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【第二部完結】ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
七章.新たな展開、伏線回収

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63.ランドルフの決意

俺は代々その当主が王国騎士団の騎士団長についている家門に生まれた。しかし嫡男として生まれた自分はその才を引き継ぐことはできなかった。幼い頃から家庭教師をつけられ、魔術も剣術も一生懸命頑張ったつもりだったが目を見張るような成長はなかった。剣術も魔術も『並』。それがメーティス学園入学当初、自分につけられた評価だった。しかし俺はまだ絶望していなかった。諦めるには早すぎると8年間必死に頑張った。それでも一年先行く先輩たちに追いつくどころか、同級生のオズワルドにも魔術に関しては全く敵わなかった。そこで遂に俺の実力はこんなものかと自分の限界を感じるようになった。騎士団に入る勇気すらなく王宮の近衛隊に就職した。王族を守る、王宮を守る近衛隊。本来は誇るべき仕事であるが、ロゼフィアーレ王国では王国騎士団の力が強いこと、保護対象の王族自体が強いことで近衛隊の戦闘力はそれほど優先されない。家柄や忠誠心などが認められえれば比較的就職しやすい仕事だ。だが近衛隊に入った後も俺は腐ることなく努力を続けた。もはや努力だけが自分の才能だと思う。そして今回の浄化の旅のメンバーに選ばれたことはとても嬉しかった。その努力が認められた瞬間だった。それなのにどこの誰かも分からない、実力も知れない少女がひとり選ばれていると聞いて、俺は正直腹が立っていた。


「そろそろ出発しよう。日が暮れてしまう。」

出発当日、先輩たちが挨拶を交わす中で俺は少女を無視してしまった。我ながら、らしくないことをしてしまったと思う。少女は自分が知らなかっただけで、本当は物凄い人物であった。魔術は旅のメンバーの方でも飛び抜けており、それは同時に王国一である事も示している。さらに武術ですら一対一で戦えば敵わないかも知れない。




そして少女は中身も凄いやつだった。

「……炎魔術でもヴィアのように応用した技を使えるのか?もし、あるのならば教えて欲しい。」

それまで少女を無視し続けていた男の言葉だ。断ってもおかしくはなかった。しかし少女は驚きつつも笑った。


「前向きに考えてみますね。出来るだけ早くお伝えできるように頑張ります。」

そう言ってくれた。しかしまあそう言いながらも難しいだろうと思っていたのに、その数日後には新しい技の案を出してきてくれた。


「それぞれの武器を介して魔術を発動するのはどうかと思っているのですが……。」

案を出すだけではなく、自分でも練習して習得済みであった。

「今朝、自分で試してみましたが、土魔術で可能だったので炎魔術と雷魔術でもできると思います。」

こういう奴が強くなるのだとその身をもって教えてくれた。


さらにそのすぐ後の戦闘で新技を作る過程を実践してみせた。最早開いた口が塞がらなかった。既にあんなにも強い少女がさらに努力を重ねて上も目指す姿に驚愕した。そして、技を解き忘れたバトルアックスと共に地下に吸い込まれていった姿にも開いた口が塞がらなかった。本当にいろんな意味ですごい奴だ。




「【炎魔術 刺突蒼炎】」

「オズワルド、ランドルフ!すごいです!いつの間に技を完成させていたんですか?!」

オズワルドと一緒に練習を重ねていた新技がテルミネの町で完成し、かなり戦力になる事ができた。今まで物理攻撃単独での討伐が難しかったオーガだ。その少女に手放しで褒めてもらえたこともとても嬉しかった。


「まだまだいける……。」

ハルバードを握り直しながらランドルフは呟いた。そして、周りにいる住人の誘導を始める。


「こっちだ!慌てなくていい!前だけ見て進め!」

周囲を警戒しながらも一瞬だけその少女の背中に視線を向ける。俺が決めた限界を笑顔で軽くぶっ潰した事。怖がらずに何でもやってみるという事。努力すればどこまででも強くなれるという事。俺は自分よりも年下の少女にたくさんの事を学ばせてもらった。少女からもらった全てを無駄にしないよう、俺はこれからも上を目指し続けようと心に決めた。

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