのよ!信じられるわけないでしょーが!」
まさに子供の喧嘩だ…
と呆れたように見ていたあけみだが、ゆみの褒め言葉に「あら!」なんて言って喜んでいた。
先ほどケントからの熱ーい愛の告白があったにも関わらず、そこには甘い雰囲気なんて微塵もなかった。
「ていうかケントは昔からあけみが好きだったんじゃないの?」
「はぁ!?なんでそんな話になるんだ!」
そう、ふと思い出したのだ。
---それはあけみに初めて彼氏ができたときだった。
いつも一緒にいた私たちはあけみから彼氏ができたと報告を受けたのだ。
もちろん私は嬉しそうなあけみを見て自分のことのように喜んだのだが、ケントは複雑そうな笑みを浮かべて「よかったな」と一言だけ告げたのだった。
その寂しそうな横顔を見て私は確信したのだった。
---ケントはあけみが好きなんだ…
はっきりと本人から聞いたことはないが、他の人が見てもきっとそう思うであろう。
とまあ回想はここまでにして…
ケントが分かってないのがよく分からん。そんなにすぐに諦めてしまえる気持ちだったんだろうか?
(自分の想いを寄せる相手にも関わらずその恋を応援するなんて…)
あのときの気持ちを思い出させてやる!
(いや、だからあなた何してるのさ…by作者)
「だって、あけみに初めて彼氏ができたとき寂しそうにしてたじゃん!好きだったから落ち込んだんじゃないの?」
「はぁ?いつの話してんだ!そりゃずっと仲良くしてたやつが彼氏できてあんま遊べなくなるんかなって複雑だっただけで、寂しいなんて一言も言ってねぇだろ。なんつーか、妹取られた兄の心境ってやつだ!とにかく恋愛感情じゃねぇぞ。鈍感ってか勘違い女だな!」
「んな!勘違い女ですって!?そんなの分かるわけないじゃない!紛らわしい!どんだけ傷ついたと思ってんのよ…諦めて支えてやろうなんて思った私がバカみたいじゃない!」
---なんなんだバカ野郎!
怒りにまかせて何しゃべったか分からないくらい怒鳴った気がするけど…なんか心の声までもれてたような………。




