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【第二部完結】ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
第二部 オルディア編

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94.シルヴィアの逃げ道とアーノルド飯

「ふふ、仲直りできたようで良かったよ。」

皆んなのもとへ戻ると、エミリオがすぐに声を掛けてくれた。


「心配掛けてすまなかった。ここからは私も一緒に回らせてほしい。」

アーノルドが全員と目を合わせた後、軽く頭を下げる。


「いや本当、戻ってきてくれて助かったよ。ヴィアが破天荒すぎて困ってたんだ。」

日が落ちてきたので、ランドルフは焚き火を起こしながら話しかける。


「オルディアの聖女ナディアと申します。こちらそこよろしくお願いします。」

ここでナディアは自己紹介を挟んだ。


「ヴィアの夫のアーノルドだ。よろしく。」

アーノルドは笑顔でとんでもない嘘を吐き始める。


「まだ結婚式は挙げてないですよ。」

「ふふ、ヴィア。『婚約もしてないですよ』の間違いじゃないかな?」

「え?」

シルヴィアはくるりとエミリオの方を向く。エミリオは全力で首を横に振っている。シルヴィアはもう一度視線をアーノルドに向けて尋ねる。


「あの……イレーネから何か封筒は預からなかったですか?」

「え?起きてすぐにここまで飛んできたから知らないな。何が入った封筒?」

アーノルドは首を傾げる。シルヴィアは身体の死角で小さくガッツポーズを取った。


「いや、それは無理だと思うよ。諦めた方がいい。」

横から見ていたエミリオには丸見えだったようだ。そしてガッツポーズの意図も。シルヴィアはエミリオに無言でガンを飛ばす。余計な事は言うな、と。


「ヴィアちゃん?何の話かな?私にも分かるように説明してくれるかな?」

アーノルドはうっとりするほど美しく微笑み、シルヴィアとの距離を縮める。


「あ、私そろそろ家を建てないと。ご飯も作らないといけないし、その話は明日にしましょう。」

そう言うと、何もない方向に向かって【土壁】を六連投し、いつも通り家を組み立てていく。


「うわぁ、すごいね。またできる事増えてるんだ。」

アーノルドは穏やかに微笑みながらその一連の流れを見つめる。


「明日はアーノルドもヴィアの高速移動に巻き込まれるんだ。今日は早めに休んだ方がいい。」

【磁石】による高速移動で痛い目に遭いまくったオズワルドが忠告を入れる。


「初めての方はもれなく撃沈しますよ。わたくしも一回目は気持ち悪くてフラフラでしたから。」

ナディアもフラフラ具合を体現して説明する。


「ふふ、さすが私のヴィアだね。」

アーノルドは脅されているにも関わらず、嬉しそうに微笑む。


「さてと……ヴィアは家を作っているし、私はご飯でも作ろうかな。」

「アーノルド、ご飯なんて作れたっけ?」

圧縮解除した食材を捌きながらエミリオが問いかける。冷凍しているため切るのに力が必要で、そこだけは毎日エミリオが手伝っていた。


「私は騎士団の騎士だからね。野営の時は自分たちで料理だってするさ。」

同じく圧縮解除された調理器具と調理場を使って手慣れた様子で料理を作っていく。


「すごい……。私よりも上手かもしれないです。」

家の設置作業を終えてアーノルドの様子を見にきたシルヴィア。その手際の良さに今度はシルヴィアが驚く番だ。


「すぐに作ってしまうから、ヴィアは休んでいていいよ。」

「あ、ありがとうございます。」

シルヴィアはとぼとぼと焚き火の前まで歩き腰掛ける。そして険しい表情で火を眺める。顔良し声良しスタイル良し。魔術と剣術の腕もピカイチ。優しくて料理もできる。まさしくハイスペ男子。ちょっと執着が酷いけど……この男、私のどこがそんなに好きなのだろう。


「しばらくヴィアに振り回されっぱなしだったから、アーノルドに振り回されるヴィアの姿は久しぶりだね。」

エミリオが呑気な事を言っている。


「お前はアーノルドに振り回らせているくらいが大人しくてちょうどいい。」

オズワルドはいつも通り失礼だ。


「まあ何にせよ、アーノルドが無事に復活して良かったな。」

ニッと軽快に笑うランドルフに癒される。


「皆さん、ご飯ができましたよー。運ぶの手伝ってくださーい。」

一番年下のはずが誰よりもしっかり者のナディア。


「お隣、空いてますか?」

そして何故かシルヴィアに執着するハイスペ男、アーノルド。その表情、声、行動全てが甘すぎる。


「アーノルドの隣で食事を取るのは久しぶりですね。」

シルヴィアはニコリと微笑み、アーノルドから食事を受け取った。この六人での旅がもう少しで終わってしまう事に、シルヴィアは少し寂しさを覚え始めている。


「………!!同じ食材を使っているのに、何でこんなに出来が違うんですか?!!」

しかしその口からは全く関係のない言葉が発せられた。アーノルドが作った衝撃的に美味しいご飯に驚きを隠せなかったのだ。


「そう?ヴィアのお口に合ってよかったよ。」

アーノルドは何でもない事のように微笑んでいる。シルヴィアにはやはり、料理のセンスがないことが証明された瞬間だった。

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