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鳴海探偵事務所へようこそ  作者: デン
怪しい妻と謎の男
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4/19

ー午前8時29分。


動きがあったのは、集合してから1時間半が経とうかというところだった。


「…所長。玄関から蘭子さんと思われる人が出てきました。」


内山宅を見張っていた立花の声に、そろそろ二度寝決め込んじゃおうかな〜、と考えていた彩花の意識が現実に引き戻される。


玄関から出てきた人物を見た彩花は驚いた。


「奥さんの見た目、内山さんが愛ゆえのひいき目で盛ってるとこあるでしょ、って思ってた。まじで綺麗な人出てくるのビビるわ…。」


高身長でサラサラとした黒髪のストレート。その髪を緩く、オシャレにまとめている。整った顔立ちだが近寄り難さを感じさせないメイク。そしてプロポーション…。


…彩花は己の両胸にそっと手を乗せた。


静かに絶望している彩花の事を誰も見ていない。


そんな事よりも彼らが気になったのは服装であった。


「バルーン袖のブラウスにスカート…。確かに可愛らしい服を着ていますね。」


黒崎は蘭子の服を見る。内山が言っていた通りの服装なのだ。思わず立花と黒崎は目を見合わせる。


「調査開始だ。」


鳴海は蘭子を見失わないよう、目を離さずに小さく全員に声をかける。

そして素早く立ち上がると、物音を立てないようゆっくりと歩き出した。


立花、黒崎が後に続く。

彩花も我に返り、慌てて3人の後を追うのだった。



ー午前8時45分。


蘭子の後を追うこと15分程。最寄りの駅へと到着した。

平日ということもあり、駅構内もそれなりに混雑している。


「はぐれたら置いていくからな。」


何故か彩花にだけ言う鳴海に、立花も黒崎も小さく笑い声が漏れた。


「子供じゃないんだからはぐれないわよ!」


と憤慨しながら彩花は言う。


つい数ヶ月前。

迷い猫探しをしていたらいつの間にか皆とはぐれてしまい、猫を見つけるよりも時間がかかってしまった…。


そんな記憶が彩花の脳裏を過ぎったが、無視をすることにした。



ホームに到着し少し離れたところで蘭子の様子を伺う4人。

蘭子はちらりとホームの時計を確認すると、バッグから文庫本を取り出し読み始めた。


「うわぁ〜、電車の待ち時間に読書?完璧な人過ぎていっそ清々しい…。」


「服装こそ気になりますが、まだ特に何もありませんね。」


彩花と黒崎がそんな会話をした直後であった。


「やぁ、蘭子さん!」


男性の声だ。

彩花は反射的に声がした方に首を向けようとしたが、鳴海に頭を掴まれ動かせない。


「怪しい動きをするな。」


何故あたしが見ようとしたのバレたのよ…。エスパーかよ…。

と彩花は目で訴えたが、鳴海は構わず指示を出す。


「ゆっくり視線だけ向けろ。」


諦めて彩花は蘭子と男の様子を確認することにした。



男は30歳半ばから後半なように見える。

かなり筋肉質で、スラリとして知的そうな内山さんとはかなり対照的っぽい感じ。

個人的にここまで筋肉がついてるのはタイプじゃないな〜。

やっぱりあたしは細マッチョ派。


などと考えている彩花の耳に2人の会話がふと聞こえてきた。


「神崎さんこんにちは。」


「蘭子さん、今日も来て頂けたんですね!とても嬉しいです。」


「いえいえ。少し早かったかしら?」


「そんなことは無いですよ!」


彩花も全て聞こえたわけではない。

わけではないのだが、どう考えても深い仲であるような会話にしか聞こえない。


思わず鳴海の上着を引っ張りながら彩花は言った。


「鳴海、可哀想だけどどう考えてももう浮気で決定だよぉ…。」

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