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【第二部完結】ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
八章.ダークホールとは、ボス撃破

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67.ビアンカの暴露

戻ってきたイレーネとオズワルドにより無事救出されたシルヴィア。解放された瞬間、二人に「ありがとうございます!」と頭を下げてすぐさま部屋に戻った。再び捕まるわけにはいかない。


「ああ……もう、絶対眠れない。」

それは馬車の中でも、談話室でもずっと寝ていたせいではない。いや、それもあるかもしれないが、アーノルドの声も香りも感触も鮮明に脳裏に焼き付き、完全に興奮状態である。しばらく寝付けそうにないので、久しぶりにアトリエに連絡をしてみる事にした。



「ビアンカまだお店にいるかな……。」

……………。

「ヴィア様!お久しぶりです!お元気ですか?」

無事に繋がった。ビアンカの元気そうな声にシルヴィアはホッとする。


「ええ、何とか。そちらも変わりない?」

……………。

「はい!みんな元気にやってます!」


しかしお分かりだろうか、このタイムラグ。最初の数日は音声でのやり取りをしたのだが、この時差が億劫でその後はファックス機能での生存確認を行うのみとなってしまった。


「そういえば、騎士団の方からうちのアトリエで魔道具のレンタルサービスをしているという話を聞いたけど、どういうことかしら?武具と防具の魔術付与もしていると言っていたわね。」

……………。

……………。

……………。

これはタイムラグではないな。


「……勝手なことをしてすみません。」

ビアンカの声にしゅんと元気がなくなる。


「騎士団の方も冒険者パーティーでも喜んでもらえているみたいだからいいんだけど、報告だけしてくれるかしら?目玉が飛び出るほどビックリしたから。」

……………。

「分かりました!」

一瞬でビアンカは元気を取り戻した。しかしそこでシルヴィアはある事に気がつく。


「ちなみに、リヴィオの1日の作業量はどれぐらいかしら?」

……………。

「いつもの魔法薬の他にレンタル用の魔道具作成10個、武具や防具の魔術付与10個……。いや、通信機器の制作が終わってからは20個くらいですね。」

ツッコミどころが多すぎて、どこから突っ込んでいいのか分からない。シルヴィアは苦笑いを浮かべながらも穏やかな声で尋ねる。


「まずは、どうして通信機器を作っているのかな?」

……………。

「白魔術師様たちがヴィア様の通信機器を王宮に持ち込み、王国騎士団か各地の駐屯地に置く分だけでいいので作って欲しいと依頼されまして……。お役に立てればと作成の許可を出しました。……ごめんなさい。」

「なるほど、それで王都からあんなに離れた場所でも私たちの正確な位置が分かったのね。お手柄よ、ビアンカ。」

……………。

「ありがとうございます!」

「でも、それも報告が上がってないわね。」

……………。

「……以後気をつけます。」

「あと、リヴィオの作業量が多過ぎるわ。ビアンカはリヴィオの動力源が何か知っている?」

……………。

「ええと、ヴィア様の魔力ですよね。」

「そう。だから、リヴィオが力を使い過ぎると?」

……………。

「まさか、ヴィア様に影響が?!」

「そのまさかよ。最近やたら眠たいと思っていたけれど、そっちで魔力を使いすぎていたのね。身体が無意識に回復しようとしてたんだわ。」


ペルソの樹海で魔力がすっからかんになっていたのもそのせいかもしれない。普段のシルヴィアならウィプスがパンクするほどの魔力を持っているはずなのだ。


「申し訳ございません!」

「原因が分かったから大丈夫よ。でも、これからは気をつけてね。明日からちょっと厄介な場所に行くから。」

……………。

「分かりました。リヴィオにも言い聞かせておきます。」

「じゃあね、またしばらく連絡出来ないと思うから。店とリヴィオの事、よろしく。」

そう言って通信を切った。


ノルド山に入る前に、いろいろ分かって本当に良かった。ずっと眠っていた原因も分かったし、ノルド山で『魔力が思ったより少ない……。』なんて事にならなくてよかった。これもアーノルドが余計な事をしてくれたおかげ……。

「しまった、いらん事を思い出してしまった。」


シルヴィアは再び顔を真っ赤に染めてがばりと布団に潜り込む。

「ーーーーーっ。これじゃあまた眠れな……。」


スースースー……。


秒で寝た。今日はまだリヴィオの作業制限がなされていなかったため、シルヴィアは魔力を回復するべく強制的に眠りに落とされるのであった。

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