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【第二部完結】ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
第二部 オルディア編

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85.新たな仲間

「じゃあ、やっぱりオルディアでもダークホールは出現していたんだね。」

焚き火囲みながらエミリオたちはナディアの話を聞いている。


「はい。ですが魔物の討伐に追われていた我々は、それを浄化しようなんて誰も思いつきませんでした。やってみたところで、わたくしの力では浄化しきれなかったかもしれませんが……。」

ナディアは眉を下げて笑う。


「でもさっきの聖魔術はめちゃくちゃすごかったぜ。」

ランドルフはニカッと笑いながらナディアを見る。


「確かに、威力といい精度といい素晴らしかった。」

「聖魔術のセンスは私よりもあるんじゃないかな?」

「とんでもないです。わたくしは聖女とされているのに浄化の力が弱くて……何か役に立てる事はないかと。幸運にも幼い頃から得意だった聖魔術の鍛錬を一生懸命行いました。でも、皆さんにそう言っていただけると嬉しいです。」

ナディアは目を細めて笑い……俯いた。


「さあ、今夜の食事ができましたよ。食べれる時にたくさん食べておきましょう。」

シルヴィアが出来上がった料理を運んでくる。オークの串焼き、オーク肉のホットサンド、オーク団子と野菜のスープ、そして焚き火の中のオークの丸焼き。大量のオークを手に入れたシルヴィアたちであったが、ノエルがいないため長期保存できない事に気がつき、できる限り消費してしまう事にした。オルディアは涼しい気候のため、常温で圧縮しても数日くらいは大丈夫だと判断し、すでに三日分くらいのオーク肉はシルヴィアのリュックにしまわれている。


「ありがとうヴィア。運ぶの手伝うよ。」

「わたくしも手伝います!」

エミリオとナディアが立ち上がり、三人で焚き火の前に人数分の料理を運んだ。


ちなみに当初は料理を持ち回り制にしようと試みたが、ランドルフとオズワルドの料理が下手すぎたため「貴重な食材が……。」と嘆いたシルヴィアによって二度と調理台の前に立たせてもらう事はなかった。



「さすがにお腹いっぱいですね。」

「今日はもう絶対に移動しないからな。」

「同じく。」

「ははは。もう日も暮れてしまったし、今日はここで野営としよう。」


シルヴィアが調理場を組んでいた周りに【土壁】を展開して、いつものように簡易の家を作る。こうなる事を予想していたシルヴィアが調理場の下にはすでに土壁を引いてあった。個室となるテントと浴室を設置して完成だ。


「私は中身のない土壁の家でもなかなか快適に過ごさせてもらっていたが、これはもう……。」

「家、ですね。」

初見のエミリオとナディアは驚き、1週間前のランドルフたちと同じ反応をしていた。


「ナディアにはノエルのテントを使ってもらうとして、ひとつ足りませんね。」

「ああ、私は寝袋を持ってきているから大丈夫だ。野営には慣れている。」

確かに、近衛騎士のランドルフ、辺境伯領で国境の防衛を行っているオズワルドに比べれば、エミリオが一番遠征の経験もあるだろうし、野営にも慣れているだろう。


「いやいや、そういうわけにはいきませんよ。」

「ヴィアさえよければ、わたくしは二人一緒でも構いません。」

「そうですね。身体のサイズ的に私たちが二人で使うのがいいと思います。」

という事で、ナディアとシルヴィアが同じテントで寝る事になり、エミリオにも無事にテントを使ってもらう事になった。自国の王太子が一番無防備に寝袋で寝る事にならなくてよかったと思う。


「ヴィア、早く行きましょう!」

そして、シルヴィアと一緒になる事になったナディアはとても嬉しそうであった。

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