この鈍感女!
「ええー?だ、だってうまくいったんじゃなかったの?」
あまりの衝撃につい大きい声でしゃべってしまった。
目の前のあけみは苦笑しながら続きを話そうと口を開くと
「誰もそんなこと言ってねぇだろ…」
不機嫌な声が聞こえてきた。ケントがあきれ顔で言う。
「聞く前に逃げてただろうが」
「そ、そんなはずは…でも、付き合うことにしたって言わなかった?」
あけみが告白した次の日の体育館でのことを思いだそうとするが…いかんせん。ケントの顔見た瞬間逃げ出したい一心でよく聞いていなかったかもしれない…だが二人は言ったのだ『付き合うことにした』と。
---うっ…思い出すと心の傷がぁ!
「本当は振られたの。ケント君には好きな人がいるんだって」
「おい、それは言わなくても…!」
「言わなきゃ解決しないわよ!」
「ぐっ…」
ケントがあけみの漏らした事実を隠そうとするが、あけみに諭されできなかった。
そして私の耳にもその事実はしっかりと届いていた。
---好きな人…あけみとは別の誰かってこと?
それが誰なのか知りたいゆみであったが、それを聞いてしまったらもう立ち直れないかもしれないと思った。
それでもあけみは話を続けようとする…聞きたくないのに…
「それで、その人とくっつかせようと思ったんだけど…」
---なんであけみがそんなことするんだろう…
今にも泣き出しそうな気持ちに、気づかないあけみは呆れたように話し続ける。
「どうも鈍感なのよねその子。自分の気持ちに気づかせるようにちょっと妬かせてみようかなって思ったんだけど…失敗しちゃって…」
「そ、そうなんだ…」
それだけしか返すことができなかった。
---何かクラクラしてきた…帰りたい…また泣きそうだよ
やっと引いた涙がまたぶり返して来そうだった。
「ざ、残念だったね。妬かせられなくて…じゃあもう直球勝負で行ってみたら?気づいてくれるか…」
「…ったく、この鈍感女!」
「へ?」
やっと絞り出した声だったのに、いきなりケントが声を荒げるもんだから驚いて変な声が出てしまった。
「あたしもここまで鈍感だとは思わなかったわ…こ・の・子!」
呆れたかと思えば、ビシッと何故か私を指さしているあけみ。
---え、なんですか?
「もう回りくどいことやってらんねぇ!お望み通り、直球で行ってやるよ!…俺が好きなのは…お前だ。真田!」
……。
「…は?」




