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【第二部完結】ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
第三部 マルティーニ伯爵領編

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108/112

108.銅像の真実

「しかしあれだけの銅像をこんな短期間で作れるものなのか?」

皆が和やかに屋台飯を楽しむ中、少し離れた場所でオズワルドとエミリオが話をしている。ちなみにシルヴィアたちがオルディアから帰還してからまだ2ヶ月しか経っていない。


「ああ、あれは帰ってきてから作り始めたものではないからね。」

「は?」

苦笑いで答えるエミリオにオズワルドは眉を顰める。

「どういうことだ?」

「浄化の旅に出る前から制作が開始されていたんだ。『聖女と未来の王妃』の銅像として。」

「……ああ、なるほど。」


それだけでオズワルドには全て伝わったらしい。国王陛下が王太子妃としてシルヴィアを望んていたのはメンバー周知の事実。シルヴィアを国の英雄として箔をつけ王太子妃の椅子に座らせる予定だったようだ。そのためにシルヴィアの帯同が決まった瞬間、防具の準備としては必要ないほど細かく採寸を取っていた。見事に国の英雄となったシルヴィアであったが、唯一で最大の誤算はアーノルドの執着。


「まあせっかく作ってしまったのだから、飾ろうということになってね。シルヴィアとイレーネがこの国を救ったのは事実だから。」

「……そうだな。」

「アーノルドには絶対秘密ね。『未来の王妃』として作られたものだと知ったら、壊しかねないから。」

エミリオは眉を下げながら口元に人差し指を当てた。

「私がどうかしたのかな?」

背後から急にアーノルドの声がして、エミリオはびくりと肩を震わせた。


「やあ、アーノルド。楽しんでいるかい?」

見事に完璧な笑顔に切り替えたエミリオはゆっくりとアーノルドに向き直る。

「友に隠し事はいけないんじゃないかな?しかも我が姫の事については私にも知る権利がある。」

アーノルドはふわりと微笑む。しかしエミリオはその表情に違和感を感じる。いつもの激おこモードのアーノルドではないからだ。

「全部分かって協力してくれたのか?」

エミリオは驚きの表情を浮かべる。笑顔以外の表情の変化はとても珍しい事だ。


「何のことかな?」

わざとらしく首を傾げるアーノルド。ふふっと笑った後、皆と談笑するシルヴィアを見つめて眩しそうに目を細める。

「まあ、ヴィアが褒め称えられるのは悪い気はしないしね。それに婚約は成立してしまっているから、いくら陛下でも今更ひっくり返すことはできない。もし本当にそうなればもちろん俺も黙ってはいないよ。」

「……肝に銘じておこう。」

エミリオはにこりと笑い大きく頷く。その額には汗が滲んでいる。


「よろしくね。」

そう言ってエミリオの肩にぽんっと手を置き、アーノルドはシルヴィアたちの方に戻って行った。

「釘を刺しにきたな。」

「心臓が止まるかと思った。」

エミリをは胸を押さえながら大きく息を吐く。

「余計なことはしない方がいい。」

オスワルドは呆れた顔で首を横に振る。

「もう何もしないよ。私はね。」

苦笑いを浮かべたエミリオはアーノルドとシルヴィアの姿を目を細めて見つめた。

「陛下も早く諦めてくれるといいんだけど……。」

「なっ……。」

エミリオの不穏な言葉にオズワルドは信じられないという表情を浮かべた。


そんなふたりの様子をアーノルドは頬杖をついて冷たい瞳で見つめていた。

「怒らせないでね……。俺もこの国は割と好きなんだ。」

「アーノルド何してるんですか?早く食べないと無くなっちゃいますよ。」

そんなアーノルドのもとにシルヴィアが食べ物を持ってやってくる。

「あはは、ごめんごめん。ヴィアが食べる姿が可愛すぎてつい見惚れてしまった。」

「何言ってるんですか、全然違う方見てましたよ!」

「じゃあ食べさせてくれる?」

アーノルドは上目遣いでシルヴィアにお願いしてみる。

「あーもう仕方がないですね。」

「え、いいの?」

アーノルドは言ってみただけで、まさか許可が下りるとは思っていなかったようだ。

「はい。どうぞ。」

少し頬を染めながらアーノルドの口元に食べ物を運ぶシルヴィア。そんな姿を見ながら、彼女は絶対に誰にも渡さないとアーノルドはさらに強く思うのだった。

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